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ゴトウハルカ 1

「じゃあごめん山根さん、お願いね」

言われてどうしようもないから、私は微妙な笑顔を作ってうなずいた。

 断れるわけがない。ゴトウハルカもにっこりとわらって3組の人たちの中へ、ホウキを持って戻っていった。

 ゴトウハルカのにっこりした顔はやっぱりいいな…



 「お前、何渡されてんの?」

 ヤグチに後ろから言われて私は、慌てて渡されたメモをスカートのポケットに入れた。

 ほっといて欲しいのに。



 「何渡された?」ヤグチはそう言いながら私の右手首を掴んできた。

 少し痛かったのでムッとして私はそれを思い切り振り払う。

「そいでサイトウに渡されてたのは何?」

「何でもないよ。渡してって頼まれたの」

「今のは?」

「今のも!」

「2人とも?」

「そうだよ」

「誰に渡すの?」

「秘密だよ!秘密にしたいから私にこっそり渡してくれたのに」

「それってお前以外の奴に渡してって事だよな?ゴトウハルカも?」

「そうだよ!言ったじゃん、そうだって。うるさいな」

バカにしてんのか!

「…へぇ」ヤグチがちょっと笑う。

 くそ、やっぱりバカにしてやがる。

「渡してやるの?」

「何笑ってんの?」私は非常にムッとする。「渡すよ、もちろん…せっかく…私に頼んでくれたんだから!」



 そうかゴトウハルカはサクラちゃんが好きなのか…

 そうかぁ!…サクラちゃん可愛いし頭もいいもんな…もちろん何より性格が良いし。

 去年同じクラスだったゴトウハルカとサクラちゃんの接点を思い浮かべるがあまり思い出せない。ゴトウハルカを好きだった私は、結構ゴトウハルカの事を見ていたはずなのに。

 そうか…そっか…はぁ~~とため息が出てしまった。



 「お前結構ショック受けてない?」

ヤグチが少し心配そうに、でも何かちょっと面白そうに聞いてくるのでまたムッとする。

 受けてるよ!受けないわけないじゃん。ほんの2日前まで一番好きだったんだから。


 「それで?」とヤグチが言った。

「何が?」

「放課後の予定だよ」

「あ~放課後ね…」

放課後の事を考えるとうんざりする。

 ていうかもう放課後なんてどうでもいい気さえする。

 でも頑張ってカエルの水槽を運んで、それからもう1回図書館に行って、3冊の本を借りてから桜井の所へ行こう。



 ポケットの中に手を入れて、ゴトウハルカから預かったメモを少し触る。

 ここでちょっと、ゴトウハルカとサクラちゃんの事をじっくりと考えてみたいな。ヤグチが邪魔だ。

 やっぱり感慨深いものがある。

 結構1年くらい好きだった子が、仲良くしてくれてる子を好きだったなんて…それでその子に橋渡しを頼まれるなんて。



 いや、今は放課後の事も、サクラちゃんたちの事も考えるのは止めて掃除をしよう。心を無にするのだ。

 が、「なぁ…」とヤグチがまだしつこい。

「ヤグチ君、掃除してよ。それから私を『山根さん』て呼んでくれないかな」

「オオツブには薫ちゃんて呼ばせてんのに?」

「呼ばせてない!呼んでくれてんの!」

「じゃあオレも勝手に呼ぶ」

「…」マジで止めて欲しい。


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