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俺様皇子とお茶会その2〜2人だけの世界はやめてください!私もいるんです!〜

お茶会は成功だったかもしれない。

だって見て、すごく2人の世界なんだよ!

フィオナがケーキを口に入れようとした瞬間、なんでかコバエが飛んできたから驚いてしまって口の端にクリームがついてしまったのを、皇子が綺麗な指でそっと拭ってる光景とかすごい。少女漫画でしか見られないと思ってたよこういう光景は!!

ってか皇子ちょっと手が早くないですかね?

フィオナも顔を真っ赤にしているし。私すごいお邪魔虫ですよね??絶対そうですよね??


何が言いたいかってすごく居づらいから私すごく帰りたいです……


いやあ、ケーキとかすごく美味しいし、サンドイッチもいっぱい食べてお腹いっぱいなのだけど、2人の世界すぎて声かけられないんですよね。

皇子なんてフィオナの分のケーキとか紅茶はやってあげるのに私の分ときたらセルフだものやってられないぜ!!

なんて愚痴っているけど本当にこの空間からいなくなりたいなー。

きっと私が居なくなったらもっと仲良くなれると思うんですよいろんな意味で。もう恋人になっちゃうかもしれない出会ったばっかだけど。

でも水をさすのは嫌だしどうしよう。

なんて思っていたら、家庭科室のドアを誰かがノックした。これはチャンスでは??

チャンスを逃してなるものかと返事をしながら扉へ猛ダッシュ!

扉を開けるとそこにいるのはトルシュ先生でした。なんちゃって。

「あ、セレス」

「もしかして私探してました?」

「そうそう。ちょっと聞きたいことがあって。」

「良いですよ!あ、フィオナに皇子、先生とお話しするんでー!遅くなったら先に2人とも帰って大丈夫なので!」

お似合いの二人にそう伝えて、私はグイグイとトルシュ先生の手を掴んで家庭科室から脱出した。

なんか一瞬だけ見えた皇子の目が怖かったけど気のせいでしょ!それか2人の世界を邪魔されたから怒っているのかも。まあ関係ないから良いやー。

「ちょ、ちょっと、強引じゃないか?」

先生が焦った声で言った。

「ごめんなさい!でも助かりました。あ、いつもの数学教員室で大丈夫ですか?」

「ああ。セレス、なんかあったのか?昨日皇子と知り合いになったらしいと聞いて、何かあったら大変だと思って今日聞こうかと思っていたんだが、会議で遅くなってね…」

先生の方を見ると、すごく申し訳なさそうな表情を浮かべてこちらを見た。

先生やっぱり優しい。

トルシュ先生は貴族の中でも地位低め、本人の言葉を借りるならほぼ庶民らしく、学園内で数少ない庶民である私に何かと優しく面倒を見てくれるのだ。

しかも茶色の長めの髪を緩く括って全体的に気怠げな印象だが、これまた顔が整っており、親しみやすい若くてイケメンの先生として抜群の人気を誇っている。

ちなみに普段は眼鏡をかけているのだけど、眼鏡つけていても取っていてもイケメンはイケメンです。すごい。

ふとクイクイと制服の袖が引っ張られる。

「何かありました?」

「何かって、あの、手……」

「手?」

先生の視線をたどると、あ!しまった、手を掴んだままだった!

「手を掴んだままですみません!忘れてました!外しますね!」

「あ、いえ、その、そのままでも大丈夫だから。」

何故か顔を真っ赤にして言葉の最後の方は消え入るように話す先生はいつもと全然違う感じでびっくりする。

「あの、顔真っ赤ですけど大丈夫ですか?風邪とか引いてないですか?」

「大丈夫です!!それより早く行こう!」

逆に先生が私に腕をむずと掴み、私を引っ張ったまま数学教員室へ歩き出した。


「それで、どうして皇子様と知り合ったんだ?」

「色々あったんです!聞かないでください!」

「聞かないでくださいって言われてもな。脅されてとか何か弱みを握られてとかじゃないんだな?」

「アッ、いえ、そんなことは、ない、デス」

不意に急所を突かれたので片言になってしまった。危ない危ない。

たまたま告白現場見ちゃったら告白された皇子にバレて友人(下僕)にされた挙句、皇子の想い人であるフィオナとくっつけるために必死ですとか口が裂けても言えない。

とりあえず誤魔化すためにへへへと笑っていると、向かいの椅子に座っている先生がすっと近づいてきた。近いよ先生!めっちゃ近いです!顔と顔の間は10センチちょいくらいしかないよ!

イケメンは距離が近いのがステータスとかなんですか!?

「無理すんな。」

「は、はい?」

「なんかあったんだろ?無理しなくて良い。俺に言ってくれれば出来る限り力になるから。」

一瞬前までパニクっていた心が落ち着き、先生の黒い瞳しか見えなくなってくる。

先生の目が真剣に私のことを心配していると伝えていた。

トルシュ先生が私の先生で良かった。この人なら私をきっと助けてくれるに違いない。

「ありがとう、ございます。でも今は大丈夫、なんです。」

「本当に?」

「はい。でも…」

「でもなんだ?」

「何か困ったらすぐ相談します!なので、なのでその時はお願いします!」

先生はったく……と小さく呟き、下を向いてしまった。なんか私返事間違えた?もしかしてその時はお願いしますって言うのが気に食わなかった感じ?

頼れて言葉もしや社交辞令だった?だとしたらやばい、謝らないと!

ポスっ

頭の上に何か置かれたと思ったら頭を撫でられる。

「ちょ、何するんですか?」

「全くお前は大物だな」

ははははと先生は子供のように笑った。

その表情がなんとも言えずあどけなくて、私もつられるように笑う。

先生ってやっぱり話しやすいし、お兄ちゃんみたい。是非とも卒業しても仲良くしてほしいくらい。

キンコンカンと帰宅を促すベルが鳴る。

「私もう帰りますね!」

「もうこんな時間か。気をつけて帰れよ。あと宿題も忘れんな」

頭をブンブンと上下に振り、私は数学教員室のドアに手をかける。

「守るから。なんかあったら俺の出来る範囲でお前を守るから。」

先生はそう言って私を見た。さっきと同じ真剣な眼差し。

「私、信じてる。また明日ね、トルシュ先生」

「また明日」

私は家庭科室へ戻るために夕暮れのオレンジ色に染まった廊下を一人歩き始めた。



「ーーーーー信じてるってなんて殺し文句なんだ。全くお前は大物だよ。何にも興味を持てない俺がこんなに夢中になるなんてな」

トルシュは右手で前髪をぐしゃりと握り、去った彼女の姿を思い出していた。

読んで頂き、どうもありがとうございます!

予定と違う人物のトルシュ先生が登場しましたね!この先生はコルティナのことをどう思っているんでしょうか?この先どうしましょうね!って感じです……

誤字脱字などありましたら、お手数ですが教えて頂けますと幸いです。

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