「わたしの永遠の故郷をさがして」第3部 第2章 第18回
すると、虚無の空間から、不意に、神々しいようなヘレナ女王が姿を現した。
ダレルは、それが実像であるわけがないとは解っているのだけれども、かといって完全なバーチャルではないということも理解していた。
それは、完璧な意思を持つ虚像だ。
つまり、ヘレナ女王本人ではないが、本人となにも変わらない本物そのままなわけだ。
コンピューターがデータを基に擬似的な対応をしているというのとは、次元が違う。
「相変わらず、人を食ったやりかただな。」
ダレルは嘲るように言った。
すると、ヘレナ女王は答えた。
「あなたは、我が息子なのだから、もう少し母を尊重するようにしなさい。」
「よく言いますね。あなたが母親に値する何をした?年がら年中、人を食べていただけだ。」
「食事は生命の基本です。それを、忠実に実行していただけ。」
「正しかった、と?」
「いいえ。正しくはなかった。だから、地球に新しい文明を作っている。解っているでしょ?」
「ふうん。罪を償いもせず、ひたすら、ただ、逃走していながら、よく言いますね。」
「もとより、わたしは、捕縛される性質がない。多次元以上の性格である以上、三次元生命体はわたしを捉えられない。だから、自らを罰している。」
「なら、なんで、三次元世界に干渉した?それがそもそも間違いだ。」
「好きになったから。」
「酷い言い訳だ。出てきて、みんなの前で罰を受けなさい。」
「それは実行した。あなたも、見たはずだ。」
「あれは、会議をしただけだ。処刑もなにも、されてない。」
「形だけの処刑をしろとでも?」
「そうだよ。それでも効果は大きいんだ。今からでもやるべきだね。」
「ばかばかしい。なんの意味もない。無駄遣いになるだけだ。」
「あんたの王室の負担にするだけだ。」
「パルくんが気の毒だ。」
「パルくんがそれを望んでいるのだ。あなたの処刑を!」
「ほう? 公開処刑大会か?」
「まあ、そう言ってもいいよ。あんたが不死なことは解ってるさ。しかし、民衆の多くはそうではない。」
「つまり、騙すわけ?」
「まあ。そうだな。しかし、パルくんの実力を示すにはよいやり方だよ。しかも、民衆のストレスを開放できるし、一定の区切りになる。」
「愚かなことです。」
「いや。あなたが書いた経典にも合致する。宇宙の神様があなたを普遍化するだけだ。」
「わたしは、自分を神様扱いしたことなどない。」
「いやいや、神によって裁かれるんだ。」
「あなたは、それが、地球世界の確立に役に立つと思いますか?」
「ああ。非常に効果的だな。」
「ふうん。まあ、考慮する余地はある。」
「考慮じゃなくて、すぐ、判断してください。パルくんが銃撃されたんだ。犯人は分かっていないが、たぶん、青い絆、あたりの後継者だろう。彼らは王政は望まない。立憲君主制も希望しない。彼らが望んでるのは共和制で、国王は必要ない。」
「地球人類には、まだ、王が必要なのです。それは、人類という生き物の特質です。暴走しやすく、暴力に走りやすい。しかし、間も無く地球人類が地球上で発生したら、上手くその特質を活用したら、やがて火星人類や金星人類を凌ぐようになります。王国はその道しるべなのです。」
「それは、あんたの身勝手にすぎないよ。地球人類が生まれるにはまだまだ時間が必要だ。地球人類に手本はいらないはずだよ。まして、火星人類や金星人類は、失敗例だしね。」
「失敗こそが、成功の礎なのです。」
「間違いだ!」
「あなたの申し立ての通り、真の都に入れてあげても良いのですが。永久に。」
「勝手にしろ。抗う力などないからな。しかし、こちらの世界を纏めることはできなくなくなるわけだが。」
「ほほほほほほほほ。あなたの代わりはいる。たくさん。」
「ほう?」
ダレルは、火星時代から、ヘレナ女王に精神支配をされないで、客観的にその間違いを見てきた、さらに支配者に忖度などはしない、稀有な存在である。しかし、その価値が生きるかどうかは、実はやがて進化してくるはずの未来の地球人類に、大きく関わることになるはずである。ヘレナ女王がそれを理解していないわけはない。ダレルはそうした期待も持ってはいたが、それをあえて主張するなんて恥ずかしいことはやりたくない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
幸子さんコーナー
幸子さん
「やましんさん、このお話し、終わりそうにないね。」
やましん
「うん。そうだなあ。」
幸子さん
「やはり、幸子を主人公にしないから、そうなるんだよ。今からでも遅くないよ。」
やましん
「ヘレナさんの呪いは怖いからね。」
幸子さん
「ううん。それは、たしかに。不思議が池にお参りしなくちゃ。」
やましん
「旅費がないんだなあ。」
幸子さん
「売れるようなお話しを書かないから!」
やましん
「いまさら、無理だなあ。」
・・・・・・・・・・∇・・∇∇・・・




