時計塔
オルレアは時計塔の目の前まで来ていた。オルレアの鼻がマーネの匂いを捕え、ここにマーネがいると確信に至ったオルレアが乗り込もうとするも、入り口が見当たらない。ヨルを呼びに行ったオーディンが帰ってきて木の上に止まると、その下から黒いもやもやが現れて中からヨルが出てきた。怪我してる様子もなく、制服についた汚れを落としながらオルレアに近づくと、掌の上にオルレアを乗せた。
「見つかったって?」
「いるわ!でもどうやって中へ入るのか分からないのよ!!」
オルレアがヨルの頭に飛び乗って髪の毛を引っ張る。
「痛ってて!いや、オレも知らないよ。隠し扉なら、どっかにスイッチとかあるんじゃないの?」
ヨルが頭を擦りながら時計塔を見上げる。
白い煉瓦で建てられた古くからある時計塔。大きな白い文字盤には金色の数字が刻まれている。太陽の時針と月の分針と星の秒針が刻々と規則正しく時間を刻んでいた。ヨルは時計塔に隣接する建物から中へ入れるかもと近づいてみる。赤い煉瓦で出来た建物。二階建てくらいの高さだ。周りを軽く叩いてみる。何か起こればなぁとヨルは少し期待するも空しく、何も起きなかった。
「待ちなさい、この辺り人間の匂いが強いわ。」
ヨルがオルレアが指差す方を見ると、ちょうど建物と時計塔の間にある煉瓦が欠けていた。押してみると何かにハマる音がした。
歯車の音ともに地面が揺れる。ヨルは立ってられないくらいの振動に地面へ手をついた。ヨルは辺りを見渡して変化を探す。オーディンの止まる木々は揺れていない、時計塔もさっきのままだ。分からないまま揺れはおさまりヨルは立ち上がる。
「…何の揺れだったんだ?……うわっ!!」
ヨルはまだ揺れてるような感覚が続いていて、堪らず赤煉瓦に手をついた。すると煉瓦に振れることなく手が吸い込まれて、そのまま身体も倒れ込む形で隠し扉の中へと姿を消した。




