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15の春 未来を奪われた私達が絶望の中見つけた希望は○年後に花開く ―真奈side―  作者: 汐野悠翔


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17/23

無意識に探してしまう佑樹の姿

「どうした真奈? 最近、ぼ~っとしてる事多いな」


「橘さん、すみません……」


「連休ぼけか?」


「そういうわけじゃ、ないんですけど……」



年納めの慌ただしかった12月も終わり、新しい一年の始まりに、街や人が浮かれていた、そんな頃。


私は、12月の半ばを最後に会う事のなくなった沢田君の事を考えては、ぼーっとしてしまっていた。


この近くの学校に通って、この近くのファミレスでバイトをしていて、近くにいるはずなのに、あの日から私が彼の姿を見る事はない。


まるで避けられてでもいるかのように、沢田君は私の前からパタリと姿を消した。



「そういえば、最近あいつ来なくなったな」


「っ………」


「もしかして、最近やたらと外を気にしてるのは、沢田とか言うあいつのせい?」


「……そんなんじゃ、ないですよ……」


「本当か?」


「……はい」


「なら、良いんだけど」


「………」


「……何かあったなら、相談くらい乗るぞ? 俺はお前の味方だから」


「ありがとうございます。でも、本当に大丈夫です」


「……そうか?」



心配そうな顔で私を見つめる橘さん。


これ以上心配させるわけにはいかないと、私は精一杯の笑顔を向けた。


その笑顔に、橘さんも笑顔を見せてくれる。


でもその顔がどこか寂しそうに見えた。


そんな気がした。





「そう言えば、今日はお迎えはないのか?」


「え?」


「紗耶香ちゃん。いつもなら紗耶香ちゃんが迎えに来る時間だろ?」


「あぁ、紗耶香は今日は、友達と約束があるみたいで迎えには来れないって、さっきメールが入ってました」


「そっか。冬は日が暮れるのが早いからな、気をつけて帰れよ」


「橘さん、心配し過ぎですよ。もう子供じゃないんだから大丈夫です」


「………まだまだ。成人式を迎えるまでは、真奈は立派な子供。子供を心配するのが大人の務め」


「大人って橘さんの事ですか? 私と3つしか歳違わないのに、そんな力説されても説得力ないですよ」



私はクスクス笑いながら橘さんにそう言葉を返した。



「それに、あと3、4日もしたら私だって成人ですよ。もう立派な大人です!」


「見た目中学生の真奈が言ってもな、説得力が」


「あ~酷い!童顔だって気にしてるのに~」


「あはは。ゴメンゴメン。とにかく!女の子の夜の一人歩きは、くれぐれも気をつけろよって話。寄り道しないで真っ直ぐ帰る事、いいな」



私の頭にポンと手を置いて、優しい笑顔で諭される。



「はい。橘さんはまだお仕事ですか?」


「ん?まぁな。本当は真奈を送っていってやりたい所だけど……」


「橘~、いつまで休憩してるつもりだ? 早くこっちに戻って来い!」



事務所の奥にある工場から、社長の大声が聞こえてくる。



「社長が許してくれそうにないから……」


「いつも優しい社長が、なんか最近カリカリしてますね」


「年始のこの時期はいつもそう。忙しいとすぐ態度に出る人だから」


「そうなんですね。そんな時にこんな長話、すみません。本当に私は大丈夫ですから、橘さんはお仕事に戻ってください」


「仕方ないけど、真奈のナイト役は諦めて、大人しく仕事に戻る事にするよ。じゃあ、また明日な、真奈」


「はい、お疲れ様でした。お先に失礼します」


「お疲れ。気をつけてな」



橘さんの優しい笑顔に見送られながら、私は事務所を後にする。


一人で歩く1月の東京に、今日は真っ白い粉雪が舞っていた。


すれ違う人の中には、傘を指す人の姿も目につく。


その人達を振り返っては、私はゆっくりとした足取りで駅を目指して歩いた。


人込みの中、キョロキョロと辺りを見渡しては溜息がこぼれ落ちる。



「同じ街にいても、案外姿って見ないものなんだな……」



無意識にこぼれ落ちた言葉。



「っ!」



人込みの中、沢田君の姿を探している自分に気付いた。



「何やってるんだろ、私……」



そう呟きながらも、駅前の交差点で信号待ちをしている間に、気付けば沢田君がバイトをしているファミレスの前で、店内を覗き込んでいる私がいた。


でもやっぱり、彼の姿は見当たらなかった。


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