表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/134

アポロ15の反射

国立天文台 水沢観測所。レーザー測距塔。

「アポロ15着陸地点、座標確定。照射開始します」

若手研究員の声が、静まり返った室内に響いた。

吉田は腕を組み、画面を見つめていた。

新暦128年。あの雪の夜から半年。

レーザー測距塔は、ようやく完成した。月までの距離、約三十八万キロメートル。光の速度で、往復約二・六秒。

「照射」

緑色の光線が、夜空へ向けて放たれた。

画面の数値が動き始める。誰も口を開かない。

「……反射、確認」

研究員の声が震えていた。

「アポロ15のレーザー反射器、生きています。応答時間、正常範囲内」

室内に、静かなどよめきが広がった。

旧世界の人類が、確かにここにいた。痕跡は、消えていなかった。

吉田は何も言わなかった。画面を見つめたまま、ただ頷いた。


それから、三分が経った。

「所長」

別の研究員の声が、緊張していた。

「月面側から、追加の反射が来ています。発信強度高い。明らかに異常。しかもパルス」

画面に、点滅のパターンが表示される。

研究員の一人が、それを文字に変換していく手が止まった。

「……モールス信号に見えます」

吉田は画面に近づいた。


- ... ..- -.- ..

-- .- -.. .

-.- --- ..

-- --- -. --- .-.. .. - ....


誰も口を開けなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ