放課後
皆が各自別れの挨拶をして教室を去るなか、
あの後更にしっかりと怒られた2人は罰として放課後居残り掃除をさせられていた。
「最悪だー。」
ヨルはぼやきながら箒で埃を集める。風魔法が使えたらすぐ終わるのにと、自分の属性を恨むほどマーネと2人で居るのは嫌だった。自分はこんなにも気まずいのに等の本人は全く気にしていない。それもまたヨルからすれば腹正しかった。
マーネはテーブルと椅子を端っこに寄せ終わると、ヨルが掃除しやすいように導線の確保をする。バケツに水を組み窓をピカピカに磨き上げて、テーブルと椅子も軽く拭いていく。ポケットから出てきたオルレアがマーネに話しかけて、マーネが上を見た。電灯の下に椅子を置いてそこに乗り、手を伸ばすが届かず。ぐぐっと背伸びしてプルプル震えている。…が、後少し届かない…。
ジャンプしてみるかと思い付いた矢先、少し嫌みがかった言葉使いでヨルが横から割ってきた。
「そこは届かないんじゃない?」
数秒見つめ合う2人。マーネはヨルの言葉を噛み砕いて、そうかも。と納得する。
「…ヨルさんは届きますか?」
マーネの言葉に返事はせず、不機嫌な顔をしたヨルが別の椅子を持ってきて難なく電灯を掃除する。その間ドヤる事もなく黙々と掃除するヨル。
戦闘訓練の時は人が変わったように感じたが、やっぱり根は真面目な人なのかもしれない。文句言いながらもちゃんとやることやってくれる人だとマーネは思った。ヨルの仕事はとても丁寧だった。
「ヨルさん…完璧です!埃がありません。わたし、やっぱりあなたの事を勘違いしていました。あなたは親切だし、丁寧だし!怪我しないか心配もしてくれる優しい人です!!」
「はっ?今ので何でそうなる訳?」
マーネが勢いよく思ったことをそのまま伝えると、ヨルは意味が分からん。という顔をして気味悪がった。ポケットの中にいるオルレアはやれやれと首を振る。
「てかさー、あんたは…ノクスウェルさんは何でオレとパートナーになりたいわけ?」
ヨルの質問にマーネは首をかしげる。
「何でって、ヨルさんと一緒に上のクラスエナへ行きたいと思ったからです。」
マーネの言葉にヨルは面食らった。マーネは不思議がる。はぁ?やらあっそ。などの言い返しが来ると思っていたが静かだったからだ。オルレアもポケットから顔を覗かせる。
「………。」
ヨルの沈黙に変なこと言ったかなと不安になるマーネ。オルレアはヨルの顔を見て舌打ちするとポケットの中へ引っ込んでいった。
マーネが声をかけようかと口を開きかけた時、教室の扉が開いた。
「おーい、ヨル!いるか?っと何だ…この雰囲気?もしかして告白中か!?」
顔を覗かせたカジさんがにやけながらヨルさんと私を交互に見ている。
「いえ、ただ私がヨルさんに…ふご。むぐぐ。」
間違いを訂正しようとしたのに何故かヨルさんの手で口を塞がれた。
マーネは真後ろにいるヨルさんに不満げな視線だけ送る。
「…はぁ、兄貴の言葉は冗談だから。真に受けなくて良いよ。んで、何か用?」
「なんだー違ったか?ただ、なかなか生徒会室に来ないから何かあったのかと思ってな。寄ってみたんだが…面白いものが見れたな。」
カジさんはにやけた顔で近づいてヨルさんの肩を組む。それを鬱陶しそうに払い除けるヨル。
「いつの間に転入生とそんなに仲が良くなったんだ?まだ彼女が来てから2日目だろう。」
「はい、やっぱり仲良くなりましたよね?」
「いや、そんなに仲良くなってないから。」
マーネは目をキラキラさせてヨルを見る。ヨルは全力で首を左右に振る。タイミングは被るのに台詞は反対の事を話す2人に笑いが止まらないカジだった。




