婚約者と異世界の悪魔(前編)
妹王女
サリ(異世界・クラッパー王国が舞台の乙女ゲームが好き・特に攻略対象の皇子クラウドを恋人として愛している) → ヒロト(皇子クラウド・レオンクラウド殿下の生まれ変わり)に会う(異世界) → ミク(聖女)を殺す(異世界) → 姉マリ(姉王女)を殺す(異世界・ヒロトも死ぬ) → 死にかける(異世界・意識不明) → 妹王女になる(クラッパー王国) → サリと同調して逃げた聖女に殺意(異世界) → 銀の花になろうとする(コードストかかブール国・失敗) → マリークライス(姉王女)の体を乗っ取ろうとする(コードストブール国・失敗) → サリと同調して逃げた聖女に殺意(異世界) → マリークライスとなる(コードストブール国) → サリ死亡(異世界) → マリークライス行方不明(コードストブール国)
「これは…」
「マリークライスの前々世、いや繋がっていたのだから本体というべきか?」
アンタイル、それはどういうことだ?
「異世界の″サリ″という女のことだ。その女はクラッパー王国が舞台の乙女ゲームが大好きだったらしい」
ああ、悍ましいことにそう書いてあるな。
「それから、賢者の生まれ変り、こちらの世界では″レオン″という名前だったらしいが…」
アンタイルがチラリと私を見た。私は苦笑して続きを促す。
「お前と被るから異世界の名″イツキ″と呼ぶ」
そして、アンタイルの指が最初に″ヒロト″と書いてある部分に止まる。
「お前と姉王女が″イツキ″の導きで異世界に転生した」
「運命の花は引かれ合うらしい。だから、″サリ″の姉″マリ″が銀の花であったため、″ヒロト″と出会える距離に転生していた。″サリ″は偶然″ヒロト″に会い、″ヒロト″の中に遊戯の皇子クラウドを見つけ惹かれた」
私は眉を寄せた。遊戯の登場人物を現実の人間に重ねるなど考えられない。いや、最初は重ねたとしても違うことが分かるはずだ。それに作られたの人格では現実世界はやっていけない、と思う。
「″ヒロト″の兄が大学という学校で″イツキ″と友人だった。それで、″ヒロト″と″ミク″も知り合いになったらしい」
彼女が異世界の話をする時に出てくる″山内さん″が″ヒロト″の兄なのだろう。″山内さん″とおして、″ヒロト″は彼女の前世″未来″に会うことが出来た。
アンタイルは次に指で順番に三つの場所を指した。
「″サリ″は″ヒロト″が惹かれている″ミク″を憎み殺すことにした。そこに二つの思いか重なった。妹王女となった″サリ″は皇子クラウドが攻略出来なかったのは逃げた聖女が生きているからだと思い殺意を持った。マリークライスになれない″サリ″は逃げた聖女が生きているせいだと思い殺意を持った」
元は一人だとしても三人分の殺意。その殺意で″未来″は殺されてしまった。俺のせいで…。
「″ミク″が死んでも″ヒロト″の攻略が上手くいかないのは姉の″マリ″が生きているからと″サリ″は考えた」
アンタイルの指は『姉″マリ″(姉王女)を殺す』に止まっている。
「遊戯では姉王女が殺されてから皇子クラウドが攻略出来るからな」
説明するアンタイルの声は嫌悪感を露にしていた。理解出来ないと言いたいのだろう。それは私も同じだ。
それに攻略…とは。″サリ″の中で″ヒロト″は完全に遊戯の攻略対象者、プログラム人格で動く人となっている。
「姉″マリ″を事故を装って殺そうとした時、偶然″ヒロト″とその兄も一緒にいた。三人とも死亡し、″サリ″は″ヒロト″を助けようとしてそれに巻き込まれ意識不明で最近まで生きていたらしい」
だから本体と言ったのか。
「これって、賢者が殿下と姉王女を異世界に連れていかなきゃ良かったんじゃあ?」
フェルプスの言葉にアンタイルは眉間の皺を深くした。
「そもそもレオンと姉王女が異世界に行ったのは″サリ″のせいだ。異世界とこちらの世界の時間軸が複雑に絡み合っている。それこそ始まりがどこか分からないくらいに」
えぇー。フェルプスがお手上げと声を上げている。
「それにおそらくだが、″イツキ″がレオンと姉王女をこちらの世界に迎えに来たのは″ミク″や″マリ″・″ヒロト″が異世界で死んだ後だ。それしかもう世界を救う手立てがなかったのだろう」
「なっ!」
フェルプスが絶句した声をあげ固まってしまったが、私は腑に落ちた感じがした。だから、あの時、疲れ切った顔をして彼は声をかけてきたのかと。
異世界では同じ顔が三人いる?
ということは親同士もよく似た顔をしているということかい?
えっ? 整形だったか? 手を加えなければ親の特徴をほとんどの者が受け継ぐだろう。
同じ顔ならば、親同士もどこか似ているということだよね?
双子や三つ児の場合はどうなる?
異世界なら五つ児も産まれるのだよね?
兄弟でもよく似ることがあるよね?
その場合は数にいれるのかい?
「わ、わかりません」
あっ! 涙目にしてしまった。
うん、それはそれで可愛いけれど、慰めないとね♪




