第十二話 ボラカイ島
第十二話 ボラカイ島
ダン夫婦と、たわいもない話をし、日本で、もし仕事があれば、仕事を紹介する話をし、空港まで向かった。
ボラカイ島行きは、どこのターミナルか、分かりづらいが、あらかじめダンに調べて貰っていたのでスムーズだった。
スマホからチケットを発券して貰い、待合に行くと殆どが西洋人だらけだった。フィリピンの地元民はその当時は、まだ高嶺の花だったみたいで、現地人は少なかった。それで、
「セレブみたいだね」と、なんかえりんは興奮していた。
福建省はモロ海側だと思うが、何でそんなに海がみたいのか不思議だった。まあ、何せ中国は規模がデカいので、えりんは少し内陸の方の出身かも知れない。
まだ時間があったので、タバコを吸いに行こうとしていたら、
「あまり吸わないでね、キスしないわよ」と言われてしまった。
(フェラは上手いけど、キスは度下手くそなくせに)と思ったが、
「お、おう」と答えた。えりんはタバコが大嫌いだ。自分はタバコが大好きなのだ。
アマチュアとはいえ、ボクシングをやってる人間は、タバコご法度なのだが、実際は結構吸う人が多いのだ。
ジムでも結構いる。もちろんプロなら、ボクサー失格だが、稀に喫煙するのに、強い選手がいる。辰吉さんや、リカルドなど、世界チャンピオンでも吸っているらしいが、リカルドは、試合の何ヶ月前から、禁煙するとか聞いた事がある。
今回は、えりんと何発もヤレそうなのでタバコを減らすが、葉巻も、パイプも、手巻きも、電子タバコも色々大好き。
けれど結局、市販の紙タバコが一番美味かった。
喫煙所から帰り、えりんと現地着いたらどうするかを話あっていたら時間が来た。
飛行機はちょっと小さい飛行機だったが満席だった。白人だらけで、
「ここはフィリピンかよ?!」と思った。
カティクラン空港に昼過ぎに着くと、迎えのバスが来ていた。実はここから港に行き、船に乗ってボラカイ島に上陸するのである。その時間待ちが結構長くて、わかりづらいのである。
今は知らないが、当時は面倒かった。キツキツのバスに乗り、港に向かった。クーラーあまり効いてないし、狭くて不快だったが、港に着くといい風が吹いて来た。
船を待つのは長かったが、オーストラリア人の家族と知り合いになり、たわいもない話をした。アジアで知り合う西洋人で、結構友好的なのはオーストラリア人だ。嫌な思いをした事がない。
「オーストラリアって、海、綺麗なんちゃうの?!、来る必要あんの?!」と、英語で言うと、
「家族旅行なら外国っしょ!!、それに近場で、高級リゾートで海が綺麗なので、家族も喜ぶ」と、英語で返って来た。
それから子供と日本の話などをしていると船が来て、ボラカイ島に向かった。三十分くらいで、港に着いた。荷物を下ろして、桟橋に立つと、フィリピン人の人夫が勝手に荷物を持っていく、
「ノーサンキュー」と言うけど、黙って持って行く、桟橋から港のターミナルまでそこそこ距離があるので、助かるのであるが、案の定、ターミナルでチップを要求された。
「頼んでないやん」と言ったが、断れる雰囲気ではなかったので要求額を渡した。なんかフィリピンの他の街とは全然雰囲気が違っていた。その人夫は、世界ランカーのフィリピンボクサーみたいないかつい顔としていた。女連れてなかったら、がっつり文句言うが、ここは、引いた方がいいだろう。とにかく港のターミナルからホテルの車を探す。タイの島でもそうだが、南国の島はなんでもわかりづらい、あまり進化しない。無駄な金をかけないのだろう。
なんとかバスを見つけたが、バスというより、トゥクトゥクのデカいやつみたいな感じだった。フィリピンでは、トライシクルと言う。もちろん窓締め切っていないし、一応ドアはあると言う、南国まんまのおおらかな感じだった。それに乗って、ホテルまで向かった。
けれど、ホテルは清潔そうで高級感があったし、デカかった。
プールも何個も見えている。しかもマニラなどの都会のホテルよりは安い。
一泊確か日本円で、一万四千円。
もちろん何かの割引きだったが、この広さと綺麗さなら、この値段で上等だ。
ホテルの部屋に行くまでの通路に、プールが何個かあった。部屋に着いたが、えりんの肉体は、もうゲットしたので、がっつく必要もなかった。
冷蔵庫を開けたらウエルカムドリンクがあった。それを一口呑んで、ベットに寝転がったて、「ふー」と、ため息をつくとえりんが笑っていた。えりんに、
「とりあえずプールに行こうか?!と言うと、
「うん、どれがいい」と、言って何着かの水着を見せてくれた。白に青い花柄のワンピースが目を惹いたので、
「それにして」と言った。
たぶん、何を着てもたぶん似合うのだろう。青色の花は大好きだった。えろい事をしたろうと思うより、プールの中のえりんを眺めていたかった。色々想像したが、とりあえず「プールに行こう!」とバスタオルと水着を持って部屋を出た。
せっかくなので、着替えて一番デカいプールに行った。若い衆がいっぱいいたが気にしない。えりんをみて欲しかった。それで、
「参ったか!!」で、ドヤ顔してやりたかったのだ。えりんはプールの端に浸かって麦わら帽子を被っていたが、帽子を脱いで、「おりゃぁ〜!!」と身体を魅せていて欲しかった。雲空だった空が、段々と晴れてきて、南国の独特の世界が拡がって来た。
若造がワザと飛び込んで、変な日本語で話しかけて来たが、コイツは、話が続かず、しかも内容がしょうもなかった。
えりんに直接話かけず、自分に何か話かけていたが、全然話がおもんなくて、そのうち諦めて向こうに言ってしまった。プールの中で、何もえりんと話すことはなかったが、凄く楽しかった。
リョウちゃんの事などすっかり忘れてしまっていた。四十分くらいして、
「もうあがろう!」とえりんは言ったので、そのままバスタオルを巻いて部屋に戻った。
初めてえりんとキスらしいキスをして眠った。
夕方目が覚めた。えりんは既に起きていて、レイレイと、レイレイのおばあちゃんとwe chatの動画で会話している。
自分も起きて、えりんの後ろから手を振った。レイレイは中国に帰って、向こうの小学校に転校したらしい。
「元気」とだけ言うと、
「うん、元気?!」と言ってくれた。明らかにえりんより日本語上手だ。
少しだけ話をしたが、すぐにえりんに、「向こうに言って」と言われ、えりんはレイレイと楽しそうに話を再開した。何を言っているかわからなかったが、楽しそうだった。学校の話でもしてんのかなぁ〜と想像しながら、シャワーを浴びに行った。
出て来ると、「私も入る」とえりんもバスルームに向かった。
「シャワー浴びたらご飯行こう」とえりんが言った。二十分くらいしてから、えりんは出て来た。女のシャワーは長い。その間にウヰスキーが飲みたかったが、冷蔵庫にはなかった。例のサンミゲルとミネラルウォーターしか無かったので、サンミゲルを呑んだ。サンミゲルは度数の高いビールもあるので、少し辛くてまあまあ美味い。日本のビールよりはマシだが、ウヰスキー好きには弱い。まあ、えりんを待ってる間は十分だった。それから着替えて、プールサイドにあるレストランに行った。
今夜はバイキングみたいな形式だったので、とりあえず料理を取りに行った。肉系が中心だったので、えりんは喜んでいた。豚の丸焼きがフィリピン人は好きなので、レチョン?!と言うのか知らないが、豚の料理が沢山あった。
一応、一周して色々な料理を取ったが、はっきり覚えていない。注文すれば部屋にも持って来てくれるらしいが、とりあえず片っ端から少しづつ取って行った。
自分はウヰスキーを注文して、えりんはジュースみたいなカクテルを頼んでいた。明日は朝から、ホワイトビーチと言う、有名なビーチに行く事になったので、食べながらの作戦会議だ。
事前にYouTubeとかで、えりんは調べていたらしいが、小さいビーチが色々あって、その中でもホワイトビーチが最高に綺麗らしい。地図を見せて貰ったが、確かにビーチだらけだ。ホテルから行くには、トライシクルに乗って行くのであるが、意外と遠い感じだった。
「これちゃんと行けるのかなぁ〜」と言うと、
「大丈夫よ、私がついているんだから」と行く気満々だった。
「えりん、ちゃんと英語で説明出来るの?!」と言うと、
「大丈夫、大丈夫」と、言っていた。
バイキングにも慣れてくると、見慣れない料理にも挑戦していた。
フィリピン人はコーラを良く飲む。えりんも最初は、カクテルで、スプライトか、7upみたいなやつばかり飲んでいたが、そのうちコーラも飲む様になっていた。
自分は流石に、ご飯時にコーラは飲まないが、朝には結構飲む様になっていた。
続きは、部屋に帰ってから話そう、と言う事になって、ホテルの部屋に戻った。明日の話も大体決まって来たので、今度は、今後日本では、どうやって生活して行こうかの話もした。
まずは、仕事を辞めたえりんはどうするのかと言う事である。
ゆいと、店の借金の話は、メドがついたのかと言う話になった。とりあえず借金は、半分づつで解決している。
ゆいは、大阪のマッサージで店で働いて、意外に稼いでいるので余裕らしい。
えりんはもう、マッサージも抜きもやりたくないらしいので、友人である三宮の中国人ママのスナックと、料理屋で働く事になったらしい。
夕方、六時から十一時まで中華料理店で働き、十一時から深夜二時までスナックで働くらしい。
そして、ママの部屋に泊まって、一緒に住んで、日曜日の朝に塚口に帰って来て、月曜日の夕方に帰る、という感じで考えているらしい。
「じゃあ、あんまし会えないぢゃん」と言うと、
「日曜日から、月曜日の朝まで居てあげるから許して」と言った。
「まー借金返さないと、しょうがないもんなぁ〜」と言うと、
「商売ちゃんと覚えてくるから、お金返したら、一緒にお店をやろうね」と言ってくれた。
「結構、考えてんねんなぁ〜」と言いながら、明日早いので、すぐに一緒に寝た。
続く〜




