ゴトウハルカ 2
ヤグチの事は無視して、そしてゴトウハルカは見ないようにして、私は無心に掃除をすることにした。
渡り廊下の掃除は結構好きだ。
晴れの日は風が通って気持ちいいし、雨の時だって雨に濡れずにガラスを通さない空が見える。
少し前までゴトウハルカを間近で見れる唯一の機会だったから、掃除の時間は結構楽しみだったのに。
そうか…ゴトウハルカはサクラちゃんの事が…
ダメだ。見ないようにしいても考えてしまう。
私だって、ゴトウハルカよりツブツブの方をずっと気になるようになっていたくせに。
そう言えばツブツブがメールするって言ってくれていた。
それは例えば昼休みとかにって意味だよね?弁当食べた後ケイタイ見たら良かった…
「なぁなぁ」とヤグチが私に話しかける。「やっぱお前結構ショック受けてる」
煩いな。でもそんな事言われても無視だ。
「でもお前って今結構オオツブの事も気にしてるよな?それってどういう…」
ヤグチがいつになく凄くまじめな口調で言うので余計イライラする。
あんたには関係ないじゃん!と心の中で思ったら、ヤグチが少し困ったように笑って言った。
「関係あるよ」
何で私の思ってる事がわかったんだろう?
「わかるって」とヤグチが言った。
「お前考えてる事わかり安過ぎ」
それからヤグチは言った。
「お前さ、夢の話は考えてみたの?」
ほんのしばらく何の事かと思うが、ヤグチが言いたいのは、誰かの夢に出る3,4人を私が選ぶという事に対しての問いなのだ。
『違和感のあるものを3,4人選ぶ』という桜井が言っていた話。
私はそのためにみんなの話を聞かなきゃいけないし、それでゴトウハルカも私にサクラちゃんへのメモを私に来たわけだし…
違うな!ゴトウハルカは前から可愛いサクラちゃんの事をちゃんと好きでいたから、私に頼んで来たのだ。
あんたには関係ないの!、と思いながら私はヤグチに首を振って、掃除の道具を片付けると急いで教室に戻ってケイタイをかばんから取り出してメールを見た。
来てる!ツブツブから。
「今日帰る時、薫ちゃんがバス乗る前に
ちょっと話がしたいんだけど 」
どうにかして高森の水槽運びを断りたい。
何ならあの3冊の本だってどうでもいいかも。
高森はどうでもいいのだが、ハヅキモエノが問題だ。せっかくあんなに喜んでいたのに。
いやツブツブに、高森の水槽運びをちょっと待っててもらって、その後一緒に図書館へも行ってもらうっていうのはどうだろう。
…あの本3冊見たら、何か変に思うかな。
しばらく考えて私は苦渋の決断を下す。
「ごめんなさい
放課後高森先生と図書の先生に呼ばれてるの」
ケイタイに落とした文字を見つめる。
残念だ。残念でならない。
もしかしたらもう誘ってもらえないかもしれない。
ぎゅっと目をつぶってメールを送信すると、急いでケイタイをまたかばんにしまって教室を移動した。




