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XⅤ - 2

 ゴールデンウィークに淡路と須田と、あと錦と僕の四人で小川の下宿に遊びに行った。

 叔父にホットプレートを借り、お好み焼きを作り、小川が作っておいたカレーを食べた。

 叔母が野菜スープを差し入れてくれ、美味しくて淡路と錦が感激してた。須田が母親ときた時は冷や汁で、やはりすごく美味しかったと言った。母親はその後も、友人と何度か来てくれているらしい。

 くだらない話を散々して、進路の話になった。

 将来どういう仕事をしたいかなんてわからないと話したら、錦が言った。

「いいんじゃない? 俺だって何になりたいかわかんない」

 錦も建築関係を目指してはいるが、本当にそれでいいのかわからないと言った。他にやりたい事が見つかるかもしれないし、だから教職は取っておく。

 やはり父親の影響なんだろうな。錦先生は学校での教職経験はなく、予備校講師一本だとか。

 就職考えたら、それもいいのかも。最悪、企業全滅なんて事もあるだろうしね。


 淡路と錦が帰って、須田と僕は泊まる事にしてたので、結構夜遅くまで喋ってた。

 須田がアメフト部の合宿の話をひとしきりした後、

「でさあ、小川はやっぱアレ?」

「アレ?」

「国立なんだろ?」

「あぁ、まあ、そのつもりなんだけど…どこがいいのかわからない」

なんと贅沢な悩みなんだ。

 「オープンキャンパスが、来月いくつかあるから行ってみるけど…オープンキャンパスって何やんの?」

「学校とか受験の案内とか説明会だよ。あと相談会もあるよ。学部の先生が相談に乗ってくれて、校内見学とか学食が無料サービスとか在校生の相談会もあったよ」

 須田は二校行って、大体同じような内容らしい。一校は体験授業で実験をやらせてくれたり、講義を見学できたらしい。

 「一人で行った?母さんが張り切っちゃって一緒に行くって言ってんだよね」

実は第一志望のほうを予約はしてある、来月。

 「俺も両親と行った。結構いたよ。あと友達同士?でもさ、なんつーかおしゃべりばっかりしてたよ。本当に志望してんのかなぁ、冷やかしじゃね?」

どこでもあるのかな、そういうの。しゃべってる人って、しゃべる人と聞いてる人がいて、入れ替わったりするけど、ずっと聞いてる側だったとしたら、“説明聞いてるんだけどなぁ”と思っちゃうし、そのうち注意されたらどうしようとか思って集中できなそう。やっぱり、親ととか、一人で行くのがいいかもね。


 小川は大学へ厚木の家から通うのは諦めている。今更だが、家から本厚木駅に出るのに時間かかるのが難だった。

 小田急線沿線に行きたい大学もなく、小田急線から他の私鉄やJRに乗り換えて、また乗り越えて…というのはできたら避けたい。下宿から通うとしても、やっぱり乗り換えはあるだろう。大学が決まったら、また大学近くに住むんだろう。

 いや、でも通学って大事。

 僕の第一志望と第二志望は、大体方向は同じ。

 第一は1、2年次本校とは別のキャンパスで、3、4年次が本校。こういう大学は結構ある。学部によったら本校に通わないなんて事も珍しくないみたい。

 第二志望は4年間全て本校。厳密にいうとこっちの方が近い。

 第一志望の別校舎と本校に行く乗り換え駅が、第二志望の最寄駅。

 だからって第二にしようかなとは思ってないけど、どっちにしろもう一つの方にすればよかったと悩みそう。


 理数系苦手(?)の小川は政経学部や経営学部の資料を見たりしてたけど、今ひとつピンとこないらしい。

 「これ面白いのかな?法学部も見たけどなんか違うし…文学部も違うし、なんかわからない」

 小川でもそういった事で悩むのかと思うとちょっと安心する。

「錦とか淡路みたいなコレになりたいって言うのうらやましい。おまえらだってそうだろ?」

「でも僕も突発的って言ったら突発的かも」

僕が言うと須田も

「俺だって実際大学入れたとして、やっぱり悩むんじゃないかなぁ。さっきの三崎の乗り換え駅じゃないけどさ。そういうのって仕方ないよ。その時考えればいいんじゃね?」

父や先輩みたいな事を言う。

「でも選んだ事は正しかったんだって思うしかない。自信持ってればいいんだと思うよ」

と一言付け加えた。

 それにしても淡路ってひょっとしてすごいやつなのかな? 須田と同じくらい?

 みんなすごい。

 だからと言って焦ったりはしないけど。今の自分の事をしっかり知れたような気がして、晴れ晴れした気分だ。

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