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「オレの相棒のオーディン。もし雨の日に見つけたら窓開けて中へ入れてくれると助かる。」
ヨルはオーディンをマーネ達に紹介すると、テーブルの上に乗せた。オーディンはマーネの近くへ寄るとぺこりと頭を垂れる。人間のような仕草。マーネはお辞儀されたのだと気付いて慌てて返した。片目眼帯の綺麗な黒い鴉だ。とマーネが見つめていると、オルレアがポケットから這い出てきた。そしてオーディンに向かって手を振る。
「もう顔見知りみたいだな。」
カジはオルレアとオーディンのやり取りを楽しそうに見ている。マーネがオルレアをテーブルの上に乗せると一匹と一羽は仲良くじゃれ合い始めた。オルレアがオーディンの水を飲もうとして、オーディンが羽を広げて威嚇している。オルレアが挨拶したと言っていた他のアニマはオーディンの事だったのかとマーネはけらけら笑っているオルレアを見て感づいた。同時にヨルがアニマを連れていたことに驚く。
「昨日知り合ったみたい。ノクスウェルさんがオルレアといたからいつか紹介しようと思ってたんだけど…。オーディンは気難しいから時間がかかると思ってた。オルレアさえよければ、仲良くしてくれると助かる。」
ヨルの言葉に親指を立てるオルレア。その隣でオーディンは口をパクパクしながら羽を羽ばたかせている。
「さて、全員揃ったし乾杯するか。それにしても人間に懐くアニマは珍しいはずなんだが…。どうやって出会ったんだ?」
カジの質問にお菓子を食べようとしていた手が止まる。マーネはオルレアと顔を見合わせる。オルレアは首を横に振ると、オーディンに話しかけた。その話題には関わらないという意思表示だった。マーネは仕方がないと諦める。
「…分からないんです。小さい頃に出会ったみたいなんですけど、私は10歳以下の記憶がないから、多分それくらいの時に出会ったのかなぁと思います。オルレアは覚えてるみたいなんですけど、教えてくれなくて。」
マーネの話を聞いてカジが考え込む。
「…記憶喪失か。俺の爺さんが話してた事なんだが…。終戦日の朝。南部にある小さな村が光に包まれた、それを目撃した人々の記憶が断片的だったらしい。戦時中だったから、兵士達が敵の攻撃かと情報を集めていたらしいんだが、誰もちゃんと覚えてなくて。その小さな村の村人達は戦争しているという記憶全部が無くなっていたらしい。……なんてな。それが原因かどうか決めるのは早急か。どっかで頭を打って忘れたってのも考えられるし。まぁ、何か力になれることがあれば言ってくれ。マーネは生徒会の仲間だからな。ヨル!」
「オレも?まぁ、…急に思い出す事もあるらしい。何かが引き金になってね。オルレアが言わないのは何か意味があると思う。オーディンも自分の事詮索されるの嫌いだし。一つ言えることは…。過去の記憶が戻っても、戻らなくても仲良いのは変わらないと思う。」
ヨルの言葉にマーネは笑顔になった。ヨルは余計なこと言ったかもと呟いてから飲み物を一気飲みし始める。それを見たカジは照れるヨルの頭を撫で回したのだった。




