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ナビの示す先は異世界でした  作者: フツカ
転移先は異世界!?出会いと学院生活、そして放課後の罠

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30/43

強気な夜遊びコーデと彼の動揺。魔術都市の夜が私を誘う

「わぁ、ミュウ、いっぱい買ってきたね!」

 夕方、帰ってきたアンに駄菓子屋さんで買ってきたものを見せた。


「あとで一緒に食べようよ。こっちの駄菓子屋さんて、魔法もかかっているんだね」

「そっちの世界は魔法がなかったよね。じゃあどうやって駄菓子で遊ぶの?」

「色が変わったり、口の中で弾けたりするものがあるよ」

「魔法無しでそれはすごいね!」

 

 

 今日はこれから外食の予定だ。前も行った、グルメな東エリアにジークが連れていってくれるらしい。


「じゃあ、着替えてくるね」

「私も着替えよーっと。さっき買ってきた面白いメガネがあるんだよね〜」

「女は時間がかかるからな……」


 アンの面白メガネはとても気になるところだ。

 着替えて宿の前に集合することにした。


 

「おまたせ!」

 待っていたジークとアンが振り返る。

「わ〜!ミュウ、山の中と全然違う!かっこいいね!」


 キャンプ後に遊ぶ予定で持ってきていた服に着替えてきた。

 少しタイトなショート丈の黒いトップスにハイウエストな白いワイドパンツ。足はショートブーツ。

 首元にはチョーカー型のシルバーチェーン。耳には大ぶりなシルバーのフープピアス。指先にはリングの重ね付け。繊細なものと、少しボリュームのあるものを。髪はほどいてきた。


(……ちょっと露出多いかな。でも今日は街遊びだし)



 ジークの視線が、むき出しの肩から鎖骨へと一瞬だけ流れる。 けれどすぐに逸らされた。


「……似合っている」

  そう言った声が、少し掠れて聞こえた。


「……しかし、鎖骨と肩が見えすぎではないか?」

「二人ともありがとう。でもジーク、こちらではそうなの?綺麗に見せるために出しているんだよ」

「なに!?…………夜の街では視線を集めすぎる。気をつけろ」

 ジークのその言い方が、どこか“育ちの良さ”を感じさせる。


「そういうジークは……かっこいいよ、すごく」

「……そうか、ありがとう」


 ジークは体のラインが綺麗に出る少しタイトで首元が開いている黒のスタンドカラーシャツ。裾には魔術紋章の刺繍。

 少しだけ光沢のあるスリムなダークグレーのパンツ。

 街用の薄い革靴を履いている。魔力で汚れを弾く加工がされているらしい。

 アクセサリーは銀のチェーンネックレスに紋章の入った指輪。


 ……このドキドキはなんだろう……推しの新規絵を見た感じかな?

 まるで画面越しにしか見られないはずの特別な存在が、いま目の前で動いているような……

 でも、そばにいると体温を感じる。これが現実なんだと突きつけられて……心臓がもたない。


「アクセサリー、初めて見た……」

「無くすから普段は宿に置かせてもらってるんだ。街用の服と一緒にな」

「へぇ……

アンもそういう格好するんだ?かっこいいね」

「えへへ〜ありがとう!」


 アンは原色使いの派手なシャツ。魔法の模様が浮かんでいる。

 そしてオーバーオール。ポケットには魔石の飾り。

 ポップなカラーの指輪やネックレスをじゃらじゃらつけている。耳には魔石をはめ込んだようなピアス。

 そして、魔力で色が変わるメガネをかけている。


「ピアス、つけてきたんだね」

「うん、冒険中はつけてないの。ジークと同じ。落とすと困るからね」

「そうなんだ。メガネ、気になってたんだけどすごい色だね……」

「ごちゃごちゃした雑貨屋さんで買ってきたんだよ!変なとこが気にいってさ〜まぁ、夜遊び用だね」

「私もそう。少し強気な夜遊び用コーデだよ」

「なんだと!?誰が夜遊びなどと言ってたんだ?」

 アンと私の会話を聞いて、ジークが驚いたように声を上げる。


「え?最初から夜遊び用だよ?

ナニヴァルの繁華街でなめられないように、こんな感じにしたんだよ」

「うんうん、私もミュウと同じ!」

 アンも夜遊びコーデだったんだなあ。


 ジークが仕方ないなというように肩をすくめる。


「さっ、行こう!」

「おー!」

 私の呼びかけにアンが手を振り上げた。

「ナニヴァルの夜はね、光る看板がいっぱいで楽しいんだよ〜!」

「へえ、そうなんだ」


 準備も万端だし、ワクワクが止まらない。


(……異世界の繁華街ってちょっと怖い気もするけど、ジークがいるから大丈夫だよね。隣にいると安心するし)


「ジーク、ちゃんと見ておかないと、夜遊びのナンパだと思われてミュウが連れてかれちゃうよ〜?」

 アンがメガネを光らせながら、面白そうに言う。

「……俺の目の前でそんな真似をする命知らずがいたら、不敬罪で叩き斬る」

 それに対してジークは大真面目に答えている。


(……今の言い方、なんだか貴族の騎士みたいだったな……)



「……ミュウ。今日は俺から離れるな。夜の街は……お前には刺激が強い」

 ジークが私のピアスに一瞬視線を落とし、すぐに目を反らした。


「えっ……?」

「……危険だからだ」

「……うん、わかった」

 ジークが私と周囲の空間を遮るように一歩前に出る。

 できるだけジークの側にいておこうっと。



 私達は東エリアに向けて出発した。


 胸が踊る。 ……でも同時に、 何かが起こりそうな予感もしていた。

読んで下さり、ありがとうございます。

キリの良い第30話は、ナニヴァルの夜を彩る「夜遊びコーデ」回をお届けしました。


冒険者スタイルから一転、少しタイトな黒トップスに白のワイドパンツ、アクセサリーを重ね付けした美優。

現代のおしゃれ女子としては定番のスタイルですが、ジークにとっては刺激が強すぎたようです。

視線を泳がせながら「肩が出すぎでは……?」と心配する過保護なジークですが、彼自身もスタンドカラーの黒シャツというド直球なイケメン姿。

そしてアンのポップな夜遊び用メガネ姿も楽しいです。

頼れる(そしてちょっと余裕のなさそうな)ジークを隣に、いよいよ夜の繁華街へと繰り出す一同。

ラスト、美優が感じた「何かが起こりそうな予感」とは……?


次回、31話は5/31(日)19時頃の更新予定です。


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