3
西校舎から出て中庭へ。マーネ達が噴水広場に到着してすぐ、爆音と共に煙がもくもくと上がり周辺が煙たくなる。生徒の叫び声も聞こえた。声の方へ向かうと、廊下に立って避難誘導しているイチカ先生を見つける。マーネは先生に駆け寄って声をかけるも、イチカ先生は困った顔をしてマーネの肩に手を置いた。
「ノクスウェルさん!校舎の案内は終わったみたいですね。ですが、すみません…。生徒同士の喧嘩が始まったみたいで。」
イチカ先生は原因へ一瞥すると、あははと力なく笑った。困り顔のイチカ先生の背後には煙が広がるなか口喧嘩している二人の姿。見覚えるのある赤髪の男性と青髪をポニーテールにした女性。マーネは気づいた。男の方は確か…カジさん? ヨルさんのお兄さんだ。女性の方は分からないけど、綺麗な人で、腰に手を当てて切れ長の瞳でカジさんを睨み付けている。痺れを切らした女性はいい加減にして。と冷たく良い放つと、一拍手して薙刀を出現させる。切っ先をカジさんに向けて、今にも斬りかかりそうな勢いだ。
「しつこいのよ。私は生徒会に入らないと何度も伝えてるはず。何度も何度も…。そんなに忘れるなら、貴方の脳みそに刻みつけるしかないわね?」
女の人は頬に片手を添えてため息をつく。微笑んでいるのに笑顔が怖いってどういうことなんだろう…。
「いや、だからほんとに人手不足…って冷たっ!!お前な……。」
女の人が出したたくさんの水玉がカジさんを襲う。
何個か地面にめり込んでいるのは気のせいだろうか。カジさんは避ける為に応戦して火の玉を水玉に当てていく。その度に小さな爆発が起こり、爆風がヨルとマーネとイチカ先生を追い越していく。
けほけほと咳き込む3人。
「…生徒同士で解決できなさそうですね。仕方がないか。
イチカ先生はメガネを外して離れたところにあるベンチに置くと、地面に拳をぶつけた。
すると、ボコボコと地面が沸き上がってきて、一瞬で土の人形へと形成されていく。2メートルくらいのサイズになると、土人形は二人の元へ歩いて行き。それに気づいた二人は顔を青ざめた。抵抗する間もなく、土人形に掴まれ持ち上げられ連行される。
借りてきた猫のように大人しくなった2人に、イチカ先生はおしまいにしましょうと告げた。
「「すみませんでした。」」
項垂れる2人。土人形は指示に従って2人を何処かへ連れていく。メガネをかけ直すイチカ先生を見て、マーネはヨルの話を思い出す。
「もしかして、先生のメガネって魔力抑制器なんですか?」
「おや? 御存じでしたか。僕の場合は片目が悪いので、メガネの形にしたんです。自分が使いやすいように形を変えられますから。」
成る程、色んな形に出来るのか。と頷くマーネ。
「ノクスウェルさんのは保護者の方からお預かりしているのがあるのでそれを後でお渡ししますね。ではまた職員室で。」
問題がひとまず落ち着いたイチカ先生は笑顔で去っていった。残った2人はボコボコの地面に出来たクレーターをみつめる。
「イチカ先生ってああ見えて強いんだよ。でもどっか抜けてるんだよね。」
ヨルが困ったように笑った。




