Ⅳ - 2
「何よ、おまえ、ジンちゃんの甥っ子なの…?苗字違うから…ああ!アッちゃんの息子?」
「ええー、まあ、そうです」
母の旧姓は神保、名は温子だ。なに、岩本先生知ってるの? 伯父はともかく母まで? 友だちだったとか? 泊まりに行ってた?
「友だちだったんだよ!よく泊まりにきてさぁ」
まじか。
その後、部員たちに伯父の武勇伝を話した。聞いた事あるとか言い出す先輩もいた。お父さんが話してたって。
結局、伯父は却下された。
伯父はそれ以外でも問題児で、喫煙や飲酒もあったらしい。一匹狼だったらしく、と言うかそんな生徒は他にはいなかったのだ。どちらかと言えば隠しておきたいんだろう。
結局、誰も適当な人が見つからず、駿河校長になった。
駿河校長と岩本先生のおしゃべりを横で聞いていた。
対談みたいで、すぐに脱線して、部長がその度に軌道修正した。伯父の事も言われたし、父や兄の事まで出てきていたたまれなかった。だけど、その録画を先輩が編集して、イラストや字幕、音楽を入れたら、面白くてできて試聴で笑いが起こった。
駿河校長も岩本先生もプロの話し家みたいだった。
文化祭当日も歴史部の“動画”が面白いと評判になり、二日目は立ち見も出た。
そんなに見学者なんて来ないだろうと、教室の半分しかスペースをとっておらず、椅子も10脚しか用意してなかったから、苦情まで出た。アンケートも、もう一度見たいとか、DVDを出せとか、SNSに載せろとか好意的だった。もちろん、苦言もあったけど。
だいたい須田と淡路と小川の四人でいる事が多い。須田は江ノ電の鵠沼駅近くで、淡路は川崎だった。
三人共文化祭のビデオを見ていた。
「校長先生が岩本先生のこと“イワモッちゃん”て呼んでて、あれよかったよな。岩本先生も途中から、“スルさん”て言い出すやつ」
須田が言うと
「だよなぁ、雰囲気一気にお笑いモードになったもんな」
と小川が言い、淡路は手を叩いて笑った
淡路は喜怒哀楽が出てきて、やっと慣れてきたと言うか、四人の中で人見知りがなくなった。
皆が楽しんでくれてよかった。家族にも大受けだったし、伯父も見にきてたとか。
伯父の武勇伝も三人とも知ってた。それぞれの部活で、やはりよく知ってる先輩がいて聞いてたみたい…伝説の人っぽくて、ちょっと複雑だけど文化祭はまあまあよかった、疲れたけど。




