4巻 2章 1話⭐️1章のあらすじ
⭐️1章のあらすじ⭐️
惑星テスカトリポカで友人のジャーナリスト、ラファエルが投獄された。スノーと虎徹が保釈金を肩代わりし助けたものの、ラファエルの友人でジャーナリストのビョーンはまだ捕まったままだった。ラファエルから「食べ物を届けて欲しい。もし仲間が脱獄できたら特別報酬」とクエストを依頼され、惑星テスカトリポカへ6人と2匹は向かった。ラファエルの紹介でスタディオンシティのローティに協力を求めるが断られてしまう。代わりに友人達を紹介してくれ、情報協力やクエストを引き受ける事になった。街ではクーデター直後の混乱が続き、軍事政権の交代により、民主化を求めて民間人は国軍と衝突していた。そんな中、ローティの息子と仲良くなり、ユナイトパークで遊んでいると、ドワーフの男が声をかけて来た。投獄されている前将軍の娘、グアダルーペの恋人だと言い、ミニヤと名乗った。クラウンは必死で恋人を追いかけ全てを懸けたミニヤの想いに心を動かされ、ビョーンとグアダルーペを脱獄させようと決意する。そしてスタディオンシティの人々と共同で脱獄の作戦に出たのであった。無事にビョーンとグアダルーペの脱獄に成功するが、クラウン達はスタディオンシティでお尋ね者となってしまった。そして、、。
インフィニティー、車内。
川の温泉からあがり、着替えをすませた。ビョーンを囲んでギルドのみなは上界のステーションまでの帰り道を確認していた。「このルートで来れたから、この車なら一晩で着けると思う。もうこの国に戻れないけどいいか?」ビョーンはクラウンを見た。
「うん。サリーに挨拶して来ていい?」クラウンが言うと、みなうなずいた。クラウンはブラストの手を引いて、車から降りた。チョコとゴーストもついていった。みなも挨拶をしに車から降りた。
「お尋ね者の友達が出来たって自慢するよ。」サリーはそう言って両手を広げた。クラウンとブラストとサリーの3人は、しばらくハグをしたままだった。
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ビョーンを送り届けにケンタウリcに向かった。迎えに来たラファエルと無事に再会を果たした。クラウンはラファエルにクエスト完了のサインをもらった。
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クラウン達がケンタウリdに立ち寄った後、虎徹はHOMAREから招集を受けた。
サイプレス号、船内。
虎徹は顔面蒼白でみなの前に座っている。チョコとゴーストは心配そうに虎徹の両脇に身を寄せ座った。
「ど〜したの〜?息が詰まりそうだよ〜。」ヴァルはスノーにうなだれた。「まあ聞いてやろう。シシッ。」スノーはヴァルをなだめた。
クラウンの正座した足が痺れてきてお尻を少し浮かせた時、虎徹がしゃべり出した。
「拙者は見合いをする事となった。一度アースに帰還す。」虎徹が一礼した。
クラウンはお尻を横にずらし、こけた。
コテン。
ハニが椅子から立ち上がった。
「虎徹さんっ、小夜さんを泣かせたら許さないからっ!」虎徹は顔を上げて、立ち去るハニに手を伸ばし、四つん這いになって言った。「違うんです。聞いて下され。拙者は振られたんです。拙者が、待って、、」ハニは怒って立ち去ってしまった。犬達は怯えてしっぽをパタパタ小さく下の方で振っている。「ハニ怖かったー。」クラウンが足を伸ばし、お尻を擦りながら虎徹に近づき寄り添った。残った男達で虎徹を慰めた。
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数日後。
アース、奈良旧都駅。
6人と2匹はドッグに降り立った。
ゲートに向かうと、HOMAREの長の兼定、HOMAREの侍のまごろくと、引退した天狗様こと、渡邊トキオが迎えに来ていた。
「師匠、兄さん、まごろく、ただいま戻りました。」虎徹は挨拶した。
「よー。みな逞しなったのー。」笑顔の天狗様とギルドのみなは握手した。
「マイクロバスを手配しているから、参りましょう。」兼定が誘導した。
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マイクロバス内。
まごろくは嬉しそうに虎徹の隣に座って肩を組んだ。「1人で帰って来たって事はあかんかったか。」
虎徹はうなずいた。
「泣いた?」
まごろくの言葉に虎徹はもう一度うなずき言った。「友に励ましてもらった。」
「持つべきは友やな。」まごろくもうなずき、虎徹に耳打ちした。「大丈夫や。お相手は相当、可愛いらしい子やねん。」
「まごろく!第一印象は虎徹が見て決める。」後ろの席の兼定がまごろくを注意した。「ちょっとでも安心させたろ思て〜。あっ!ハニちゃんを誘う様に言われとった。」まごろくは振り返って兼定に言い訳しながら立ち上がり、ハニの横に席を移した。
虎徹も立ち上がり、兼定の隣に座ってお見合いの話の経緯を真剣に聞いた。
マイクロバスは山の中を走り、見合い相手の待つ阿弥陀の里に向かった。
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山の新緑が目を潤す。クラウンは窓を開けて外の景色を見ている。「うわ〜鹿がいっぱいいる。どこに向かってるんだろ?」チョコはクラウンの膝の上に乗り外を見た。通路を挟んで横に座っているスノーとゴーストも身を乗り出して、鹿の行く先を見た。
鹿達は掛け声の方へ走って行く。その先で男が1人、声で鹿達を呼び寄せた。
「ヴァルみたいな人がいるー。」ブラストも窓を開けて鹿の群れを見た。
ブラストの隣に座っている天狗様は通路を挟んで横のヴァルと話をした。「よー。あれができるんか?なんの動物でもかえ?」「動物はなんでもイケるかな〜。」「よー!それは良いのう。魔物は?」「魔物も動物由来ならイケると思う。」「よー。お主らが帰ってくるから、色んな所からクエスト依頼できるか聞いてくれくれいうてせっつかれての。やってくれるか?」「もちろ〜ん!やれる事はなんでもやります〜。」「よー!いい返事じゃ。」ヴァルと天狗様は動物魔物談議を楽しみ、クラウンも加わった。ブラストとスノーも天狗様との会話を楽しんだ。
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バスはしばらく走り、阿弥陀の里が見えて来た。
水路には水車が回り、軒先には陶芸の器が板にのって並んでいる。その先では男たちが大きなノコギリを2人掛で引いている。その先で職人が小さな刃物を研いでいたり、色んな才能を持った職人達が集まった職人村を、バスはゆっくり通る。
のれんを見たスノーやブラストはテンションが上がった。刃物屋、木材屋、仏師、絵師、漆職人、陶芸家、武器屋、甲冑屋を通りすぎた。畑をいくつか過ぎ、虎狼庵の看板を過ぎ、大きな蔵の前で車は止まった。ドライバーが案内した。「お宿の一階でお茶とお菓子をお出ししますので、お荷物はそのままでお入り下さい。」
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宿。
玄関でヴァルはブラストに靴を脱ぐ様に言われ、犬達は足洗い場で足を綺麗にして、クラウンとスノーで犬達の足を拭いた。
宿の女将さんがお茶を出してくれ、みな一服してくつろいだ。「明日、お顔合わせと伺っております。お風呂は温泉でございます。いつでもお入りいただけますので、今日はごゆるりとお寛ぎ下さいませ。」
「大福の中からイチゴー!」クラウンがハニに見せると、ハニも大福にかぶりついた。苺のシュワっと感にハニは悶えた。
「ほな、虎徹。明日の勝負服の支度を整えときや。夕食はみな宴会場に集合なっ。」まごろく達は早速露天風呂に向かった。
この日の夕食会はみなで楽しく過ごした。まごろくは誰よりもはしゃいでいた。
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翌朝。
HOMARE御一行様、控え室。
クラウンとブラストは首をかしげて言った。「虎徹さん、そっちでいいの?」「勝負服ってそーゆー意味?」
「はは。真剣勝負だ。」虎徹はギルドスーツを装着している。
「虎徹ー、それはズルいやろ。脱いで甲冑に着替えんか?」まごろくは着物姿でお茶を飲んでいる。
「普段の勝負服ではなく、HOMAREの一員としての姿で行きなさい。一式持って来ておるではないか。まごろくも手伝え。」着物姿の兼定は鎧箱を開け、まごろくを手招きした。
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顔合わせの儀の会場、蓮池。
蓮池を挟んで、保護者席が用意され、阿弥陀家様、HOMARE御一行様の札が、それぞれの板の間にかけてある。柱の黒い擬宝珠、朱色に塗られた板の間に座布団が並べてあり、クラウン達も着席した。
蓮池の真ん中に朱い橋があり、2人はそこで出会う。
ブラストが横に座ったハニに言った。「やっぱ気になって来てんじゃん。」「気になるよー。事情はクラウンに聞いた。まわりがとやかく言ったって、当人同士が納得してるのが1番よね。」ハニの言葉を聞いてクラウンは笑顔でうなずいた。
準備が整い、神楽の演奏が始まった。
「これより虎徹様、莉乃様の顔合わせの儀を行います。腰、手首、髪に巻いた運命の紅い紐を引き合います。」仲人が一礼した。
3箇所に紐を巻き、黒の甲冑に兎の兜姿の虎徹が現れ、橋の前で立ち止まった。反対の橋の前で同じく紐を巻き、赤い甲冑に弓を携えた莉乃が立ち止まった。背丈は虎徹より少し低くスラっとしている。お互いに一礼した。
虎徹が足早に近づくと、莉乃は橋の手すりに飛び上がり虎徹の足元に弓を引いた。虎徹は横に逃げ矢をかわし、橋を駆け上がる。クラウン達は息をのんで見守った。
虎徹が手を伸ばすと、莉乃は寸前でかわし、蓮池に飛び込んだ。蓮池の中から丸太の柱が縦に何本も立っている。高さもランダム、その上を莉乃は軽々と飛び回った。
虎徹も追いかけ、飛び回った。罠の丸太を踏むとブーメランが飛んで来た。莉乃は美しくかわし、高い柱に向かって飛び乗って行く。虎徹はブーメランを鞘で受け流した。差が縮まらず虎徹はムキになって斜めに伸びた丸太に手をかけよじ登り莉乃に手を伸ばすと、柱は倒れ虎徹は池に落ちていった。莉乃は弓を素早く引き、落ちていく虎徹の手首に巻かれた紐を射抜いた。
バス!
ボチャーン!
虎徹は蓮池から顔をあげ、息を吐いた。「ゔぁはっ。」手を動かし、泳ぐその手に紐は無かった。虎徹が気づいて手を挙げると仲人が「一本!」と手を挙げた。
悔しがった虎徹は正午まで莉乃を追いかけたが、1本も紐は取れなかった。午後も続行を望む虎徹に対し、阿弥陀家で話し合いが行われ、明日に順延となった。
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続く。
絵:クサビ




