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Mane'n Nox  作者: Amber
3/46

3

「…取り敢えず中へ入ろうかな。」


その決断までかなり時間がかかったが、ようやく動き出したマーネにオルレアはホッと胸を撫で下ろした。やっとか!と思ったが口には出さない。また言い合いに成れば、今度は夕方までかかるかもしれないからだ。


目の前にある大きな金の門にはライオンの顔のドアノッカーが着いていた。それに名前を伝えればドアは開くはず。マーネはそーっと近づいて自分の名前を呟いた。


「マーネ・ノクスウェル」


言い終わると同時に、ラインオンから光が瞬いて承認と声が聞こえた。眩しくて目を閉じた瞬間マーネ達をドアノッカーが口を開けて、飲み込んだ。誰にも見られることなく。


次に目を開けたとき、マーネ達の前には門もライオンの顔もなかった。あるのは目の前に広がる草花や木々。白い石畳の向こうにそびえ立つ巨大な建物だった。


「凄いね…!」


マーネの感嘆に頷くオルレア。


「中に入れたようだけど…、出迎えはなさそうね。あのでっかい建物が学校かしら?」


「名前伝えたから誰か来るかもしれないし、待っといた方が良いかもしれないね?」


さっきとは打って変わって穏やかな顔をしたマーネはふふふと笑っている。さっきの緊張は何処へ行ったのか、オルレアは微笑んでいるマーネの目線で推測した。


「…あそこの芝生。木漏れ日が気持ち良さそう~とか思ってるでしょ。」


「……ちょっとだけ駄目?」


 少しの間の沈黙。 やっぱりなと呆れた顔のオルレアを見て、マーネは弁明する。


「だって!!ここまで来るのも大変だったし。孤児院出てから色々ありすぎて、頭パンクしそうなんだもん。自然の中で休憩して頭と心を休ませたい…。」


お願いっ!とオルレアに懇願するマーネ。


「別に駄目なんて一言も言ってないわよ。やっぱりなと思っただけ。何年一緒にいると思ってるの、それぐらい理解してるわ。」


マーネはやったー!と叫ぶと、青々と繁る芝生の上に寝転んだ。程よい木漏れ日とそよそよと木の葉の擦れ合う音に癒される。光輝く太陽も好きだけど、合間に溢れる微かな光もマーネは大好きである。何かに埋もれてても必ず見つけて貰えるような、見守って貰っているような気持ちになるからだ。孤児院の近くの森に似た空気を感じて、マーネは少し懐かしくなった。


オルレアもポケットから出てきてマーネと同じように隣に寝転がった。


「良い天気で気持ちいいわね。誰か来たら恥ずかしい格好だけど…。」


背伸びしながら言うオルレアにマーネは同意する。

新品だった白シャツは皺になってるし、黒いプリーツスカートには土が付着している。服も鞄も今日のために準備してくれたものだ。

ふと、親代わりになったあの人の顔が浮かぶ。


「怒られるかな…?あの人って怒るのかな?」


 急に不安になってオルレアを見れば、気持ち良さそうに目を閉じて船を漕いでいる途中だった。

それを見ていると、マーネも眠たくなってきて瞼を閉じた。誰かが来たら音でオルレアは気づくだろうから。

マーネが安心しきって全身の力を抜いた時、


 「はい、起きてくださーい。」


突然、真上から声がして目を開けると、翡翠色の綺麗な瞳と目があったのだった。

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