第二十五話 最終回 『居酒屋森熊』
第二十五話 最終回 『居酒屋森熊』
それから一か月が経って、えりんの離婚が成立した。
えりんの日本人の夫が、新しい日本人の彼女と、早く結婚したいと言い出したので、離婚が早まったらしい。
これでもう半年後には、えりんと結婚出来るようになったが、ここで問題が生じて来たのだ。
中国にいるえりんの母親、レイレイのおばあちゃんの体調が良くないのと、レイレイの父親が復縁を望んで来たのだ。
今更何をだが、最低レイレイの親権だけは、欲しいみたいな事を言ってるらしい。国が違えば事情は全くわからないので、えりんに、
「どう解決すんの?!と言うと、一度中国に帰ると言い出した。それで自分が、
「もう結婚しよか?!」
「半年は出来ないぢゃない」
「まーね、でも向こう解決しなきゃでしょう、帰って来たら嫁に貰うよ、レイレイも込みで」
「ありがとう、でも、ちゃんと毎日のご飯食べさせてね、レイレイも」
「わかったよ。ちゃんとするから、キャバクラも控えるし」と言うと、笑っていた。
とにかく最後の作戦が始まった。えりんの残りの借金二十万円を全て払って、店を辞めさせて中国に送った。
最初の一週間は連絡がついていたが、何故か途中から連絡つかなくなったのだ。
「おいおい、まさか帰って来ないか?!」と『居酒屋森熊』で喋っていると、ヨーちゃんが、
「信じてやれよ、何か事情があるんだろう」と、らしくない事を言い出した。
「ヨーちゃん、どーしたんや、カッパの神様に見えるわ」と言うと、
「たまには、人間らしい事を言うわ!!、妖怪やけどな」と笑っていた。
ヨーちゃんとゆいは、同棲しているが、まだ結婚までは考えていないらしい。
それから、更に三か月経ったが、連絡も全く来なかった。すっかり諦めていて、その間に、専門学校の学生が部屋を借りるようになっていた。
チョウさんと言う伊丹のママの親戚だ。一応真面目な学生だが、社交的過ぎて逆に面倒くさかった。
夜バイトが終わってから遊びに来るのである。
「シャチョウ、ビールカッテキマショウカ?!」と、
パシリをやってくれるのである。ビールは飲まないので、
「ハイボールと、タバコ買って来て」と、言うと、
「ボクモイイッスカ〜」とビールとタバコをねだるのである。
「しゃあないなぁ、ええよ」と言うと、自転車で速攻で買ってくるのである。
タバコ辞めていたのに、ちょこちょこまた吸うようになってしまった。
チョウさんは、当時オムツを買って、中国に送るバイトや、ラブホテルの掃除のバイトをやっていて、バイトのエピソードなどを色々教えてくれるのである。
まあ、オモロイやつだった。
それからまた、梅田のキャバクラ遊びをしだした。
ある日、仕事も復帰して、その日の配達が終わり、残務の作業をやっていると、見知らぬ電話がかかって来た。
「正ちゃん迎えに来て!!」と、レイレイから電話があった。
「え〜っ」と仕事をとっとと片付けて、梅田に行き、関空行きのバスに乗った。
関空に着くと、レイレイが抱きついて来た。
「何やってたんやぁ〜」とえりんに言うと、「旦那と喧嘩して、携帯取られてたのよ」と言う。
まだ完全に解決してはいないが、レイレイの親権はまだ先の話になるが、悪い方には行ってないらしい。
とりあえず、えりんを抱きしめて、塚口に帰って来た。当然、三人で『居酒屋森熊』に行き、カッパのヨーちゃんと、森熊に報告した。
レイレイは、久しぶりの海鮮丼をばくばく食べていた。
ヨーちゃんが、
「せやろ!!信じてあげて良かったやろ」と言うと、
「流石カッパの神様!!、更に頭薄くなって来たやん」と言うと、みんなで笑いが起こった。それから森熊が、
「あっ、報告あんねん、俺再婚するわ!!」、
「えーっ、」とみんな言うと、大学生のアルバイトの中で、一番別嬪の女の子と結婚する事が決まったらしい。
「流石男前やなぁ〜」とみんな拍手して、いつものように、常連客みんなで乾杯した。
終わり
今まで読んでくれてありがとうございました。
だいわ朝廷




