名前1
「さて、、と。じゃぁ帰りますか」
警察署から出て、再び車に乗り込む。
「はい!しゅーくん。またよろしくお願いします!」
少女も車に乗り込みながらそう言った。
「あぁ、記憶。戻るといいな」
「はい!頑張ります!」
少女はそう言ってビシっと敬礼をした。
場所が場所だけに俺は吹き出してしまった。
「そういえば、あの警察官の、、ひろきさんでしたっけ?家に呼ばれて凄く喜んでましたけど、、しゅーくんの家に来たことないんですか?」
少女は不思議そうにそう尋ねた
「あー、いや、来たことないってことはないよ。むしろ何回来てんだろなって感じだよ。100とか200じゃないんじゃないか?」
そう。ひろきは昔から俺の家にはよく来ていた。
何もなくても学校帰りに寄って遊びに行ってたものだ。
「なら、なんであんなに嬉しそうにしてたの??」
「そうだな、、それは最近は全然来てないから、、かな」
「あー、久しぶりに行けるから喜んでたんだね!」
そうだ。昔はよく遊びに来ていた。
しかし、最近、、ここ3年くらいは全く来ていない。
そもそも話したのも久しぶりだったからな。
「あぁ、そうだよ。俺も楽しみだ」
そんな話をしていると家に帰り着いた。
「ただいまー!」
少女は家に入るとそう言った。まだ2日目なのにもう我が家のようだ。
それにしても、これからこの少女と共同生活をしていくのか。。
冷静に考えると問題が山積みだな、、
まずは、、
「名前どうしようか、、」
そうだ、この少女には自分に関する記憶が全くないのだ。もちろん自分の名前も分からない。
1日泊めるだけなら名前など分からなくても良いとそう思ってたのだが、これからどれくらいのあいだか分からないが一緒に暮らすとなると名前がないととても不便だと思った。
「名前、、思い出せないか??」
「うん、、ごめん、、」
「いや、謝らなくていいんだよ。それにしても何か名前がないと呼ぶ時に困るからな、、」
「そうだね。。名前、、つけてくれる??」
少女は俺に名前をつけるよう求めてくる
「え??俺が?思い出せないとしても自分で何か考えた方がよくない?」
「しゅーくんが呼ぶからしゅーくんにつけて欲しいな。わたしのこと見つけてくれたのもしゅーくんだし」
「そっか、、分かった。ちょっと待ってくれな」
まさか俺が人の名前をつけることになるとはなぁ。いや、いずれは自分の子どもが出来て、その子に名前をつけたいとは思っている。しかしまさかこんなに突然。しかもこんな中学生くらいの子の名付け親になるとは思ってもみなかった。
「うん!ありがとう!!」
少女は期待した顔でこちらを見ている。
正直この少女はとても可愛い。いや流石に恋愛感情などは持ち合わせていないが、顔にしろ性格にしろとても可愛いのだ。そんな少女に変な名前をつけるわけにはいかない。そう思って俺は必死に考えた。
「あい」
そして俺は少女をそう呼んだ。




