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べっこう飴が好きだそうです

 階段を降り、向かったのは一階の一室。――大家さんが住んでるのか、他の部屋と比べて隣のドアまでに距離がある。やっぱり大家さんとなると広くとってるんだろうなーというのが私の予想だ。



「レア」



 メリーさんはノックもチャイムもなしに扉を開け、入った。遠慮しなくて良い関係だってことは分るけどびっくりしてしまう。


 おそるおそるメリーさんの後ろについて居間に入ると、一度に十人くらい座れそうなテーブルに長い髪の女性が座ってアニメを見ていた。私達に気付いて振り返る。



「遅かったわねメリー。後ろの人は――お仲間?」


「うん、捨てられてた」



 ゴミ置き場にいたのは確かだけど、捨てられてたわけじゃないんだよ?!――と、言えないのがつらい。



「えっと、初めまして。山下茉里と申します」



 部屋にいたのはマスクをした女性だった。黒髪はサラサラでまとまりが良く、濡れ羽色の瞳は理知的で素敵だ。私より頭一つは背が高い。


 ペコっと頭を下げれば「崎田麗亜よ、よろしくね」と返された。上品な人……お姉ちゃんに欲しいくらいだ。



「ふふ、茉里ちゃん可愛いわね。ちょっと待ってらっしゃい、今ご飯の用意するから」



 麗亜さんはマスクをしてても分る位綺麗な微笑を浮かべて台所へ向かった。ご飯の用意?



「メリーさん、ご飯って」



 メリーさんの袖をクイクイと引っ張って訊ねれば、メリーさんは今気がついたように頷いた。



「ここは麗亜がご飯係」



 分りにくいけど、きっと麗亜さんがこのマンションの住人のご飯を用意してるってことなんだろう。



「私は床掃除係」



 メリーさんが自分を指差しながら言う。それって……このマンション、プライベートないの? 部屋に鍵かける様子もなかったし、警備上大丈夫なんだろうか。



「これから茉里も一緒……茉里は買い出し?」



 え、いつの間に一緒に住むことに。



「は、え、はぁ」



 気の抜けた返事をする私に満足そうに微笑むと、メリーさんは椅子を引っ張り私を手招く。座れって言いたいんだろうと思う。



「花子がトイレ掃除係、幸恵が風呂掃除係」



 メリーさんが指差すから見れば、ドアからはテーブルの影になる場所に小学生くらいの女の子と大学生くらいの女性が寝転がっていた。寝てるみたいで反応がない。



「えーっと、女の子が祭ちゃんで、女の人が雅恵さん?」


「うん」


「それぞれ細かい係りが決まってるんだね」


「うん」



 会話が繋がらない。誰か助けて!

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