Ⅴ - 1
文化祭終わったと思ったら、期末テスト。5教科プラス保体と選択と家庭科! そう家庭科があるのだ!
選択は音楽、美術、書道、技工から選んでいるが、科目によったらペーパーテストがない。
だいたい美術、書道はない。それを知っていたので、僕は書道を選んでいた。習字は小学校の頃習ってたしね。
小川も書道、須田は技工、淡路は美術。淡路は漫画を描くのが好きで、漫画家になろうとは思ってないが、漫画に携わる仕事がしたいらしい。編集者とかだよね。
みんな将来の事考えてるのかな? 須田はコンピューター関係かな。小川はどうかな。
6月だけど暑すぎて、エアコンをつけないとテスト勉強なんてできやしない。土曜日だって言うのにテスト勉強なんて、塾のエアコン効いた学習室なんて一杯なんだろうなぁ。
中学の時は家から一番近い塾に行ってたけど、高校合格後に辞めてしまった。そのまま引き続き通えたのだけど、どうも塾の雰囲気が合わない。
行ってたところがというわけではなく、中学時代に体験授業で数カ所行ったが、全部合わなかった。塾という形式が合わないんだと思う。
僕の部屋は二階で一日中、陽が当たる。隣は兄の部屋で、やはり同じだ。
「下でやれば?」
母は言うけど、リビングは母がいるし、和室は畳に座らないとだし、父の部屋はごっちゃごちゃだし…
隣の部屋で電話が鳴った。母は家事の最中、電話の近くにいない時は子機を持ち歩いている。エプロンのポケットに入れたりして、かがんで、落としたりしている。
ベランダで洗濯物を干していた。いつものように甲高い声で、
「あらぁ、こんにちはぁ…」
しばらくして、僕の部屋に来てベッドに座った。手には子機を握っている。
「なによ、誰だったの?」
「どうしよう」
「なによ、なんかあったの?」
母は一本の電話でこれほど憔悴するかと思うくらいどんよりしていた。誰か亡くなったのか? 誰よ、まさか伯父さん?
「沢田さん」
「沢田さん?沢田さんって、あの?」
「健ちゃんがいなくなっちゃったって…」
「健ちゃん…?あっ!お子さん?」
5月の暑い日に、熱が出て病院に行くと連れていた。
「健ちゃんって言うのか」
「健人くん」
「ふぅん…」
とか言ってる場合じゃないだろ。
「警察とか連絡してるの?」
「まだだって、こっちに来てませんかって、前に来た事あるから」
こっちって…五歳ぐらいだったけど、
「あ、お父さんは?」
「本屋行くって」
「駅前の?戻ってもらおうよ」
僕は子機を取り上げた。
「横浜行くかもって言ってた…」
「どっちにしても連絡しようよ」




