公女のオタ活+α
藤堂直樹記念病院 明月の個室。
明月は1.5倍速でアニメを再生しながら、AIの日本語回答を訂正して中国語でレポートを書いていた。
楊が呆然とその様子を見守る。
「どうして、アニメを見ながらなのに普段の3倍速でレポート書けるんですか……」
明月はキーボードを叩く手を止めず、にこりと笑った。
「普段は押さえてますから。ノルマは達成すると増えるので、ほどほどが良いのです。
これで今日の分は終わりです♪」
さらにパソコンを操作し、書店と本のリストを作って陳に渡した。
カッパ横丁の古書店、天牛書店、ブックオフ。
技術書、ミリタリー雑誌のバックナンバー、同人誌。
楊がリストを見て固まる。
「天牛って何ですか?」
「技術やミリタリーの情報がネットから消えているのです。親書は売り切ればかり。だから古本。
天牛は大阪から30分ぐらいの所にある大型古書店。今回の本命です。
同人誌はカモフラージュです。技術書で同人誌をサンドイッチして買って下さい。本命は同人誌で、それ隠すように適当に真面目な本を買ったみたいにして下さい。作法ですから。同人誌の指定が細かい?テキトーな同人では見破られるのです。一流は細部も手を抜かないのです。人手は大阪領事館の職員を使って下さい」
楊は完全に固まっていた。
来日して一週間も経っていないのに、どこで調べたのかわからない。
「響子さんに、絶版マンガや古雑誌のバックナンバー買えるお店を調べてもらいました
彼女、すごい読書家なんですよ。それから、日本で漢の骨とう品売ってるお店の多い場所も」
次に、明月は漢の大阪領事の宋を呼び出した。
建設中のトリプルタワーを見ながら、明月は淡々と指示を出す。
「新しい病院の部屋を確保して下さい。500~600室あるはずだから100室以上。建設費の2割ぐらい出すつもりで。重巡洋艦が買える金額ですが、船一隻より大事です。陛下には私から話します。メリケンとフランクの動向も注意して下さい。」
さらにパソコンの画面を見せながら続ける。
「AIは使えます。でも、日本語以外の入力UIがありません。中国語入力があるはずです。在日中国人コミュニティを調べて下さい。多分、この骨とう品店付近にあります。それから、日本との光ケーブルを、邪馬台国経由でいいから北京まで伸ばせないか検討させてください」
宋が退出した後、廊下で小声で呟いた。
「皇帝陛下より恐ろしい方ですね……」
楊が返す。
「公女様は本当にオタクなんでしょうか」
明月は一人、窓の外のトリプルタワーを見ながら呟いた。
「伯母上には、子供を産んでいただかなくては」




