実技訓練
先程の空気を残したまま授業が進んでいく。
あれからマーネはヨルとは話せなかった。 休憩時間になると、ヨルが何処かへ出掛けてしまうからだ。マーネはその間クラスの子達と話せたが、なんとなくパートナーという話題は避けられている気がした。
運動着に着替えて外で待機する。次の授業は実技訓練だ。体操着にポケットがなかったためオルレアは木陰からマーネを見守っている。初日から気にくわなかったが、オルレアはさっきのヨルの行動に苛立ちを感じていた。あれのせいでマーネが悩ましげにヨルを見つめているからだった。
「マーネの考えが手に取るように解るわ…。長く一緒にいるとそういう考えに染まっちゃうのかしら。」
オルレアの嘆きは誰にも届かない。
イチカ先生が授業を始めます。と生徒達に伝えると周りの人達は2人1組で並び始めた。
マーネがぽつんと立っていると、ヨルも1人なことに気付いた。マーネが声をかけようと近づくと、同じ距離離れるヨル。少しずつ距離を詰めるが、無言で離れるを繰り返し、しまいに走って追いかけはじめるマーネを何だなんだと。離れて見る生徒達とイチカ先生。
全然捕まらないヨルに肩を上下に揺らしながらマーネはムッと顔を歪ませた。ヨルはこちらを見ていない。何処吹く風だ。マーネはお互い頑固だからだと納得する。だったら…。
マーネは胸元に手を置いて深呼吸する。腰を落として姿勢を低く。左足を後ろへ下げる。マーネは勢いよく地面を蹴り高く飛び上がる。周りからおおっ!と歓声が上がった。
ヨルがその動作に気付いた時にはマーネはもうヨルの胸ぐらを掴んで押し倒し上に乗っかっていた。踠いても逃げれないと悟った翡翠の瞳とやっと目が合う。
「今決めました。わたし、あなたとパートナーになります。だからもう逃げないで下さい。」
翡翠の瞳が見開かれると同時に拍手が起こる。
マーネが顔を上げると、クラスメイト達が盛り上がっていた。マーネが?を頭の上に並べていると、下からヨルがマーネを突き飛ばした。尻餅をついたマーネがヨルを見上げる。
仁王立ちしたヨルの表情は見えない。
「パートナーの意味解って言ってる?」
静かに問いかけるヨルに首横にを振るマーネ。
「…オレは闇属性だよ。どんな属性でも相容れない。」
淡々と答えるヨルの顔は暗い。
「オレは1人でも戦えるし、それでもオレとパートナーになると言うならオレはあんたと戦わなくちゃいけない。オレは弱い奴とは組まない。」
ヨルの突き放すような言い方にマーネは目を見開いた。今までと別人みたいに殺気立つヨル。これは、喧嘩だ。マーネはお互いが譲らない場合どうすれば良いのか、孤児院で学んでいた。
「弱いかどうか試してみますか?」
マーネの一言でヨルの眉間の皺が深くなる。




