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わたしの永遠の故郷をさがして 第3部 第2章 第16回


 ダレルは、もちろん何かが見つかるというようなことは、まあ、無いだろうと思っていた。


 ヘレナがそのような息子想いな行為をするなどとは考えにくいのだから。


 しかし、一方で、だからこそ、そんな人間的な感情は持ち合わせないヘレナだからこそ、パズルをするみたいな意味合いで、なにかを遺している、あるいは、細工をしている可能性は十分あるかもしれなかった。


 物事が一区切りした後に、ダレルがここにやってくることなどは、容易に想像ができる。


 隠すとしたらどこだろう。


 ダレルは手荒なことをする気持ちは持ち合わせていない。


 時間はしっかり確保しているから、慌てる理由もなかった。


 このリビングだけでもその広さは並みではないが、ごてごてしたものは何もない。昔からそうだった。


 だから、隠し事をするスペースは少ない。


 ただ、ヘレナは薄暗くて、赤い色を基調とした環境が好きだったのだ。


 でも、いま使用している照明はそうではなくて、太陽光に準じている色調である。


 光源はない。


 いや、もちろん無いわけではなくて、部屋全体が適度に発光しているわけだが、これを、ヘレナ好みに調整する方策はなんだった?


 宇宙生態コンピューターには、ここに来るに当たり、一切関与しないように要求はしてきたが、はたして本当に監視してはいないという確証はないわけだ。


 「アニーさん、いないよな?」


 試しに質問してみたが、返事があるわけもなし。


 「アニーさんがいたら、昔みたいな色合いにできるのになあ。」


 ダレルは、豪華なソファーを動かしながら言った。


 「ヘレナは、なんでも、アニーさん頼みだったからな。自分で、スイッチを切り替えることさえしなかったんだ。退廃そのものだ。照明は、いまだに自動的に稼働したわけだが、さて、アニーさんではないコントロールコンピューターさんがまだ動いてるのかな?」


 反応はない。


 「コンピューターさん、いるのかい?」


 しかし、まったく反応がないのだ。


 「ふうん。もしかして、アナログ回線かなあ?」


 たしかに、ここは別世界だろうから、ヘレナがあえてすべて手動にしていた可能性があると、ダレルは思い直した。


 そこで、室内の壁をぐるりと見回したのである。


 すると、一番入り口に近い部分に、小さな四角い光が目についた。


 というより、目につかないと、言う程度であるが。


 「ははあ。あれか。」


 いまどき、こんなものは、地球の新しい建物にしかない。つまり、遥かに先祖返りしたシステムである。


 「まあ、ほんとうは、これで正しいのかもな。しかし、どうするのかな?」


 指先さきで、ふと、触った。


 明かりが落ちてしまった。


 その枠の中だけが光っているが、小さく『手動』と表示されている。


 「ははあ。」


 もう一回押すと、表示は『自動』に変わり、明かりが灯った。



 押し続けていると、『色合い調整』と表示されたのである。


 押す度に、色合いが変わってくるのだ。


 さらに、しばらく、ほっておくと、次に矢印が現れて、上側が薄い色を示していて、下側が濃くなっているようだった。


 「ふうん。まあ、原始的というか、合理的というか。」

  

 ダレルは、昔を思い浮かべながら、ヘレナが好きだった色調に合わせたのである。


 「なかなか、良いだろう?」


 そう、呟きながら、また、周囲を見回した。


 すると、案の定と言うべきか、小さな白い矢印が空中に現れたのだ。


 「やはりな。ヘレナはヘレナ。親切なことだ。しかし、食べられるかもしれないから、要注意だな。」


 


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