解説 名家と一般人の生殖動態
この国の人口構造は、感覚ではなく数値で理解した方が早い。
まず、全体の比率はおおよそ次の通りだ。
一般女性:約99%
鬼女:約1%
名家女性:約0.1%(地域差あり:0.005~0.3%)
男性:約0.03%(地域差あり:名家女性の約1/3)
つまり、男は約3,000人に1人。
一つの中規模都市に、数十人いるかどうかという密度になる。
この社会の安定性は、ある一点に依存している。
名家女性の数が維持されるかどうか
歴史上、国家の崩壊は例外なくここから始まっている。
戦争や粛清で名家層が減少すると、数十年単位で男性供給が細り、
やがて再生産が不可能になる。
名家女性の生殖
名家女性は、唯一「正常な男女比」で子を産める。
ただし、その効率は極めて低い。
排卵日前に性交した場合の妊娠率は:
20代:5~7%
30代:3~5%
40代:1%
現代人に近いが、明らかに低い。
出産時のリスクも高い。
母体死亡率:5~10%
女児死亡率:10%
男児死亡率:20%
さらに、男児は生まれても生き残らない。
死産を含めた場合、**成人まで到達する確率は約30%**にまで落ちる。
この数字を単純に積み上げると、次のようになる。
20回の性交で成立は1回あるかどうか
そのうち半分が男児
さらにその2割が出生時に死亡
生き残った男児のうち、7割が成人前に死亡
結果として、
成人男性1人を得るために、数十回規模の妊娠試行が必要という構造になる。
毎月挑戦しても妊娠は3~5年に1一度、成人男子1人を得るのに6度の妊娠出産が必要。
6度の出産で母親は3人に1人が死亡する。
それでも名家女性は産む。
母体死亡率が10%であっても、だ。
理由は単純で、
それ以外に国家を維持する方法が存在しないからである。
一般女性の生殖
一般女性は、名家とはまったく異なる生殖特性を持つ。
ウォルバキア様微生物の影響により、
排卵・受精・発生のプロセスが大きく変質している。
妊娠率自体は高い。
20代:約10%
30代以降:ほぼ生殖活動終了
ただし特徴的なのは排卵である。
単回で10前後の卵子を同時排出することがあり、
その結果として、
4~6人の多胎妊娠が安定して成立する
出産時のリスクは極めて低い。
母体死亡率:0.1%
女児死亡率:0.1%
ここだけ見れば、極めて優秀な生殖系に見える。
問題は、性比である。
一般女性から生まれる子は、ほぼ100%が女児である。
男児はどうなるか。
受精段階で大半が排除
胎内で死滅
出生時死亡率:約99%
生存する個体(約100分の1)は、
アンドロゲン不応症(AIS)様の状態となり、外見・機能ともに女性化する。
これらは「鬼女」として分類され、軍事階層に編入される。
一般女性から正常な男性は100万人に1人しか生まれず、数としては期待できない。
この二系統の生殖を合わせると、次の構造が成立する。
一般女性は爆発的に人口を増やせる
しかし男性は増えない
誰もがこの仕組みを理解している。
女は増える。
いくらでも増える。
だが、男は増えない。
だから、この国では——
男は人ではなく、配分される資源として扱われる。




