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通行税はプチプラピアス!? 活気あふれる商売の街

 今日は、もう見えている街に入るんだとわくわくしながら朝食の準備をする。ついにあの街に入る。見えているだけで胸が高鳴るその場所に。


 オオサキア王国第二の都市、ナニヴァルだ。色んな種族があふれていて、魔法と商売の街らしい。

 人はおせっかいで温かいとのこと。


 まずは宿を取ってから冒険者ギルドでの登録、それから装飾品などを売りに行って買い物をする。

 忙しいながらも楽しそうだ。


 この街なら私の服やキャンプ飯も、珍しいながら受け入れてくれる気がする。ジークたちのように。



 火と水は時間がかかるけど、ゆっくりイメージしたら用意することは出来た。

 作るのは焼きおにぎりと具沢山のみそ汁だ。


 おにぎりは冷凍して持ってきてある。アンから霜柱の魔法をかけてもらっているので、クーラーボックスは今日もひえひえだ。

 切った野菜が袋から出てくるのにまたマリアとジークは唸っている。すぐには慣れないようだ。


 

 そういえば、作ってからなんだけど、ジーク達はみそって大丈夫かな?

 気になったので皆に味見してもらう。


「ダシがしっかり効いていて深みを感じます。香りも豊かですね。

ホッとする優しいスープです」

「朝にぴったりだな。まろやかで具材とのバランスもいい……アン、飲み過ぎだ」

「あと一口だけ!」

 

 お口に合うようで良かった。

 焼きおにぎりを凍ったまま焼く。

 しょうゆとみりん、そして隠し味のごま油。鉄板の上でタレが焦げる香ばしい匂いが、朝の澄んだ空気に広がっていく。

 どこか懐かしくて、安心するような香りだった。


「わぁ、いい香りがしますね」

「もういいんじゃない?」

 アンは早く食べたそうだ。

 「裏側も焼くんだよ。焼けたら食べていってね」


 

 「おいしー!外はカリカリで中がふわっとしてるね!」

 アンがハフハフと熱さに悶絶しながら、幸せそうに頬張る。早食いなのでしゃっくりが止まらなくなっている。


「異世界の料理は香ばしいものが多いですね。焦げ目のカリカリ感もおいしいです。

初めて食べたのに懐かしいような気がしますね……」

 マリアも、お焦げのついたおにぎりを大切そうに口に運んでいた。

「うん、これもうまいな。旨味がギュッと詰まってコクがある。腹に溜まりそうだ」

 

 焼きおにぎりも美味しく食べてもらえて良かった。

 食べて休憩したあと、片付けていく。またコソコソと車に調理道具を積んだ。




 見えている街に向かって街道沿いを歩いていく。


 そういえば街へ入るのに身分証明はいるのかと心配になったけど、お金を払えば大丈夫とのこと。

「来る者は歓迎、稼ぐ者はもっと歓迎」ということらしい。



 大きな門のところに来た。

 なんだか、門から龍みたいなものが飛び出して蠢いている。魔法仕掛けのようだ。

 その下を人が行き交っている。何かトラブルがあったのか揉めてる人達を門番らしき人が仲裁していた。 


 年配の門番さんが、前にいるのに体育館の端から喋るような大声で言う。


「お前さん、冒険者証はないのか?じゃあ、金を払ってもらおうか!大銅貨3枚かそれに見合うものだ!

それもなければその辺で荷物運びを手伝ってくれ!」


 お金のことは聞いてたけれど、大銅貨3枚で300円くらいらしい。安い方だと思う。



「こちらのお金は無いので、これでもいいですか?」


 サージカルステンレスの、私がしていたピアスを差し出す。

 500円くらいのだから、これで通れないかな?


「こっこれは……見たことのない金属だ……!それにこのデザイン……花の形になっている!」

「よく見せてくれ!」

「娘の誕生日にいいな!」

「これは通行税だぞ!……俺にも見せてくれ」

 

 ……だいぶ、騒ぎになってしまった。


「おいそれ売り物じゃねえのか?!」

「いや通行税だって言ってただろ!」

 

 これは、従姉妹たちの忘れ物を売りに出したらどうなってしまうのか。

 



「そうそう、それから」

 最初の門番さんが話しかけてくる。

「夜間は門を閉めるが、別に締め出しちゃいない。脇の『夜間通用口』のヤツに酒の1杯でも奢れば通してやるよ。

安酒でいいぞ、気ぃ遣うなよ!」



「えぇーそうなの?!」

「初めて知りました……」

「俺たちは真面目すぎたのか……?」


 ジーク達も初めて知ったようだ。

 ペコリと頭を下げてから門をくぐる。



「わぁー……すごい!」


 門をくぐると、そこは別世界だった。

視界に飛び込んできたのは、やたらと巨大な看板の数々。

 魔法でぐにゃぐにゃと動く真っ赤なタコのオブジェや、黄金に輝く巨大な剣の模型が、これでもかと自己主張している。

 その間を、色とりどりの旗や布がひらひらと揺れている。

 上からは紙吹雪のような魔法の光がぱらぱらと降ってきた。



「そこの美人さん、いい杖あるよ!」

「両替するよー!ウチの店は老舗だから安心だよー!」

「見るだけでも金取るぞー!……うそだよ来てくれー!」

「さあ見ていってくれ!今ならアクセサリー類全品2割引!!魔法付与品もあるよ!」




 店の呼び込みもめちゃくちゃ元気で口喧嘩に近い勢いだ。私は会釈しながら通り過ぎる。

 どこからかスパイスの効いた肉を焼く匂いがする。甘い菓子の匂いや、少し焦げたパンの香りも混ざっていた。

 魔法での火花がはじけるような音が混ざり合っている。

 


 ここはまっすぐにずっと続いていて、先には大噴水がある広場になっているらしい。

 こんなに賑やかで温かい街に来たのは初めてで、胸が高鳴った。

 この街で、何かが始まる気がした。


読んで下さり、ありがとうございます。

ついに到着しました、商売の街「ナニヴァル」

どこかで見たようなタコの看板や、威勢のいい呼び込み……美優も(そして私も)なんだか親近感を覚える街並みです。

500円のピアスで大騒ぎになってしまいましたが、この先、従姉妹たちの「本気のお宝(忘れ物)」を出したら一体どうなってしまうのか……

次回、いよいよ冒険者ギルド登録です。


第20話も同時に更新しています。


ぜひ、続けてお楽しみいただければ嬉しいです。

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