第二十三話 不動産屋
第二十三話 不動産屋
えりんは、平日全く帰って来なくなったし、なんなら時々日曜日も帰って来なくなった。電話すると、疲れてスナックのママの家で寝ていると言う。
「会いたいのは私も同じなんだからわかって」と言う様になった。
そうなのはわかるが、えりんにどっぷり浸かっている今、会いたくてしょうがなかったのだ。
(不動産屋と会ってるんちゃうか?!)とか、色々と妄想する。
えりんは良くモテる。
以前から何処の店に行っても、わざわざ個別に名刺を貰う。
天六の棒ショップの店員など、後から追いかけて来て、名刺の裏に自分のプライベートなLINEのIDとか、携帯番号とかを書いて渡すのである。
理由は色々付けて、営業なのだが、表情も隙あらばの目をしている。
何処に行ってもそうだ。
日本人っぽいけど、なんか異国の雰囲気があるので、雄としてはなんかほっておけないものを感じるのだろう。
けっこう不細工な男ほど必死になって頑張っていた。遺伝子が叫ぶのだろう。
美しい女に、自分自身の遺伝子を必死こいて残したいと、次世代の為に。
それは、本人にとっては良い事かも知れないが、こっちにとっては、たいへんに御迷惑な話だった。あまりにしつこいのでぶち切れる事が多々あった。
不細工だったり、ダッサイ男は、本能的に抑えきれないのだろう。
不動産屋の男はまさにそれだった。
むかつく雰囲気の小柄で小太りだった。
えりんが言うには、しょっちゅうLINEが来るらしい。ブロックしても良いのだが、中国料理店には、毎晩の様に来て色々な業界の人を連れて来てくれるらしい。
「もう、中華料理店辞めろよ」と言うと、
「良いお客さんなのよ、これ以上しつこかったら辞めるから」とは言うが、えりんもちやほやされて、少しは良い気分だったかも知れない。
「あんまり酷かったら、そいつぶちのめしてやるから」と言うと、
「辞めて、あなたの仕事無くすでしょ」と言う。
確かに先に退職金貰っていないとやばいが、郵便局なんていつ辞めても良いと思っていた。まさに当時はブラック企業だったからだ。
今でこそ、色々叩かれて改善されて来ているが、当時は、嫌がらせの人事を堂々とやる職場だった。
従業員同士は良い関係なのだが、時々どうしようもない管理者が転勤して来る事があった。管理者が悪くても何かの原因で喧嘩すると、
「何日付けで、なんとか局に転勤の内辞の辞令が出ました」とか局長室に呼ばれるのである。
自分は、良く喧嘩していたので、五局も転勤していた。それも些細な正論をのたまった事が、管理者のプライドを傷つけたからなどと、寝ぼけた理由らしかった。
今、どんだけ管理者が点呼のデータを改ざんして、叩かれてんねんの話である。笑笑
まあ、それはさておき、その不動産屋はとにかくむかつく。いつか、何かしらの打撃を与えたいと思っていた。
続く〜




