第二十話 最後の光景
投稿が遅れ申し訳ありませんでいた。次回投稿はできるだけ1か月以内に行いたいと思います。
どこからか機内に吹き込む冷たく心地よい風が、いくつも汗の筋が伝う頬を心地よくなでる。頑丈に作られているはずの軍用の機体が壊れかけのブリキのおもちゃのようにガタガタと音を立てて震え、その度ふらふらと流されそうになる機体を、操縦桿を握りしめ立て直す。そんな飛ぶのもやっとの満身創痍の機体で、バイソンは再び辺りを見回す。
「敵機は……いない、か。かわりに味方もいないが」
無表情で呟き、小さく息をつく。敵空母への爆撃を終えたバイソンは、敵艦隊からの猛烈な対空砲火による追撃を辛くものがれ、艦隊を視認できない位置まで退避することに成功していた。もし戦闘機による追撃を受けていたならば、満身創痍の彼は恐らく逃げ切れなかっただろう。だがその敵戦闘機は、新たに表れた正体不明の機影の一団の相手に夢中となっており、彼を追撃するものなど一機もいなかった。
だが状況は必ずしも彼にとって思わしいものではない。激しい空戦と回避の連続で、彼は自身の機位をほとんど喪失してしまっていた。味方についていこうにも付近に味方の機影はなく、視線を燃料計に向ければ、その針はすでに半分を切った位置を示していた。
「機位を喪失、燃料も余裕無し……か」
そう一人呟くと、彼は力なく笑みを浮かべようとし、だがその直前、ひびの入った風防の彼方、浮かぶ雲のはざまに小さな煌めきを見る。それはメーム機でも森羅機でもない、彼の今まで見たことも聞いたこともない形状の機影。複座の、艦爆と思われるその機は、敵艦隊から離れるような方向に飛び去ろうとする。その主翼に描かれたマークは、敵戦闘機の追撃を受けた際、彼を救ってくれた戦闘機のそれと同じもの。それを見たその瞬間、彼はその機の正体がなんなのか、その向う先に何があるのか、瞬間的に理解する。
満身創痍の機体に、機位をほぼ喪失している状況。まっすぐ味方艦隊に向かったとして、ようやくたどり着けるかどうかという余裕のない燃料。そんな苦しい状況で、しかし彼は、あの時と対照的な微笑をたたえる。そう、今の彼はあの時と違い、確かな希望の煌めきをその目に捕らえていた。
「頼むぞスワロー、あと少しもってくれ」
そう愛機を激励し、ひびの入った風貌の彼方、浮かぶ雲の先を飛ぶ煌めきを追う。正体不明、所属不明の機影。それを追ったとして、その先に彼女がいる保証はなく、そこまで機体と燃料がもつ保証はない。だが舵を切る彼の心に、迷いは一片もなかった。
「索敵機より入電、艦隊のほぼ真東の位置に国籍不明の大型空母一隻を補足。随伴艦は確認できず。進路南西、速力およそ25ノット」
巡洋戦艦アイ艦橋にもたらされた報告に、幕僚達の間に緊張が走る。
「ばかな、先ほど索敵した際、その付近には何もなかったはずだ」
「いや、厚い雲に遮られ索敵が困難との報告もあった。雲の下で補足できなかった可能性が高い。いずれにしても付近に味方空母が展開しているという情報がない以上、敵空母である可能性が……」
1人の発言に対し、別の将校が遮るように言う。だがそんな中、さらに場を混乱させる情報がもたらされる。
「敵艦隊を発した艦載機は現在北東方向に飛行中。目標は我が艦隊ではなく、この国籍不明空母かと思われます」
新たにもたらされた報告に、場の全員が怪訝な表情を浮かべる。
「確かか?」
「進行方向から推測するなら間違いありません」
もたらされたその報告に、幕僚達は訳が分からないとばかり唸る。
「付近を味方艦艇が航行しているという情報は無し。第三国の空母か、敵艦載機が進路あるいは目標を誤認しているか、そもそも情報が間違っているか。随伴が1隻もいないというのもおかしいが、いずれにしても情報が少なすぎる。だからと言って索敵機の報告を待っていては全てが後手に回る」
1人がそう言い、それにほかの者たちもうなずく。だがうなずくことはできても、確たる意見を言えるものはいない。そうして議論が進まないうち、さらなる報告がもたらされる。
「攻撃隊より連絡。敵空母1隻に命中弾と思しき水柱複数を確認。また艦種不明1隻に火柱が上がるのを確認。味方損害甚大。また攻撃隊退避直後、所属不明の航空機の一団が敵艦隊を攻撃。詳細は不明ながら炎上する艦影複数を確認」
もたらされる報告に、幕僚達の間に戦慄が走る。戦果報告の内容が不明確であったり、味方の損害が多いというのは、味方が苦戦していることの裏返しだ。そうでなくても戦果報告というのは過大評価になりがちなもの。その現場報告ですらこの内容では、確実な戦果はほとんどないも同然といえた。
「攻撃は失敗したとみるべきか。それにしても所属不明の航空機の一団とはなんだ? 第三国の空母でも出張ってきているのか?」
その呟きに、答えを返すことができる者はいない。確実な情報など何一つなく、ただ悪い予感と不安だけが、将兵の心をむしばんでいく。そんな中で、
「艦隊直掩の戦闘機の半数を敵攻撃隊の迎撃に派遣せよ」
ただ一人、毅然と言い放つ指揮官ウルクの言葉に、バラバラとなっていた将兵の視線と意識が集中する。
「しかし敵機の向う先には例の国籍不明空母がいます。下手に戦闘機を接近させれば攻撃を受ける可能性もあります。ここは敵味方の判別がつくまで、いたずらに近づかず様子を見るべきでは?」
ウルクの言葉に将校の一人が正論で反論し、それに回りも同意するようにうなずく。だがウルクは動じない。
「これはあくまで推測だが、先ほど報告にあった所属不明の航空機の一団というのは、この空母のものではないかと思う。現状たしかにこの空母が敵か味方か、判断はつかない。だが敵がわざわざ武装を満載してこの空母を目指している以上、敵の攻撃目標は我々でなくこの空母と判断するのが自然だ。敵の敵は味方、というのは短絡的かもしれないが、いずれにしても敵攻撃隊に打撃を与えるチャンスを逃すわけにはいかないし、この所属不明空母が敵か味方か、早急に判断する必要がある」
そう、周りの将校の反論に全く譲ることなく応じるウルク。その言葉に幾人かは確かにと同調するようにうなずき、他の者も同調しないまでも反論は思いつかないのか口にしない。そうして艦隊の指針が決定され、艦隊直掩の戦闘機の半数、10機にも満たない戦闘機の一団が、正体不明の空母へ向かう。
この判断が海戦の結果を大きく左右することになることを、この時知る者はいなかった。
「一隻……いや二隻? 一隻は確実として、もう一隻は夕方までには復旧するかもしれない。でも、十分ね」
数万トンの巨艦の甲板上で少女が呟く。軍艦に少女というのは似つかわしくないように思えるかもしれないが、雲の多く浮かぶ灰色の空を鋭く睨むその瞳は、まさに軍人のそれそのもの。その身にまとう雰囲気、秘めた決意、背負った過去。全てこの巨艦と共に歩んできた。そしてこれからも、この艦と運命を共にするその時まで。そして迫るその時を、ヨークタウンのレーダーがとらえる。
「敵航空機編隊……70機くらいはいる? 艦爆を迎撃に加えても劣勢は覆りそうにないか。でもいまは全力を尽くすだけ」
瞳を閉じ呟くと、上空に待機させていた戦闘機と爆弾を装備させていない艦爆を迎撃に送り込み、甲板上に待機させていた機体も次々発艦させ始める。だが搭載機の半数近くを攻撃に送り出しているヨークタウンの迎撃機は、艦爆を加えても大した機数にならない。これに燃料、弾薬の補給と、その間の防空も含めると、常に上空に上げておける機数は大きく限られてしまう。恐らく数的には3倍以上の差、随伴艦も無し。迎撃側の優位性を加えたところでとても補いきれない。あの時と似ていて、だがあの時より確実に厳しい戦況。
「あなたが隣にいてくれたら……なんてね」
何もない隣を見、そうおどけて見せる。返ってくるのは吹きすさぶ海風と、うねる海原をける巨艦の轟音のみ。あの時とは違う、これはあくまで彼女の戦い。自分の意志で立った戦場、己が何者かもわからない身を戦に投じ、人の命と運命を揺るがす業を冒すなら、返される業もまた、自分の身で受け止めねばならない。
あの時はどうしようもなく怖かった、逃れられるなら何をしてでも逃れたいと思ったこともある。なのになぜ私は今、好き好んでこんなことをしているの?
疑問に答えを出す前に、レーダー上で敵と味方が交錯する。ヨークタウンにとって最大の武器であるはずの艦載機だが、彼女自身は自分の艦載機を操るすべを持たない。レーダーの情報などをもとに簡単な誘導や目標指示ならできる程度。一度大空に放ったならあとは彼らの空、自らはその帰還を信じ、彼らの帰る場所を守るだけ。だから戦いのほとんどは、彼女の目の届かない場所で行われる。だが彼女自身が戦う時も当然ある。そしてヨークタウンの蒼い瞳が、はるか遠方の空、灰色の雲の切れ間に銀の煌めきと、迫るその時を捉える。
「……来なさい」
静かに呟くと同時、巨艦は艦首の白波をいっそう高く上げ、はるか遠方の煌めきに向かい、うねる海原を切り裂き突進する。そうしている間にもいくつもの煌めきが激しく交錯し、時に火を噴き、ときにいくつも小さく砕け散り、海面に小さな水柱を上げる。だがそのうち、編隊を組んだ煌めきの一団が、それに食らいつく煌めきを振り払い、ヨークタウンに迫る。
艦載機を操ることができない以上、彼女自身が使うことができる得物は対空砲だけ。それも随伴の艦がいなければ大した火力とならないことは分りきっている。だがそれでもヨークタウンは突進を続け、非力な自身の得物に仰角をかけ、敵に狙いを定める。
その時ヨークタウンのレーダーが、彼女の艦載機とは別の機影10機弱をとらえる。
「……あれはメームの? バイソンさんの上官はなかなかのお人よしみたいね。あるいは大物? なんにしてもすこし寿命は延びた……かな? それとも到着までに決着がつくか……」
目前に迫る敵機の一団を見、微笑を浮かべながら呟く。だがレーダーに映る機影がメーム機である確証はなく、そうだったとして助力してくれるとは限らない。単なる様子見かもしれないし、最悪攻撃を受ける可能性すらある。そして本当に助力してくれたとしても、このタイミングでは間に合わないかもしれない。だがヨークタウンは前進をやめない。単に時間と距離を稼ぐなら反転して敵から離れるのが正解にもかかわらず。そう、これは彼女の戦い。他がどうだろうと関係ないのだ。だから彼女はたった一人で、迫る死に向かって咆哮を上げる。
上空の機影に向かい一斉に火を噴く高角砲。放たれた砲弾は、分散を始める敵の一団の中央付近で集中して炸裂する。だが対空砲火というのは本来複数の艦で連携し、敵編隊の前に文字通り弾の幕を展開するもの。彼女の砲だけでは点がせいぜいであり、敵機は当たり前のようにその点を避けて彼女に迫る。
必死の対空砲火もむなしくやすやすと敵機の接近を許してしまう中、ヨークタウンは迫る無数の敵機の中から低空域を飛ぶ魚雷を抱いた機影の動きを追う。この状況ですべてに対処するのは不可能。ならば優先すべきは爆撃機ではなく、雷撃機だ。だがその意図に反し彼女の目に最初に飛び込んできたのは、正面方向から迫る爆撃機。まだ急降下を始めてはいないが、決して侮れる相手ではない。
だがヨークタウンはその一瞬、あえて視線を爆撃機から外し、もう一度辺りを見回し周りにから迫る他の敵機の位置を確認する。真に恐れるべきは雷撃機、対応する順番を見誤るわけにはいかない。だがその直後、ヨークタウンの背中に冷たい感触が走る。
来る!
感覚だけを頼りに、舵を一気に右に切る。だが数万トンの巨体は、数秒のうちにはびくともしない。その間にも群がる敵機は、ヨークタウンをあざ笑うかのように軽やかな機動で必殺の間合いを見計らっている。
我ながらなんと鈍重な身であることかと顔をしかめるのと、その鋼鉄の巨体がようやく身を傾け始めるのは同時。そして数万トンの巨体は徐々に、だが大きく、うねる海面を滑るようにその進路を変える。そのタイミングはまさに、降下した敵機が爆弾を切り離す直前。急降下爆撃は機体にかかる負荷の関係上、一旦急降下を開始したら狙いの修正も、爆弾を切り離さずに再度上昇することもできない。そのため敵機は彼女が身を翻すのを目にしながら、狙いの修正もできないまま投弾を行う。
そうして鳴り響く爆弾の落ちる甲高い音。そのわずかの後、放たれた250キロ爆弾は、敵のパイロットの高い技量をそのまま示すようにヨークタウンの左隣、そのまま直進していたなら直撃しただろう場所に巨大な水柱を上げる。さらに最初の敵機に連なるように後続して突入した敵機も次々投弾し、ヨークタウンのほんのわずか脇をかすめるように、爆弾を次々落としていく。
まさに髪を撫でる様な所を通り過ぎる死。直後視界の左にそそり立つ巨大な水柱が、ヨークタウンの鋼鉄の巨体を文字通り削り取る。それと同時ヨークタウンの肌に走る焼けるような痛み。激痛に右手で肌を抑えれば、生ぬるい粘ついたなにかがねっとりとその手につく。
だがそんなわずかの間にも次々襲い掛かる爆弾。それらはまたヨークタウンの髪か肌、ともすれば衣服を食いちぎるようなところを悔しげにかすめ、だが爆風と水柱で容赦なく彼女の鋼鉄の肉体を強かに叩く。それと同時、ヨークタウンに次々襲い掛かる激痛。右手で抑えている上から衣服が弾け、美しい白い肌は裂け、左頬からつま先に至るまで、彼女の体の左側が黒く粘ついた液体で染まる。そうして左目の付近まで広がった傷に片目を閉じ、激痛にさいなまれながら、しかしヨークタウンはついに一発の命中弾もなく最初の一隊の爆撃を切り抜ける。
視線は雷撃機を追いながらも、まるで一時も爆撃機から目を離さず、タイミングを見計らって行ったかのような完璧な回避。その身のこなしはまさしく、360度全方位を多数の見張りで隙間なくカバーし、対応する軍艦ならではのもの。人間なら背中に目のついたようなと表現されるようなそれも、彼女には当てはまらない。人間なら直感と表現されるような感触も、彼女にとっては自分の目にも等しいものだ。そしてそれこそが、彼女が人間でない何かであることをそのまま示す。
だが一方で、人の姿かたちを持つ今の彼女は、空母ヨークタウンという鋼鉄の塊だった頃とは違う。爆風と水柱で損傷した船体左舷。対空砲が吹き飛び、ゆがんだバルジから重油が漏れ出す。それをそのまま反映するかのように、裂傷と火傷を合わせたような傷が彼女の体の左側一杯に広がり、そこから血の代わりに、黒い重油が滴る。そしてその場所から鋼鉄が痛み傷つくのとは違う、生き物の特有の痛みという感覚が襲い掛かってくる。
これが人の、生き物の……痛み。
初めて知るその感覚を漠然と受け止めながら、しかし彼女はそんなことを気にしている余裕はないと、冷静に思考を巡らせる。右に舵を切って回避した結果、右舷側に回り込んだ敵雷撃隊は射点を失い、再び間合いを見計らっている。攻撃してくるなら腹をさらしている左舷側。そう感覚を研ぎ澄ませる彼女だが、その能力は超能力とは違う。水柱で視界を奪われれば、敵機の位置は分らなくなる。至近弾で発生した水柱と舞い上がった塵や煙に左舷側の視界を奪われる中、ヨークタウンは激痛にさいなまれるその身を押し、近くまで傷の入った左目の瞼を開き、煙の向こうに必死に敵機を探す。
見えてからでは間に合わない? でも早く舵を切りすぎては……タイミングが、わからない。
一瞬の逡巡、だがいまだ晴れない煙の向こうに敵機を捉える前に、ヨークタウンはついに待ちきれず舵を左に切る。そうして舵を切っている間にもめまぐるしく動く銀の機影、徐々に流れていきながらも、もたもたと晴れない煙。ようやく舵を完全に切り終わったその時、晴れきらない煙の向こう、海面をプロペラが切り裂くようなところを小さな影が走る。その一瞬フラッシュバックするあの日の光景、左右両舷から全く逃れる隙を与えず突っ込んできた日の丸の機影。
今度はやらせない。そう上げようとした左腕に走る激痛。左舷の対空砲は先ほどの至近弾で大きな損害を受けており、残りもその痛みに照準が遅れる。そしてようやく照準を整え射撃を開始するのと、敵機が魚雷を投下するの、さらに艦が艦首を敵機に向けるように進路を変え始めるのは同時だった。直後、進路を変える自身の船体に照準が狂い、敵機の脇を対空砲のオレンジの閃光がむなしくそれていく。
でもこのタイミングなら、魚雷は確実に回避できる!
そうヨークタウンが思うのと、彼女の対空砲のか細い反撃を悠々切り抜けた敵雷撃機から閃光が放たれるのは同時だった。
直後両目に走る激痛。蜂の大軍に刺されるようなその痛みに思わず目を閉じ両手でおさえれば、その指に粘りのある重油の感触が伝わり、視界も、彼女特有の360度カバーされた感覚も完全にきかなくなっていることに気づく。
ヨークタウンに雷撃を仕掛けた敵機は、ヨークタウンを飛び越えるすれ違いざま、その艦橋に機銃の一連射を加えた。金属でできたヨークタウンの巨体に機銃などきくものかと思われるかもしれないが、彼女のような巨艦でも防弾が施されているのは重要区画など船体のごく一部。敵雷撃機の7.7ミリ機銃でも、防弾の施されていない艦の大部分や見張り程度、ハチの巣にできるのだ。そして見張りの全滅はそのまま、彼女の目を奪うことを意味する。
見えない!? 魚雷は? 周りはどうなっているの?
見えない恐怖に駆られ、いまだ激痛の収まらない両目の瞼を、震える指で無理やりつまむ。瞬間走る刺すような痛みに、思わずつまんだ指を反射的に離してしまうが、今はそんな場合じゃないと、今度は指の腹で抑えるようにして無理やり瞼を押し上げる。そうして広がるぼやけた視界。時間がたつにつれ右目は徐々にクリアなそれを取り戻していくが、左目は変わらずぼやけたまま。あたりを見回せば右目の範囲こそはっきり見えるが、空を飛びまわる機影の遠近感はどうにもつかみずらい。
測距儀がやられた!? いや、それよりも魚雷は!?
瞬く間に悪化していく戦況、艦だった頃は感じたことのなかった痛みという感覚に戸惑いながら、ヨークタウンは優先順位を見失わず、必死に海面を確認する。と、丁度艦の左右を雷跡が駆け抜けていくのが見える。魚雷は回避できたのだ。
瞬間、思わず吐いたため息と共に、それまで支配していた緊張がわずかに抜ける。だが直後、再び走る冷たい感触。最初に攻撃を受けた時と同様のその感触に、彼女は慌てて背後を見る。だがそこに敵機はいない。
気のせい? いや、まさかそんなはず……
そして次の一瞬、ヨークタウンがはっとするのと、その耳が上空から急速に迫るプロペラ音を聞き取るのは同時。直後、上空を見上げその目で敵機をとらえるより先に舵を右に切るヨークタウン。だがその頃、すでに必殺の間合いに迫っていた森羅機は、そのまま敵空母に激突するような角度で、視界一杯に広がった甲板に番えた矢を放つ。
切り離された涙滴型の爆弾はそのまま、母艦を失った艦載機の流す黒い涙ように、引き起こし上昇していく機から離れ、ようやく身を傾け始めたヨークタウンの甲板に吸い込まれた。
直後腹部を襲う強烈な衝撃。赤く熱せられた金棒で殴られるかのようなそれに、息を詰まらせ膝をつく彼女。次の瞬間、体の奥から何かが湧き上がる感覚が伝わると、口元を手で押えるのと同時に吐き出される黒い液体。激痛に襲われ激しく息を吐きながら、吐き出された重油に黒くまみれた手のひらをまじまじと見つめる。と、そのうち腹部の傷口からは本物の炎が立ち上り、それが徐々に肌を焼きつつ傷口を広げ、肌をじかに炎であぶる焼けつくような痛みを伝え、さらに体内へと広がっていく。
一瞬の間の後、艦の左舷より巨大な水柱が上がり、バルジや艤装を食いちぎり、彼女の肌を浅くえぐって辺りに黒い液体をまき散らす。次々、間をおかず襲い掛かる痛み。そんな中、彼女は開く右目を精一杯見開き、膝を立てる。再び左舷に上がる水柱。すでに傷つき黒く染まっていた肌を再び破片がえぐり、液体と肉片が飛び散る。その痛みに汗と重油にまみれた顔をしかめる彼女。だが一拍の後、唇の端から滴る一筋の黒い液体を、すでにずたずたに破れ、黒く染まった自身の衣服の袖でぐっと拭うと、震える体に力を籠め、ゆっくり、ふらつきながらも慎重に、確実に立ち上がる。
すでに左腕は上がらず、左目も開きそうにない。腹部からは今この瞬間にも炎が立ち上り、肌を焼きつつその範囲を広げている。だがそれでも、ヨークタウンは見開いた蒼い瞳であたりを見回し、激痛にさいなまれながら敵の動きを把握しようとする。
その時、飛び去る爆撃機を、いくつかの機影が追いかけていくのが目に入る。それはヨークタウンのものではなく、バイソンが乗っていたの同じ、メームの戦闘機だ。バイソンが何をどう伝えたのかはわからない。だがどこのものとも分からない、得体のしれない正体不明の艦に戦闘機を派遣するその行動。単に戦闘機を向かわせた先にヨークタウンがいただけという可能性もなくはないが、位置関係からするとその可能性は低い。そしていずれにしても、その戦闘機隊は彼女を襲う敵機に攻撃を仕掛けている。
「ほんと、お人よしね」
呟くとともに、現世の地獄のど真ん中にたたずむ彼女の表情に、なぜだか笑みがこみ上げてきた。
そんな彼女に、敵は血のにおいをかぎつけたサメのように群がっていく。
右舷やや後方から雷撃機多数。面舵は……間に合わない。右手を上げ、無事な右舷の対空砲で敵機を迎撃しながら、ヨークタウンはそう、今度は舵を左に切る。それに対し迫る敵機は重い魚雷を抱え鈍重だが、日夜の猛訓練と重ねてきた経験を物語る、超低空から機体を横に滑らせつつの突進でその弾幕をかいくぐる。それでもかわしきれない弾幕がその翼を食いちぎり、炎と共に海面にたたき落とす。だがそれでも敵は突進をやめない。被弾し火を噴いた機ですら、空中分解しながらでもヨークタウンに迫り、バラバラになって海面に水柱を上げながらでも、破片の一片に至るまでヨークタウンに血まみれの爪と牙を伸ばしてくる。
そうして攻撃をかいくぐった森羅機は、とても弾幕をかわしながらとは思えない華麗さで隊列を整えると、ごく接近しながらも近すぎない絶妙の間合いから、訓練のように整然と魚雷を投下する。そうして扇状に広がり、ヨークタウンの逃げ場をつぶす雷跡。
だが直後、ヨークタウンの巨体はその身を傾けると艦首を左に向け、右舷やや後方から迫る雷跡に背を向けるように身を翻す。バルジ内への浸水と爆弾の直撃で速力を落としている彼女だが、元が高速であるだけに、魚雷から逃げ切ることはできないまでも時間と距離は稼げる。その隙に彼女は迫る魚雷に平行するように船体を向けるべく、艦首を左に振る。そして数秒のうち、ヨークタウンの艦首と艦尾、わずか数メートル先を雷跡が駆け抜けると、雷跡と雷跡の間に身を入れるように死の槍をかわしきる。
直後、どっと吹き出る冷や汗。だが数秒のうち、彼女の表情が再び凍りつく。その瞳に映るのは、彼女の背後、ヨークタウンの艦尾方向からせまる敵爆撃機の一隊。本来このタイミングなら、舵を切れば回避が間に合う。だが今彼女の両脇には、船体と並走するように雷跡が走っている。左右どちらに舵を切っても当る。速力を調整する暇はない。
敵機を鋭く睨み唇をかみしめながら、しかし無力な彼女は半ば祈るように戦闘機に救援を求める。と、数秒のうち現れた、たった一つの機影が、必死に敵機の後方に食らいつき、その翼を食いちぎる。だが味方戦闘機一機に対し森羅機は複数。森羅機が一斉に旋回機銃を放つと、食らいついていた戦闘機はハチの巣のようになる。それでも反撃にめけず戦闘機が森羅機をもう一機を食うのと、その風防にいくつか穴があくのは同時。次の一瞬、それまで敵機に食らいついていた戦闘機は突如バランスを崩し、海面に落ちていく。そうして戦闘機の迎撃を切り抜けた敵艦爆は、左右どちらにも舵を切れない彼女に対し急降下を開始する。
瞬間走る、全身の凍りつくような感覚。どれほど実戦かさね、その身で何度も味わってなお耐えがたいそれに、彼女は思わず手で頭をかばい、きつく目を閉じる。
怖い。
「助けて」
そう思い口にすることがどれほど身勝手なことかわかっていながら、しかし彼女には口をついて出るその言葉を止めることができなかった。そんな彼女の耳元に、甲高い死の音が容赦なく迫る。
直後、投下された爆弾がヨークタウンの髪をかすめ、瞬間のうち彼女のすぐ右脇に巨大な水柱を上げる。猛烈な爆風と水柱がそれまで無傷だった右舷の艤装を吹き飛ばし、彼女の右腕と脇腹の白い肌を引き裂き、黒い液体と肉片を辺りにまき散らす。積み重なる痛み、左腕を上げられず、傷口を抑えることすら満足にできない彼女は、ただ必死に歯を食いしばる。だがそんな彼女の耳元に、また先ほどと同じ甲高い音が迫った。
次の一瞬、うずくまった彼女の腹部を再び殴打する衝撃。華奢な彼女の体から何かが軋み、耐えきれずに折れる音と感触が伝わると同時、ヨークタウンの甲板に穿たれた巨大な2つ目の穴が炎を上げつつ範囲を広げ、甲板を焼き落としつつもう一つの穴とつながり、巨大な一つの穴となる。穴からは毒々しい黒煙が艦の後ろ半分を完全に包むほど上がり、その猛烈な黒に紛れ、金属をも溶かししゃぶりつくすオレンジの化け物が、ちらちらと見え隠れしなが数万トンの巨体をむさぼっていく。それと同じように彼女の体もまた、腹部にできた大きな黒いしみから燃え上がる炎によってどんどん焼き尽くされていく。
衝撃に次ぐ衝撃、感覚が半ば麻痺するほどの激痛に、ただうずくまることしかできないヨークタウン。だがそんな彼女に、敵機は容赦なく襲い掛かる。そしてその正確無比な一撃は、回避運動を取ることすらままならない彼女の甲板に、狙いをそらさず吸い込まれる。着弾した3発目の250キロ爆弾は彼女の甲板を貫き、その奥深く、分厚い装甲に突き当たるまで食い込み、遅延信管により時間差を経て起爆する。
再び響き渡る爆音。船体の内側深くから広がった爆風と破片が格納庫を蹂躙し、側面の壁を吹き飛ばし、上面の甲板をめくりあげ、ようやく逃げ場を得た火柱が酸素を得て天高くそびえたつ。そうして火柱によって巻き上げられた、元は彼女の体の一部だった破片が霰のように彼女の体を打つ。直後急激にぼやけていく視界、遠のく意識。激痛に耐えきれず瞳を閉じ床にうずくまると、それまで持ち前の高速を発揮し続けていた巨体は急速に速力を失いだす。
「もう、だめ?」
呟いた瞬間脳裏に浮かんだのは、この世界に来て初めてであった、あの人の姿。
「……こんな時に、どうしてあの人なの……かな?」
出会ってからわずか数日、かわした会話もわずか。もっと親しかった人も船もたくさんいるはず。そう思いながら、しかし次の一瞬彼女の表情に浮かぶ、安らかな微笑。直後、唇をかみしめ、傷を負っていない右の瞳を見開く。そして痛む全身に力を籠めると、右手で抑えた腹部の傷から黒い液体をしたたらせながら、ヨークタウンはふらふらと、しかし確かに立ち上がる。彼の帰る場所を守るために。
「ああああっ、ああああああああああああ!」
腹の底から湧き上がる声にならない何かを吐き出す。それと共に口元から飛び散る黒い液体。全身ほぼ隙間なく傷だらけ、美しい金の髪を振り乱し、黒い液体を床に滴らせながらひたすら叫ぶ。その姿は狂人的で、元の彼女の美しい容貌からするなら怪人か化け物のようですらある。
だがそんな自分の姿を全く顧みず、ヨークタウンはあたりを見回し、霞む瞳で迫る敵機を捉える。敵は左舷前方およびやや遅れて右舷前方からも、低空より二方向からほぼ同時にヨークタウンに迫る。あの時とほとんど同じ状況。
「取り舵一杯!」
迫る敵機を視界にとらえると同時、瞬時に判断し叫ぶ。それと共に、速力を落としていた彼女の巨体が急激にうなりを上げ、荒れる海面を切り裂き、自ら迫る魚雷にその船首を向ける。そうして巨体を傾けるにつれ、甲板に穿たれた大穴を起点にゆがみ、軋みの悲鳴を上げる金属の肉体。同時に彼女に襲い掛かる、腹部の傷口が裂け広がり、全身の骨がゆがみ、軋む感覚と激痛。もはや力を入れようとするだけで激痛の走る右手に、しかし彼女は確かに力を籠め、炎の上がる自身の腹部の傷を抑える。喉の奥からあふれ出す液体、鼻を衝く油の匂い。必死に引き結んだ口の端からそれが一筋あふれ出るのを感じながら、しかし彼女は一杯に切った舵を、遠ざかる意識と共に必死につかんで離さない。
そうして耐えがたい激痛に心で抗い、暴れ狂うそれを必死に組み伏せると、巨体はじれったいほど鈍重に、しかし確実にその身を翻す。その向かう先から迫る、正確無比な死の槍。扇状に広がり逃げ場を奪うそれから、しかし彼女はあえて目をそらし、右に視線を転じる。そこに迫るもう一隊の敵編隊。例え左舷からの雷撃をすべてかわしえたとしても、そこでさらした右腹に雷撃を受ければ、かわす暇はない。そしてこれを切り抜けるすべがあるとすれば、それはわずかな到達の時間差を突くよりほかはない。
左舷より目前に迫る多数の死の槍に、しかし彼女はあえて目をそらしたまま、うねる海原を切り裂き身を翻す自身の船体の向きと、右舷より迫る敵編隊との間合いを見計らう。そして……
「面舵一杯!」
左舷より迫る雷跡をかわしきるより先、迫る魚雷の方向に艦首が旋回する途中のうちに放たれる叫び。反対に切られる舵、見切り発車的操艦に、それまで必死に左に向こうとしていた巨体が、めいっぱい逆にひねられる。そうして舵が右に切られるうち、身を引き絞るように襲い掛かる激痛。腹部の傷からそれまでと反対方向に歪みが広がり、絞られた傷口から黒い液体があふれ、すでに黒く染み染まった衣服の吸いきれない滴があふれ出し、破れた衣服から覗くわずかな白い肌を伝い落ちる。
左舷方向に旋回していた艦首の動きが急速に鈍る。そこに扇状に広がり迫る雷跡に対しその動きはわずかに早く、完全にその雷跡から逃れるより先に艦首の旋回が止まり、艦が制止する。
少し早かった……かな?
思考だけが冷静すぎるほどに働く中、一筋の雷跡が容赦なく彼女の左腹に突き刺さる。
瞬間襲い掛かる猛烈な爆風と水柱の衝撃。瞬間のうち視界が暗くなると、何が起こったのかわからないうち全身から力が抜け、倒れた体が床にぶつかる痛みが走る。しかしその痛みすらもが、暗転した意識と共に遠ざかり、どこか気持ち悪い感覚と、どうしようもない絶望感が全てを支配する。そうして自分の体が自分のものでなくなるかのように、何もかもが失われていく。意識も感覚も、何もかも。
この感覚、どこかで……どこで?
もしこれが彼女にとって初めての経験だったなら、彼女はそのまま、全てを失っていたかもしれない。
だが瞬間、フラッシュバックするあの日の、彼女にとって最後となったはずの光景。
数万トンの巨体を霞ませるほどの巨大な水柱。美しい海の青と、波の白、全てを飲み込む化け物のような炎の赤が、横付けしていた彼女の、鋼鉄製ながら華奢な肉体を容赦なく真っ二つにへし折り、深く暗い水底に引きずり込んでいく。
待って、お願いだから、私はどうなってもいいから、彼女を連れて行かないで。お願いだから!
「ハムマン!」
重油の滴を吐き出し叫ぶと同時、視界に映し出される、伸ばされた人のような今の自分の腕と、ところどころ重油に黒く染まった床。触れた床から伝わる冷たい感触。腹部と左わき腹からジンジンと激痛が広がり、そこから何か、生きる力が流れ出すような感覚が伝わる。
こんなことしてる場合じゃない。
回復した思考と意識に、とっさに息を吸い込むと同時、むせかえる肺。そうして不足している酸素すら満足に供給できない中、それでも彼女は全身に再び力を籠める。無我夢中であたりに手を伸ばし近くの壁を探りあてると、這うようにそれに近寄り、背中を押し付け体重を預け、両足を床につけ膝を曲げる。そして一度短く、大きく息を吸い込むと、口を真一文字に引き結び、膝にすべての力を籠め、壁に背中を滑らせるように一気に立ち上がる。
完全に立ち上がると同時、激しく切れる息。先ほどと同じことにならないよう、ゆっくり息を吸いながら、しかし同時に彼女はしっかりと目を見開き、右舷を見る。そこに扇状に広がり迫る白い雷跡、先ほどと同様機銃を放ちながら上空を飛び越えようとする敵機。
まだ沈めない。死ねない。
「うおおおおっ、おあああああああああああ」
決して無事とは言えない右腕を、しかし必死に伸ばす。それに従うように向けられる機銃と高角砲の砲口。艦が雷跡にむけ旋回する中放たれた閃光は、敵機ではなく迫る雷跡にむかい、大小の水柱を上げる。しかし大半の弾丸も砲弾も水切りのように海面を跳ねあさっての方向に飛び、そのうち艦の旋回に砲の旋回が間に合わず照準がそれ、雷跡は悠々とその迎撃を切り抜ける。
そうしている間にも対空砲の迎撃を受けなかった敵機は、ヨークタウンに容赦なく機銃を浴びせる。再び襲い掛かる痛み、しかし彼女は今度こそ目を開け、迫る雷跡を見据えたまま、それに向かって艦首を旋回させる。
間に合わない。
理解しながら、しかし彼女は確かに艦橋に立ち、迫る死の槍を睨み、雄たけびを上げた。
再び立ち上がった巨大な水柱が、彼女の数万トンの巨体を覆い隠した。
「第二次攻撃隊より連絡。敵大型正規空母1隻に爆弾魚雷各5発命中。撃沈ほぼ確実なるも味方の損害も甚大とのこと」
通信員の報告が空母霊岳艦橋に響き渡ったのは、第三次攻撃隊の発艦作業の真っただ中のことだった。
「やはり戦闘機の護衛なしでは損害は避けられないか。しかしこれで先ず天狼、月狼の敵は討った。残る敵艦隊本隊にも、間もなく我が第三次攻撃隊と雷霆隊が襲い掛かる。これで万一撃ち漏らしがあったとしても、我々にはまだ戦艦がいます。勝てます」
将校の一人が自身ありげに言い、それにほかの多くもうなずく。確かに森羅側はすでに2隻の大型空母を失い、第二次攻撃隊も大きな損害を受けている。だが艦載機に大きな損害が出ているのは敵も同じであり、一番の不確定要素であった正体不明の敵空母も撃沈。残るは敵艦隊だが、空母2隻を失った現状でも、航空戦力、水上艦共に圧倒的に森羅側が有利であり、まともにぶつかりあったなら負ける要素はほとんどない。何より味方を失った森羅軍は今、将兵の全てが敵討ちに燃え、士気は最高潮に達している。むしろ艦載機が活動できなくなる日没までにどれだけ敵艦隊を追撃できるか、そこに焦点は絞られるように思われた。
そんな風に敵討ちに燃える幕僚達の言葉に、しかし指揮官である河合は険しい表情を崩さない。今彼の脳裏に浮かぶのは二つの懸念。
正体不明の敵空母は本当に撃沈できたのか? 敵に援軍の艦隊はないのか? もしあるならばどの程度の戦力か?
二つの懸念は、答えによっては今何とか保たれている森羅側の優位をすら揺るがしかねない。
「攻撃隊に続き、索敵機の発艦を行う。敵航空機及び潜水艦への警戒を怠るな」
徐々に有利を取り戻しつつある戦況に、しかし険しい表情のままで放たれたその言葉が、彼の懸念をそのまま物語っていた。




