わたしの永遠の故郷をさがして 第3部 第2章 第17回
「あんた、いったい、どこにいるんだ?」
矢印を追いながらダレルは言った。
その指し示す方向は、あきらかにおかしいのだ。
ダレルが知る限り、その方向には部屋はないし、ドアもない。
つまり、すぐに行き止まりになるに違いなかった。
ところが、そうはならなかったわけである。
その矢印の方向には、なんの障害もなく進めてしまう。
「ちぇ。お得意の空間操作かい? 意味があるとは思えないな。最初から目指す場所を言えば良い。おっと、曲がったか。」
あたりは、薄い赤色に染まっている。それは、ヘレナが大好きな色合いである。
矢印は空間に浮いているから、どっちに向くのも自由自在というわけだが、必ずしも床に平行に、しかも直線的に動いているというわけでもなさそうだ。
つまり、斜め上方だったり下だったり、旋回したりもする。
けれども、重力に邪魔されたりはしない。
この衛星は、後世に地球でダイモスと呼ばれるほう。つまり、火星からは遠くて不便なほうである。
火星の文明が崩壊した後も、所有権は何処にいるのか分からないヘレナにあった。そもそも、ダイモスの重力は小さいし、表面はぐずぐずになってる場所もある。あまり住みたいと思える場所ではなかったが、そこは偉大なる火星文明であり、地盤改良をして、王室が活用してきた。
だいたいは、軍事用途だったが。ダイモスは、火星の前哨基地としては最適な位置にあるからだ。内部には自然の穴がたくさんあり、利用しやすい。しかも重力が小さいから、離着陸は大変に楽でエネルギーをあまり使わない。ただし、ちょっと遠いのはデメリットでもあるが。一般の観光客は立ち入り禁止であり、ヘレナにとっては気楽に過ごせる場所だったわけであろう。
しかし、もはや、残骸が残るだけになっている。危ない兵器は、ダレルが片付けさせたからだ。
「ちょっと気がしれないがな。ぼくは、あんな危ない破壊兵器と、休暇を過ごしたくはないが。おーい。どこに、案内したいんですか!」
すると、ついに、矢印が止まった。
「やれやれ、やっとこさ、 到着しましたか?」
しかし、その周囲を見回してみて、ダレルはいささかぞっとした。
もはや、赤色はなくなっていた。しかし、ここには、四季彩というものがない。
「これは、真の都の入口にあるという、永遠の回廊かな!」
高い。しかし、なにも支えてはいない柱が無限に続くようにみえる。それも、すべての方角にだ。
床はすべすべで、切れ目も繋ぎ目も見当たらない。
空は、有るようでなかった。
ひたすら、突き抜けた空間で、太陽も星も見えない。なんにもない。
「ついに、真の都にご案内というわけかい? やっと僕を殺したわけか?」
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