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「ラピスは魔力の塊だから、魔力探知が出来る人には隠しててもすぐに分かります。軽くラピスについて説明しておきましょうか。ラピスは入学時に受け取り、卒業後にはそれがこの学園を卒業したという証になります。学園生活中、魔力を蓄積し続けるので、魔力の塊がお互いに中でぶつかりあって硬度が高くなります。完成したラピスは宝石と呼ばれます。宝石になったラピスは加工できるので、ネックレスにしたりブレスレットにしたり様々な形に出来ます。残念な事にラピスは外でも有名なので、卒業後に盗まれた方も多くいます。その場合、学園に在籍していたという証明が出来ません。魔力が高くて狙われやすい、ならばそれを防ぐ物が必要だ。と言うわけで、次に魔力抑制器の話しになります。魔力抑制器は魔力の流れを狭めて、最弱にする魔道具になります。現状、魔力を完全に消すというのが難しいです。研究を重ねて、より良くするためにも実験が必要なんですよね…。」
イチカ先生が説明を止めて掌を天井へ向けると、水がブクブクと沸き上がり掌サイズの球体になった。
「この水に触ってみてください。」
マーネが指示通り水珠に触れると冷たい水が弾けて消えた。驚いて床を見るが濡れてない。
次に、イチカ先生はメガネを外してテーブルの上に置くと、同じように掌を天井へ向けて水球を作っていく。さっきと違ってどんどん大きくなっていく水球にマーネは後ずさる。それは天井にくっつくまで膨らんだ。先生!とマーネが震える声で呼びかけると、イチカ先生は微笑んでもっと大きく出来ると言う。いや、充分すぎるほど違いが分かるので大丈夫です!と焦る声で制止すると、残念そうに膨らますのを止めた。
「…では、さっきと同じようにこの水に触れてみて下さい。」
マーネが触れると、水はふるふると揺れるだけで割れない。思いきって奥へ進んでいくと、温かい水が巡回してるのを感じる。気づけば手首まですっぽり水珠の中へ入ってしまった。マーネが驚いていると、イチカ先生は掌を少しずつ丸めて水を握り潰した。水球はパンッ!!と弾けて辺り一面ずぶ濡れに。勿論マーネも勢い良く頭から水を被った。
何が起きたのか放心状態のマーネをよそに、水を滴らせながらイチカ先生は笑顔で説明を続ける。
「こんな感じで、魔力が小さいと作るものが限られて魔力痕跡が残らない!逆に魔力が大きいとイメージした通りに作れて魔力痕跡が残ります!!素晴らしい!!!」
「………成る程。」
長い沈黙から絞り出した答えに頷くイチカ先生。マーネは机に置いてあったメガネを素早く取ると、イチカ先生に装着した。
「教員には魔力抑制器の着用が義務付けられていますが、必要に迫られれば自主責任で外すことが可能です。僕の場合、眼鏡の形になっていますが、皆それぞれ自分に合ったものを作っていますよ。ノクスウェルさんのは保護者の方からお預かりしています、こちらの懐中時計ですね。」
「…ありがとうございます。」
びしょ濡れのマーネが受け取ったのは
金色のチェーンで繋がれた懐中時計で、表面は太陽と月のマークの他に小さな穴がぽつぽつと空いていた。上のボタンを押せば、下に開いて時計が現れる。 時間は今を指して動いていた。文字盤の下にもボタンがあるのに気づいて押せば、横にずれて開き、中に小物が入れれるようになっていた。驚きの三重構造だ。
マーネが本当に使っていいのか戸惑っていると、先生が補足を入れる。
「これは僕みたいに外さなくても使えるやつですよ。特殊な技法で造られたモノで、リベラティオと呟けばマギアが使える優れものです。あなたの保護者が貴女のために準備したもの。あなたは既に完成したラピスを持っている。身の安全を守るためにも使った方が良いと思います。」
イチカ先生の説明に深く頷くマーネ。
胸元からネックレスを取り出して懐中時計の中へ仕舞い首から下げた。失くさないように制服の下へ隠す。白いラピスもポケットの中へ入れた。




