EP-26 鳳凰帰巣作戦①(Day +182)
「同志諸君、刮目せよ!
20年前、我ら人民は腐敗した旧体制を打ち砕き、真の平等という『光』を手に入れた! あの革命は正義であった。我らの歩みは、人類史において最も気高く、最も正しい選択であったと、我ら自身が証明し続けねばならん!」
「……だが、天は我らに過酷な試練を与えた。
諸君らも知っての通り、この地球全土を襲った『呪い』――男たちの絶滅。今やこの地上において、男は2万人に一人しか生まれない。砂漠の一粒の金にも等しい至宝となった。
我らが正義を貫こうとも、男がいなければ、我らが築いた理想国家もまた、一代限りの砂上の楼閣に過ぎん!」
「しかし、同志たちよ。絶望する必要はない!
東の島国を見ろ。あそこには、世界の理から外れ、不当に『男という資源』を独占している不逞の輩がおる! 邪馬台国の泥棒猫どもは、世界中が渇きに喘いでいるというのに、我らの正義を無視し、豊かな種を囲い込んでいるのだ!
これは略奪ではない。これは、停滞した人類の歴史を再び動かすための**『正義の再分配』**だ!
銃弾をかい潜れ。その先の男を抱きしめろ。呪われていない日本の女も連れ帰れ!男女比1:1の堕落した楽園から我らの世界に、正しき理想に引き上げるのだ。一人でも多くの若い日本人を確保せよ。我らと彼らの子が正義と革命を引き継ぐのだ!
全軍、命を懸けて、世界の不平等を我らの手で正せ!」
最高司令官の雷鳳鳴は兵の姿が見えなくなるまで姿勢を崩さなかった。
「半分も生きて帰れないだろう。特攻兵も多い。」
鳳鳴は運任せの無謀な作戦に反対だった。しかし、メリケンによる米第7艦隊襲撃を知った党指導部は狂気の作戦を発動した。
そして、玉砕突撃じみた当初の軍事作戦は、鳳鳴の手によって ”日本は裸の女を撃たない” ことを前提にした成功率10%未満。失敗して当然の作戦もどきの政治パフォーマンスに変更されていた。
鳳凰帰巣作戦(国家生存戦略 丙案改)
参加兵力
第一軍
潜水艦60隻
・酸素魚雷改造特殊潜入艇 回天改:3人乗り 480艇 1440人
(作戦発動前に沖縄上陸済み。潜伏中)
第二軍
魚雷艇250隻
・酸素魚雷改造特攻兵器 回天:250本
・通常魚雷 750本
第三軍
大型漁船 80隻
・水中スクーター部隊 8000人
第四軍
貨物船 50隻
・水中スクーター部隊 10000人
第五軍(防御拠点の破壊)
空母2隻(航空機60機)
護衛艦4隻
第六軍(本土)
戦闘機 500機(邪馬台国沖縄向け航空作戦。状況により日本への片道攻撃前提の予備戦力)
第七軍(宮古島方面で陽動)
大型フェリー 1隻
日本の沖縄防衛は強固だった。正面作戦での攻略は不可能だと判断された。
日本側の戦力(沖縄方面、人民解放軍の諜報と偵察による推定)
陸上自衛隊 3000人
米海兵隊 6000人
邪馬台鬼女 1000人(公式発表。予想では3000~10000人)
戦闘機 80機
戦闘車両 150両
攻撃ヘリ 20機
軽空母 1隻(日本、航空機10機)
対艦ミサイル、対空ミサイル多数
個人携行重火器多数
AI制御12.7mm自動機関銃 2000~3000ユニット
AI自動機雷、水上ドローン 多数
作戦目的
那覇港停泊中の豪華客船、金翼鳳凰を乗客乗員ごと奪取。拉致した日本人を加えて出航。天津に帰港する。他、沖縄各地から日本人を盗難したボート、漁船、貨物船で連れ出し沖合で待機している貨物船に乗り換え天津に帰港する。作戦期間は第2フェーズから第5フェーズ沖縄脱出までを48時間とする。ただし、上陸部隊は第6フェーズ終了まで抵抗を続けること。
作戦進行
フェーズ1(ほぼ成功)
第1軍(潜水艦)から工作員840人を沖縄本島に潜入(600人は宮古島)させ情報収集、センサーの無効化を行う。
日本語を話せないため市街地への潜伏は困難。
第一目標の中国船籍豪華客船 金翼鳳凰 16万トンには中国人乗客として20人が潜入済み
以下は実施前
フェーズ2
宮古島に第5軍のフェリー1隻(兵1000人、車両50台)の入港(南中国籍燃料漏出による航行不能に偽装)
沖縄本島。潜入部隊による誘導で漁船・貨物船からから第3軍、第4軍の水中スクター部隊が上陸(囮部隊:非武装全裸3000人、本体15000人)
フェーズ3
魚雷艇は50部隊に分散、曳航式ダミーで数を欺瞞。回天非搭載部隊は日本の対艦ミサイル消耗を意図し、積極的に露出行動する。
回天部隊は那覇港50kmまで接近し回天の発進を実施する。
回天は那覇港沖合2kmからプログラムにより港内に突入。機雷源に穴をあけて鳳凰号の脱出路を拓く。
フェーズ4移行後、状況によっては那覇港に突入し鳳凰号の脱出支援を行う。
フェーズ4
上陸部隊の半数は那覇港に集結し港湾を確保。残りは潜入員と協力し、島内に残った日本人を確保。漁船等を奪って各個に脱出。合流地点で貨物船に移乗する。
豪華客船 金翼鳳凰 16万トンの制圧と出港準備。及び確保した那覇市内の日本人の鳳凰号への移送。
フェーズ5
空母艦載機による日本のレーダー網の破壊。制空権確保。
潜水艦、残存艦艇は沖縄近海で支援を継続。日本人が乗っていること。攻撃があれば日本人の生命が危険に晒されることを喧伝し出航後の攻撃を抑制。
フェーズ6
天津へ帰還
作戦終了。沖縄で戦闘中の部隊に投降を指示
鳳鳴
「フェーズ2で日本人が裸の上陸部隊を撃てばそこで作戦は失敗。そこで中止すれば最小限の犠牲と私と貴女の首で済ませられる。貴女が黙っていてくれたことに感謝している。」
陳政治委員
「成功しても失敗しても我が軍は形骸化します。今の祖国は終わっています。幕引きは早い方がいい。」
鳳鳴
「国破山河在」
陳
「……城春草木深、ですか。鳳鳴、残念ながら今の我が国に、春を待つ草木は残っていません。残っているのは、我々が吸い尽くした後の荒野と、歪んだ理想の残骸だけです。
『国』は20年前に死にました。そして今、この狂気によって『軍』も死ぬ。共産党が守ろうとしているのは『人民』ではなく、自分たちの『永劫の統治』という幻影に過ぎません。幕を引きましょう。あなたがこの作戦を『政治パフォーマンス』に書き換えた時、私とあなたは既に党を裏切っているのですから。」
副官
「ところで、上陸部隊は軍服着てませんが捕虜扱いしてもらえるでしょうか?」
鳳鳴・陳
「!!!」
軍服を着ていない者は、軍人ではなく犯罪者として扱われます。




