バタフライエフェクト
”週刊誌のおかげで貴方の視界の隅まで来れました。 直子”
ホワイトハウスの執務室
直子からのメールを見て、ドロシー大統領はため息をついた。
「遊びでゴシップ1つ流したら、バケモノが生まれた。ナンシー、これ、予想できた?」
緊急レポートを見ながら、ナンシー国務長官が答える。
「スピード違反の件ですよね。不可能です。情報部門の分析では、村上新政権の評価はA+、麻田のAより強力です。
全国区で約200万票を獲得した村上は、国民から最も支持された政治家という立場です。
首相と言うより、大統領に近い。党内に対抗できる政治家は存在しません。
新党なので、既存利益とのしがらみが有りません。様々な改革にフリーハンドで着手できます。
政策はイデオロギーでは無く、AIを活用したデータ、シュミレーション、費用対効果で立案されます。
政治家は「決断」を担当し、AIは「分析」を担当する構図です。
敵対するはずの民自党から、大臣政務官として財務、外交、防衛の3分野で閣僚経験を登用。
そして、官房長官に、前総理の娘、麻田直子」
ドロシー
「10年後の強敵って思ってたんだけど。
政権交代時の混乱、摩擦無し。
超党派協力が確定。与野党対立なし、議会の支配率99パーセント。
しかも、36歳。体力は無限。時間も味方。
政治化以外の多彩な人材を国会議員として掌握。
メディアへの話題性も十分。SNSの扱いにたけた人材の塊り。
弱点が見当たらないわ」
ナンシー
「新政権発足から、3つの大手コンビニチェーンが総合週刊誌と新聞の取り扱いを終了すると発表しました。あくまでも費用対効果の問題で従来の取り組みを進めたものとされていますが、マスコミは額面通りには受け取っていません」
「もう週刊誌スキャンダルの時代も終ね。やりそうな国会議員も参議員に少し残ってるだけ。次の選挙で鞍替え考える連中はやらないだろうし。ネット対策のエキスパートも多いし、本当に無敵。ガチの失政以外にダメージ無さそう」
どうしてこうなったんだろうと思いながら、モニターを見つめるドロシー。所信表明演説の国会中継で村上は、日本人による早期の月面着陸を宣言していた。




