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Two「死ぬなんて、許さない」

彼氏に振られた。しかも、理由は他の中学校に可愛い子を見つけたから・・・。私は、彼のことが大好きだった。本気の3年間だった。とても幸せだった。なのに、今日、突然その幸せは無くなった。もう、どうでもよくなった。


だから私は、屋上で保健室からくすねてきた睡眠薬で自殺しようとした。が、邪魔された。どこからか現れたかわからないが、相手は男の子。身長からして一年生なのだろう。


すこし茶色がかった髪、大きな黒い瞳、きれいに整った顔立ち。


“カッコいい”


そう思ったが、極端に小さい・・・。私と同じくらいの身長だった。


その男の子は私の手から薬を奪い取った。私は驚いて屋上の端っこまで逃げた。


この男の子も、私に自殺するなって言ってくれるのかな?あの日の彼みたいに、私を助けてくれるのかな?


だけど、男の子は『じゃぁ頑張れ。』と、私に言い放ってきた。私は、その言葉を受け入れたくなくて、何度も聞き返した。だが、男の子は適当に流すだけ。


だから私は目を瞑り、屋上から落ちたんだ・・・・・・・・


「・・・んっ・・?」


アレ?もう死んじゃったのかな?でも、落ちた感覚がない。私は、恐る恐る目を開けた。


そこには、男の子がいた。


「まったく、本当に落ちるとは思わなかったぜ・・・。」


私は、男の子に助けられていた。というか、お姫様抱っこをされていた・・・。







「はっ、離してっ!!」


彼女は、そう言ってきた。おいおい。命の恩人にそんな言い草はないよな・・。


「離したらまた死のうとするだろ?面倒が増えるのはごめんだ。」


「落ちないからっ!は、恥ずかしいってば・・・。」


彼女は顔を真っ赤にし、目を逸らしながらそう言ってきた。・・・・やけに可愛かった。動物に例えるなら、猫か?・・・すまん、よくわからん。


俺は、その顔に免じて彼女を放してやった。


彼女は真っ赤になった顔を覆いながら、その場にヘタリと座り込んでしまった。


「わ、私・・。落ちたんじゃ・・?」


「だから、俺が助けてやったんだよ。」


ここは体育館の裏、彼女は、丁度ここに落ちるはずだった。が、俺が助けてやったんだ。


「ど、どうやって?私、落ちたのに・・・。」


当然の事ながら、彼女はそう訊いてきた。・・・聞かれたくないんだけどね・・・。


「だから、お姫様抱っこで☆」


「うそ。ホントのこと言ってよ。」


「だから、お姫様抱っこだって☆」


俺たちは、このくだりを十回程繰り返した。そして、ようやく彼女は別の質問をするようだ。ふぅ、うまく誤魔化せたぜっ♪


「どうして助けたの?」


今度は理由を訊いてきやがった。まったく・・・。


「・・・気が変わったから。そんだけ。」


俺は、そう言って流した。まぁ、最初から助けるつもりだったけどね。


「・・・・。」


彼女は下を俯き、肩を震わした。地面には涙が落ちている。彼女は泣いていた。それは、まだ生きていることによる安堵から来るものなのか。それても、死に損なったことによる自分への怒りから来るものなのか・・・。どちらしろ、俺とこのまま別れるとまた自殺しそうだ。

俺は彼女にそっと言葉をかけた。


「こんな年で死んでいいのか?あんたはそれでよかったのか?そりゃぁ、今は辛いかもしれない。だけど、あんたは明日どんなことが起こるか解るかのか?俺は、今のあんたの気持ちは解らない。明日が来ることも解らない。だけどな、あんだが死んでいい存在じゃないってことだけは解るぞ。」





 

 

私は、涙で赤い目で男の子を見つめた。男の子は、その視線に気づき、私の前で膝を付き、優しく私の涙を拭き取って話を続けた。


「あんたはこんなに可愛いんだし、まだ高校生だ。残りの人生が勿体無いだろ?死ぬなんて、俺が許さないぞ?」


彼は笑顔でそう言ってくれた。優しい瞳がますます優しく、とても笑顔で・・・。私なんかに、自分から死のうとした私に、こんな温かい言葉を掛けてくれた。


私は泣いた。声が枯れるくらい、涙が枯れるくらい泣いた。泣き続けた・・・。







・・・ずいぶん困った状況になった。彼女は俺の言葉を聞くなり、泣き始めた。しかも声を上げて。場所が場所だし、このままじゃ他の生徒に見られて、変な誤解を招かねない・・・。


俺は彼女を保健室に連れて行った。保健室の先生には適当に


『ちょうど廊下で見つけたんで・・・』


などと言って、ベッドを一つ拝借し、そこに彼女を寝かした。起きるまで待とうかと思ったが、すっぱり諦めて、保健室を出た。行く所があるからだ・・・。




屋上。俺は手すりがある、校庭が見渡せるところに来た。


「・・・おい。さっさと出て来い。」


「あれ?バレてましたか?♪」


俺の後ろの床から、浮き出てくるように俺と同じここの中学校の制服を着た男が出てきた。


「朝の違和感はお前だろ?こんなことするヤツは、俺の知り合いにはいない。」


「はははっ♪まぁいいじゃないですか、神様っ♪」


男はそう言って、ニッコリ笑った。



なんと、尚人は神様でした♪

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