2
ヨルとオルレアは建物の中へ倒れ込んだ。
窓から差し込む光を頼りにどうにか立ち上がると、真ん中に螺旋階段があるのが見える。それを登れば時計塔へ繋がる道が繋がっていそうだ。埃っぽいせいで天井は見えない。がしかし入れた以上は何かあるのだろう。時計塔の鐘が鳴る。こんなに近くで鐘の音を聞くのは初めてだった。大きな音が振動を伝って反響する。ヨルは耳を押さえて、蹲るオルレアを頭に乗せると螺旋階段へ向かった。
階段を上がれば、扉が見えた。古くて分厚い扉だが、最近手入れされてる形跡がある。
ゆっくりとドアノブを回して少しずつ開ける。中は明るくさっきまで無音だったのに急に賑やかな音が聞こえ始めた。
「な、何してんの?」
ヨルの呟きに振り向いたマーネ。
探していたマーネを見つけて飛び付くと思っていたオルレアは放心状態で、この状況を飲み込めずにいた。
「えっと、紅茶?を頂いてます。凄く良い香りで、ホッとするんです。ヨルさんもいかがですか?」
マーネはティーカップを持ち上げ、優雅にお茶を楽しんでいた。テーブルの上にはお菓子が並んでいる。奥にはノーラン・シド、ソファには、さっきまでやりあっていたクラウスが寝ている。マーネを取り巻く先輩達はヨルに気付くと、近付いて囲いこんだ。そしてこの状況を説明し始める。
「ノーランがおもてなしするならお茶と茶菓子を出せ!って五月蝿くてなぁ。茶菓子なんかあれへんからお菓子渡したんやけど…。なぁ、マーネちゃんどっから来たん?渡すもの全部に感動してるんやけど、初めて食べるやつばっかりや言うてる。」
「ゲームも全部知らないよ~。一から教えるのも楽しいけどね~。」
「ちょっと!良い子過ぎて困ってるんだけど、甘やかしちゃうじゃない!!」
リディアス、ネコ、ニコの言葉に困惑しているヨル。一方、オルレアはマーネが無事なのを見て安心するも、馴染んで過ごしている姿に頭を悩ませた。
「昔に誘拐されたことが仇になってるわね。変な度胸ついちゃって…。」
餌付けされて警戒心の欠片もないマーネはオルレアの嘆きには気づかず、紅茶に夢中だった。




