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Mane'n Nox  作者: Amber
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オルレアと鴉

マーネと別行動しているオルレアは庭からあの視線を感じていた。やっと正体が分かるかもと、意気込んで来てみたのは良いものの。庭には花畑やら野菜、フルーツの香りで溢れていた。身長がもう少し高ければ…。もう少し先へ進めば開けた場所があるはずなのだけれど…。

そこへ行くまでに迷わない保証はない。


「甘い匂い…と色んな匂いで鼻も効かないわね。さて、どうしましょうか。」


辺りを見渡すオルレア。まずは高いところから全体を見た方が良いかもと思い、近くにある木々を登っていく。一番高い木の枝で止まると、庭の奥まで見渡せるようになった。


「まあまあの景色ね。あのど田舎の方が綺麗だったけど。」


ふんっと鼻を鳴らす。マーネと過ごした孤児院の近くにも木々や草花が生い茂って豊かな場所があった。あそこは特別綺麗なところだが結界があるから普通の人間は入れないようになっていた。

休憩するには丁度良かったのよね。と思い出していると、近くからバサッと羽ばたく音が聞こえた。


「…おい、新入り。 ここは私の場所だ。寝床にするなら他所を当たれ。」


眼帯を着けた黒い鴉が近くの木から飛んで来たようだった。オルレアは一瞥すると、腕を組んで鴉を睨み付ける。

「五月蝿いわね。今から人探し…じゃない。この気持ち悪い視線の正体を探すんだから邪魔しないで!」


「…視線だと?ふむ鳴る程な。」


オルレアの言葉に少し考える素振りをする鴉。羽を嘴に当てて考えてる様子を見て、オルレアはこいつ、アニマだわ。と確信した。高確率で人間みたいな仕草をしたらアニマなのよね。


ニヤリと笑った鴉は一声空へ向かって鳴けば、オルレアは視線を感じなくなった。代わりにバサバサと大量の鴉があちこちから空へと飛び立っていく。


「どうやら同胞が監視してる途中だったようだ。もうその必要はないと伝えておいた。以上だ…さっさと何処かへ行け。」


「そう、それはありがとう。あんたがあいつらのボスなの?監視されてた理由を聞きたいのだけれど。」


「…まぁ、そうとも言えるな。ふむ、監視については単純明快、新入りについて何者か調べろと主から命があっただけのこと。我等は主の命なければ動かん。」


淡々と話す鴉に嘘の気配は感じなかった。どうやらそれだけの理由のようだ。アニマは基本自由だ。縛られるのを嫌うし、自らが認めた相手にしか従わない。絶対服従はせず、対等の関係を望む者。


オルレアは目的が達成したので木の幹に座った。鴉は早くどっか行けと目で訴えてくるが、オルレアは無視する。それより自分以外のアニマと会話するのは初めてなので、何から話そうかと少しワクワクしていた。


「…私の話を聞いていたか?」


「?寝床の話し?心配しなくても寝る時は部屋に帰るわよ。それより、あんたの事を聞かせなさい。アニマってなかなか出会わないから情報交換しましょ。」


「お前…図太いと言われないか?」


「そうね、アタシはオルレア。これからよろしく。あんたの名前は?」


「話を聞け…お前には名乗らん。」


「じゃあ、他の子に聞くから問題ないわね。」


ため息を吐く鴉を見ながら適当に庭を指差す。他にアニマがいるかは分からないが、教えてくれないなら適当にあだ名をつけて呼ぼうかと悩み始めた時。

 

「……………オーディンだ。」


観念した鴉に見えないよう、オルレアは小さくガッツポーズする。邪念を感じ取ったのだろうか。素直に教えてくれたことに驚きつつ、ニヤリと笑う。

 

「オーディン。これから話し相手が出来て楽しくなるわね?」


それは最悪だな。と呟いた声はオルレアに届いていたが、聞こえなかったことにする。ここでのルールとかを教えてもらって、マーネに共有しなくちゃ。

今日1日は情報収集かしら。


オルレアはオーディンの隣に腰かけ、何から聞こうかと思考を巡らせた。

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