表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

36/83

EP-34 鳳凰帰巣作戦⑨(Day +186)

北京、劉主席の書斎


机の上に詰まれた本。

・太平洋戦争

・広島・長崎

・冷戦終結

・ベルリンの壁崩壊

・ソ連崩壊

・天安門

・文化大革命

・日本の戦後復興

・自民党体制

・明治維新以降の連続性


通信記録は断続的で、現場指揮官の報告は矛盾を含んでいた。

「成功」と「失敗」が同時に存在しているような戦争だった。


宋書記長

「鳳凰帰巣作戦の戦果は1万人未満。鳳凰号が帰還できなければ1000人に満たない様です。捕虜は1万人を超えるものの、死亡者は1000人を下回る模様。捕虜の処刑は行われていません。現地側の交戦規定が予想以上に厳格です。つまり、戦果は限定的。戦略目標未達。」

「日本は男がいるだけの甘い国ではない。悲劇を乗り越えた強者だ。」

「……想定より“壊れなかった”な」

「鳳鳴がずいぶん筋書きを変えてしまった。被害を少なく抑えすぎた。日本の憎悪を爆発させれていない。取り返しがきくレベルにとどめた。」


劉は、その言葉の意味を理解していた。

壊れなかったのは敵ではない。状況でもない。

“国家の構造そのもの”だ。


劉は机の上に視線を落とした。

その上には、日本で入手した書籍と翻訳資料が積み上がっている。

過去戦争史、憲法、統治機構、宗教観、家族制度、人口統計。

そして、戦後日本の記録。


「20年前の我々の認識は誤っていました。皇族や名家は、単なる制度的残存物だと考えていた。十分に食って男と多く交われば誰でも男が産めると思っていた。」

「だが違った。男を産めるのは選ばれた家系だけだった。」

「それを認めるのに20年かかりました。既に革命第一世代は私たち2人だけです。残りは全て死にました。老いと病、権力闘争と暗殺。」

「どうやってもこの国を残す方法が見つからなかった。異世界の大日本帝国とソビエト。日本とロシア。明確な敗北なしでの体制変更は膿を残しすぎる。」

「日本に戦争を挑み、敗北して日本の属国になる。異世界の日本とアメリカの様に」

「凰鳴が、想定より“穏やかに成功させた” それが問題だ。憎悪が足りない。戦争の終結条件が成立していない。」

「では、次の手は?クーデター誘発ですか。凰鳴を使って、我々ごと内部矛盾を処理させますか?」

「この国家は、外からでは終わらない。内部でしか終わらない」


その時、緊急事態を告げる電話が鳴った。

「南漢の機甲部隊が徐州から侵攻。国境を越えて済南へ迫っています。大規模航空攻撃も始まりました。」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ