明月公女
生成AIイラスト。劉明月(月児)と陣源琉のクッキー
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キリンが、ルナの腹に頭を叩きつけた。
その衝撃は彼女の身体を高さ十メートルまで打ち上げた。
地面に落ちた彼女はもう動けない。
巨大な脚が影を作る。踏み抜かれる、と思った瞬間——
「ルナァ!」
ガデルがキリンの首にジャンピングラリアットを叩きこんだ。
””
原作:乱場羅琉、画:爺皮帝の『アフリカで無双したら王子様が求婚してきた件』
禁足地アフリカの大自然、猛獣の描写が見てきた様に超リアル。王子ガデルの筋肉描写はまるで実在するかの様に書き込まれてる。主人公ルナの空気を読まない無自覚なボケもいい。
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明月公女は日本から取り寄せたマンガを読みふけっていた。
「公女様、あと10分ほどで帝がお越しになられます」
侍女の声に、明月は素早く顔を上げた。
ページをめくる手が止まる。
侍女の楊と目が合った。
無言のまま、楊が差し出し手に漫画本を渡した。
楊は何事もなかったように、それを衣装箪笥の奥へしまった。
「医療の書物を」
「すでに用意しております」
机の上には、産前の注意事項と日本の出産制度の概要が、さりげなく広げて置かれていた。
「茶の用意を」
「かしこまりました」
明月は椅子に座り、背筋を伸ばした。
明珠帝は静かに入ってきた。
「体の具合はどうじゃ」
「おかげさまで。伯母上」
「無理はするな」
明珠は部屋を見渡しながら、椅子を引いて腰を下ろした。視線が机の上の本に落ちる。特に何も言わなかった。
「日本語の勉強は進んでいるか」
「日常会話程度は問題ありません」
それだけ答えた。
それ以上という必要はない。
明珠は少し間を置いてから、口を開いた。
「それは良いことじゃ。日本との関係は重要になる。通訳は付くが、日本語が分かれば言葉を選ぶ時間が増える。
さて、急な話じゃが、日本の藤堂直樹記念病院で子を産め。お忍びじゃ。公式行事はない。」
明月は瞬きをした。
「……あの、大阪の埋め立て地の、邪馬台国の名家御用達の……」
「そうじゃ」
(同人誌即売会会場がすぐ目の前。時期もピッタリ!)
「伯母上は神ですか」
「急にどうしたのだ」
明珠はゆっくりと茶碗を手に取り、一口飲んだ。
「後継者として、厳しく育ててきた。それは変わらぬ」
明月は黙って聞いた。
「じゃが、出産ぐらいは日本でゆっくりしたら良い。日本なら人目も少なかろう。病院からは出れぬし、
皇族としての最低限はあるが……名家の娘の程度には……まあ、少しは自由にして良いぞ」
明月は伯母の顔をまじまじと見た。
「……伯母上、薪の寝床をビーズクッションに替えたら、人格まで柔らかくなりましたか」
明珠は一瞬固まった。
それから、静かに茶を置いた。
「……言うようになったな」
否定はしなかった。
少しの沈黙の後、明珠は付け加えた。
「向こうには陣もおる。方々に土産も配って根回しもしておるそうじゃ。安心せよ」
明月の表情が微かに曇った。
「……まさか、あのクッキーじゃないですよね」
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「何か問題があるのか」
(伯母上は完璧超人だが、味覚だけは死んでいる。北京から逃れる時に陣のクッキーを一週間食べ続けたせいなのか、それとも20年舐め続けた肝のせいなのか)
「あのクッキーは我が国の文化を誤解させます」
いや、陣は置いといて憧れの日本に行けるのだ。しかも5ヶ月。病院から出なければ行動も自由。侍女は楊でいい。しかも、陣は他の妊婦さんが恐がるからと、泊まり込みを断られただと。ナイスだ。邪馬台国のお姉さん。ああ、出産の不安が最初からなかったようだ。後は、一日でも早く日本へ行けるように準備を急がなければ!
明珠が退室した。扉が閉まる。
明月は、ゆっくりと息を吐いた。
「楊」
「はい」
「荷造りを始めよ。一日でも早く出られるよう」
楊は微かに笑った。「すでに半分は済んでおります」
明月は窓の外を見た。
協力者が欲しい。日本語の分かる口の固いのが。




