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Ⅹ - 2

 契約が正式に決まり、伯父が保証人になると申し出たけど、そこまでしてもらうのも申し訳ないと言って、母親の弟にお願いしたそうだ。

 引っ越しは中間テスト後になった。テスト勉強どころじゃないだろうけど、きっと小川のことだからね。


 小川のことだから、500点満点だった。

いつも二位だったやつも、なんと満点! すごいよ。

 三位のやつなんて450点だ。と、人のこと言えないんだけど。今回は全体的に低迷だって先生たちは言っていた。


 小川が引っ越す前に沢田さんが引っ越した。

 小川には引っ越したという事だけ知らせた。知らないで、またアパートに行ってもかわいそうだと母は言った。小川のことだから勤め先なんて知ってるだろうけど。

 小川は

「俺のせいかな」

と言った。

 一人で産んで育てて、大変な思いをしただろうし、これからもするだろう。

 それを知らずに生きてる父親が許せなかった。だからと言って、今は言うつもりはない。

母親や妹に知られるのも嫌だ。

 いずれ話す時はくるだろうけど、その時はその時考える。健ちゃんが沢田さんと二人幸せに生きて欲しい。


 引っ越しの日に僕も母と手伝いに行った。

 日曜日は相変わらず観光客も多く、作業が互いに妨げにならないかと小川の両親は心配したが、雨が降っていて人出が少なかった。

 小川は折り畳みのベッドと布団一式、着替え、段ボール箱3個くらい。あとは近くのコンビニや100均で買い揃える程度だった。

 小川の母親は、名前はわからないけど女優に似ている。よく主人公の母親みたいな役で見る人だ。その人に似ていた。

 沢田さんとは全然違う。沢田さんはどっちかっていうとアスリートにいそう。

 父親は母が言ってた通り、穏やかそうに見えた。とても小川が話すような人には見えなかった。ここにいる伯父や母や僕や叔母が知ってるなんて、微塵も思ってないだろう。なんだかおかしい…って言うのは悪いかな。


 小川の両親は、カフェの近くの蕎麦屋に引っ越し蕎麦を頼んでいた。カフェで働いている人達の分も頼んであり、叔母をはじめ皆、感激していた。

 僕と母は、小川と両親と伯父とで土産店の居間でいただいた。

 母親同士はすっかり打ち解けて、メール交換してる。僕には、良いお友達ができてと何度も言われた。母は母で、こちらこそと繰り返す。その度に僕と小川は苦笑いした。


 倉庫にしていた部屋も開けられていた。

 そのままでいいと言われていたようだが、さすがに、例えば留守時に入るのもよくないだろうと言っていた。元々倉庫はあるのだが、貸家の裏にあり、店から少し離れているので、慎江さん亡き後、重宝に使っていたのだ。

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