フロンティア・スピリッツ!
メリケン、パトリック空軍基地。技術会議室。
ドロシー大統領は、日本から提供された航行ユニットの残骸写真を見つめていた。
ご丁寧に、日本が作成した事故調査報告書の写しまである。
パメラ国防長官
「屈辱ね。親切でも、ここまでされたらイヤミだわ」
NASA長官のシモーヌは目を閉じた。それから、深く息を吐いた。
「ニナとラヴェルが生きて帰ってきた。貴重な情報も山ほど持ち帰った。普通の成功の10倍の価値があった。日本のステーションについての報告。居住モジュールの構造、クルー数、食料システム、宇宙服の仕様——かなり詳細な情報です」
ドロシー
「プライドの件は、まあーーー置いときましょう。
結果だけ見れば——↑Good deal
貴重な情報がタダで大量に手に入った。
上手く美談に仕立て上げた。日本とメリケン、双方の緊張緩和にも役立った
軌道上の管轄権が西経45°〜165°、北米大陸からハワイまで。南米大陸の端をヨーロッパにとられたけど、地球のちょうど3分の1。バランス的にはよし、としましょう」
パメラ
「でも、ハッキリしたことも。日本も月を目指してる。しかも、1年後に」
シモーヌ
「日本転移=タイムスリップって説があって、月面に星条旗やアポロの残骸があるか確認したら分かるって言っている人たちがいる」
ドロシー
「それなら、無人探査でもわかるでしょ?直ぐに発表するには、話が大きすぎるから調整必要だけど」
次のスライドが映し出された。
新しい設計図だった。
「大型液体ロケットの開発は凍結します。
一段目は固体ロケット30本を連結。異世界ソビエトが実現できなかったN-1ロケットの改良ですが、固体ロケットにすることで、配管と複雑な制御機構を除外し早期実用化をはかります。コードネームはリバイアサン。
二段目は固体ロケット8本を連結。サラマンダーを大型化したものになります。コードネームはヒュドラ
三段目は、Dr.フーのケロシン-液体酸素系ガスタービンロケット。コードネームはライジング。」
「完成時期は?」
「6か月後に、無人の初号機を打ち上げ、燃料を低軌道に置きます。成功すれば2か月後に有人宇宙船を打ち上げます」
「失敗したら?」
「2か月後に、再び燃料タンクを打ち上げます。何度でも。何度でも」
「よろしい!それこそが、フロンティア・スピリッツ!」
ワシントンに戻る大統領専用機の中
ドロシー
「Mr.麻田。手強いわね。本当に強い。悪辣でないのが余計に腹立たしいわ。
勝手に味方が増えるし。男相手の外交って本当にやりにくいわ。
見たでしょ、ネットのアンケート。国民の78%が、私と麻田を交換したいって答えてるのよ!」
キャサリン大統領補佐官
「ハンサムですからねえ。Mr.麻田のご令嬢も優秀ですよ。温厚で、相手の立場で考えながら、それでも抜け目なく、自国の利益をガッツリ差し込んでくる。10年後には間違いなく表舞台にでてきますね」
ドロシー
「スキャンダルとも縁無さそうだし。CIAが頑張ってるのに娘のスピード違反ぐらいしか出てこない。こんなショボいのでも、ちょっとぐらい足ひっぱれるかな?」




