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アポロ15の反射
国立天文台 水沢観測所。レーザー測距塔。
「アポロ15着陸地点、座標確定。照射開始します」
若手研究員の声が、静まり返った室内に響いた。
吉田は腕を組み、画面を見つめていた。
新暦128年。あの雪の夜から半年。
レーザー測距塔は、ようやく完成した。月までの距離、約三十八万キロメートル。光の速度で、往復約二・六秒。
「照射」
緑色の光線が、夜空へ向けて放たれた。
画面の数値が動き始める。誰も口を開かない。
「……反射、確認」
研究員の声が震えていた。
「アポロ15のレーザー反射器、生きています。応答時間、正常範囲内」
室内に、静かなどよめきが広がった。
旧世界の人類が、確かにここにいた。痕跡は、消えていなかった。
吉田は何も言わなかった。画面を見つめたまま、ただ頷いた。
それから、三分が経った。
「所長」
別の研究員の声が、緊張していた。
「月面側から、追加の反射が来ています。発信強度高い。明らかに異常。しかもパルス」
画面に、点滅のパターンが表示される。
研究員の一人が、それを文字に変換していく手が止まった。
「……モールス信号に見えます」
吉田は画面に近づいた。
- ... ..- -.- ..
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-.- --- ..
-- --- -. --- .-.. .. - ....
誰も口を開けなかった。




