手紙
「おはよう、マーネちゃん。お手紙が届いてるわよ~。はい、これ。」
「ありがとうございます。」
マキさんから手紙を受け取ったマーネは差出人の名前を見て目を丸くした。
急いで封を切っていく姿をテーブルの上でオルレアはもぐもぐと口を動かしながら見ていた。
「誰から届いたの?」
口許を拭いながらオルレアがマーネに訊ねると、マーネが読んでいた手紙から顔を離した。
「オルレア…。フィシトルさんが学校に来るって!!」
「…あらそう、良かったわね。」
何か変なこと書いたかなぁ…?と不安そうになるマーネ。オルレアはそういえば数日前にマーネが手紙を書いて送っていた事を思い出した。
あの時、マーネは確か近況報告を…。書くと決めてペンを持ったは良いがどこまで正直に書くか頭を悩ませていた。結局、心配させまいと誘拐されたことは隠していたっけ。フィシトルと出会ったのは入学前。どうやらあれから3ヶ月も経ったようだ。
「それで、いつ来るって?」
………
「はい、では皆さん。こちらがラグナログ騎士団からいらしたフィシトル・ブライト先生です。今日から三週間だけ特別講師としてお越しいただきました。よろしくお願いします。」
イチカの紹介にフィシトルが胸に手を当て敬礼すると、生徒達から歓声が上がった。
「ラグナログ騎士団の騎士団長!?あの有名な??」
「噂の光傑の貴公子。この国で彼の名を知らない者など存在しませんよ!まさかこんな近くで会えるなんて!!」
周りの生徒達が騒ぎ立てるなか、マーネは驚いた口が塞がらなかった。フィシトルと目が合い、その青い瞳に微笑まれるとマーネはかあっと自分の顔が赤くなるのが分かった。今日来るなんて書いてなかった!と汗を拭いながら、久しぶりに会えた嬉しさと、周りと自分の知識の温度差に絶望した。騎士団の団長?こんなに良くして貰っているのに、自分はこの人の事をまだ何も知らなかった。皆が知っていることさえ、私は…。マーネはぐっと唇を噛み締める。
隣にいたヨルはその様子を面白くなさそうに頬杖をつきながら見ていた。




