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甘党と靴と鉄拳制裁

お久しぶりです(・ω・)ノ

作品中の行動はマネしないでね、大惨事になるよ!

「待って、気配が一つじゃない」

 そんな千里の一言に反応し、全員が硬直する。

TMレボリューションごっこをしていた油すましも同様だ。

その言葉を聞いてから、おれも聞く方に集中する。

その様子に気づいてくれたらしく、何も言わずに近づいてきてくれた。差し出された手をこちらもまた無言で握り返す。

子供っぽくて正直嫌だが、「贄」のブーストは接触していた方が効果的だ。

さて、耳に全神経を集中させていたのだが、それを遮るように声が次々と耳に飛び込んでくる。

「おやおやぁ?神聖な現場で何をしていらっしゃるのですか、自称妖怪探偵さん。甘えたですか?赤ちゃん返りですか?ちゃんと探偵として責任もって行動していただけませんか?」

(うわ、うるっせえコイツ)

 とりあえず、ほっとけば静かになるだろうと思ってガン無視を決め込む。

耳に神経を集中、耳に意識を集中、聴こえてくる音のことだけを考えて……。


柏手、タンバリン、クラッカー連発、口笛、指パッチン、横笛、大声、トランペット、銅鑼、ファゴット、イエローチキン、エトセトラエトセトラ。


「うるっっっっさ!!」

 突如として耳元に大量に叩き込まれた音の大きさと量、その種類の多さに驚いて耳をふさぐ。

そのままその場にしゃがみ込むと、慌てた様子で田中さんが耳をふさぎ、背をさすってくれる。

だが衝撃というか、その音たちによってもたらされた予想外のダメージが大きかった。

耳はキンキンと耳鳴りしていて、本来聞こえているはずの田中さんの声やら環境音がずいぶんと遠くに聞こえている。

反動からか、軽い過呼吸になってその場で浅い呼吸を繰り返しながら、無理矢理自分の視線を上にあげる。

見上げたその場には、満足げに性格の悪い笑顔を顔に浮かべた固武が居た。

(性格悪いことすんなあこの人……。というか、銅鑼やらファゴットって、どっからどうやって持ってきたんだよ……)

 もう一周回って冷静な思考になった俺は、自分の状況を他人事のように客観的に眺め始めていた。

ここまで清々しい妨害となると、いっそのこと感心してしまう。

まあ自分が視えないし聴こえない……つまり認識できない存在が居ると主張し、自分が担当している事件現場をひっちゃかめっちゃかにいじくり回すのだから、敬遠するのも分かるが。

そんなことを考えながら、過呼吸と頭痛、そして耳鳴り、それらのコンボによってもたらされる吐き気が過ぎ去るのをひたすらに待つ。

そんな俺の原状復帰を時間が舞っていてくれるはずもなく、おれの視界に映る映像は絶え間なく動いていた。

具体的には、俺が痛みや不快感から変な行動をして事態を悪化させないように見張りつつ、心配そうな表情のまま俺が身体的に楽な状況を作ってくれている田中さん。

ニタニタしている固武の方に全力疾走する千里、そしてそれに三秒どころではなく遅れて気づく固武。

固武は自分が鍛えていて強い、と移動中豪語していたが、それを差し引いても千里の行動への反応が遅れ過ぎていた。

「せいあッ!」

 走り幅跳びのような形で思い切り跳躍し、そのまま足を固武の腹にめり込ませに行く。

それをどうにかして避けようとしたが、反応が遅すぎた。初動が遅れてしまったがゆえにかわし切れず、脇腹に全体重と勢いを乗せた蹴りが掠る。

「なっ!?」

「ちえ、残念」

 直撃を避けたはずなのだが、固武はその場でうずくまって動かなくなった。

「ちょ、管原少女……」

「千里」

「イエスマイレディー、千里」

「で、何?」

「警察を蹴っっちゃ駄目……っていうのは良いや。俺もすっきりしたし、辛牙少年のこと考えると妥当だし。それは置いといて。何したの、これ」

「見てわからない?蹴って、蹴り損ねて、掠った。以上」

 淡々と答える千里に対し、明らかに全く納得していない顔をした田中さんが、更に言い募る。

「これはそれだけで説明できる痛がり方じゃないでしょ!?」

「ああ……そういうこと」

 ようやく何を言いたいか理解したらしい千里が、おもむろに自分の足を上げる。

ローファーを履いたその足で、見せつけるようにハイキックの構えを取る。

そうして目の前の岩の方に視線を向け、思い切り足を振り切る。

「ちょ、ケガ……!?」

 バキッ! (岩がへこむ音)

「はぁ……?」

 訳が分からない、という顔で静止してしまっている田中さんの気持ちの整理を待たず、千里は言葉を続ける。

と言っても、その言葉は非常にシンプルなものだったのだが。

「これ、安全靴仕様だから」

 普通ローファーに安全靴仕様など必要ないと思うのだが。

因みに知らない人がいた時のために解説しておくと、安全靴とは主に消防士や工事現場の人が使う、爪先に鉄板が仕込まれている靴のことだ。

本来は鉄骨やらコンクリートの塊やらが降ってきて、足が粉砕されたりするのを防ぐためのものである。

鉄板を仕込んだ靴で人を蹴るとどうなるか。もうお分かりだろう、単なる凶器である。

良い子も悪い子も普通の子も、絶対真似をしてはいけない所業だ。

それを助走、全体重込みで蹴りに行くなど論外だ。掠っただけでも相当痛かろう。

「殺意高すぎない!?」

「掠るだけだったし、見る限り骨折も何もしてないみたいだから大丈夫大丈夫」

 悪びれる気もないらしく、けろりとした表情で答える千里。

まあ実際、うずくまっている固武もただただ痛いだけで何一つ問題はなさそうだが。

「千里は辛牙少年が絡むとポンコツに……」

「今からこの足で蹴られるのと今すぐ黙るのどっちが良い?」

「今すぐ黙ります」

「ならば良し……さて、ちーちゃんが回復したらもう一回動くよ」

「了解」

ここまで読んで下さりありがとうございました。

亀更新ですがこれからも頑張ります故、よろしくお願いいたしまする。

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