第二十四話 分譲マンション
第二十四話 分譲マンション
平日の非番の日、三宮にいた。
不動産屋に乗り込む為だ。
店舗も本人の名前もわかっていたので、
直接本人を指名するか、身体の空いてそうな瞬間を待って偶然を装うかだ。
それは、超大手の有名な不動産屋だった。そいつは、営業出来るぽかったので、結構稼いでいるのだろう。
大手なので、中に入って様子を見ても、すぐには声をかけられない。
事前に、外からそいつの動きは確認していたので、暇そうな瞬間を狙って入っていった。
「あの〜分譲マンションを見せて欲しいのですが」と言うと、愛想良く応対されて、名刺を頂いた。『高橋弘』と書いてあった。
「どの様な物件でしょうか?!」と聞くので、
「三宮に住みたいんですけど、分譲が良いです」と言った。
「失礼ですけど、今どちらにお住まいで?!」と聞くので、
「塚口です、そろそろちゃんとした住まいが欲しいもので」と言うと、
「ご家族の方々は何人くらいで?!」
と言うので、
「今度結婚するかも知れないので、二人、ああ、もうひとり連れ子がいるので三人ですね」と言うと、
「失礼ですが、どちらにお勤めで?!」
「○✖️郵便局です」
「正社員ですか?!勤続年数は?!」
「もちろん正社員です。勤続は25年です」と言うと、
「わかりました。今良い物件ありますよ、三宮ですよね。お客様の職場も近いし、今から行きましょう」と、会社の車に乗って、新築の高そうなマンションに連れて行かれた。
マンションの値段はなんやかんやで、4500万円、三宮ならお手頃だが、自分には少し高いなぁ〜と思いながら、いや、全く買う気がなかったが、でも欲しいなぁ〜とも思った。
ひと通りマンションの中を見せてもらい。更にもうひとつのマンションも観にいった。
「なかなか良いですねぇ〜」と話していると、ちょっとまぢで買う気になってしまった。釣るつもりが、釣られそうになっていた。笑笑
それから不動産の会社の店舗に戻り、借り入れとかの話になって来た。あったいコーヒーも出してくれた。
自分が塚口にアパートを持っているので、それを売って、もう三宮に引っ越して来るか、アパートをちゃんと全部屋貸してローンに回せば、もう少し上のマンションにも住めますよとかも言ってきた。
売ってもそこそこ売れるので、どっちに転んでも大丈夫ですと言う。
そこで、少し渋ってみせた。
「いやぁ〜どうしようかなぁ〜 塚口にも物件あったしぃ〜」と言うと、
「塚口は、最近分譲マンション良く立っていますよねぇ〜 でも殆どもう売れていますよと言う」
「まあ、確かに行ったんですけど、殆ど売れていました。それに良い場所は残って無かったですね」と言うと、
「でしょ、良い所はすぐに売れるんですよ、でもこのマンションなら、今、大丈夫ですよ、三宮なんで、もしも売って引っ越す場合も、高く売れますよ」
「そうですか?!」
「そうですよ、買っちゃいましょうよ」と言う。
それから人が変わった様に売り込みが激しくなって来た。自分もまんざらでは無い表情で聴いていた。
そして、「手付けも打ちゃいましょうよ」と、どんどんエスカレートして来たのだ。更にどんどんは高橋は営業がしつこくなって来た瞬間を待っていたのだ。
「しつこいなぁ〜少し相談させてくれと言ってるやん、あんた『えりん』にもしつこく言ってるんやろ、ここは、少しの相談もさせてくれへんのか?!」
「えりん、って」、高橋の表情が変わった。
「中華料理店で働いているえりんだよぉ〜、あんたがしつこくしている」
高橋の表情が変わり出した。
「しょっちゅう通って、しつこくしてるらしいやん、そのえりんとその子供と暮らす為に部屋探してんねん、ええ所で辞めろよ、おっさん、お前昨夜も来てたらしいやん、気持ち悪っ、部屋探しに来たら、ストーカーが商売してんのかよ、部屋バレたらまずいなぁ〜」と言った瞬間周りは凍りついたが、上司みたいな奴が来て、
「すみません、これ以上は」と言ったので、今なら営業妨害やカスハラとかになってしまうかもだったが、当時はまだ緩かった。高橋は流石に黙ってしまったが、上司が来て、
「中の方へ」と言われたが、
「いや、もういいです、もうこの話は無かった事で」と言うと、上司は、
「わかりました、指導して置きます」と言ったので店を出た。
ちょっと大人気なかったかなぁ〜とは思ったが、押さえ切れないもんは押さえきれなかった。
続く〜




