第十二章 「同じ熱量では返せない」
回数を数えるのをやめられなくなって、僕は苦しいと伝えた。
林花がしてくれたことを思い出しながら、僕は画面に文章を打った。
責める言葉を消した。
昔の林花と比べる文章も消した。
残ったのは、自分の状態についての文だけだった。
このまま付き合っているのが苦しい。
もっと会いたいし、もっと話したい。
好かれていることを、推理しなくても分かる関係でいたい。
送信したあと、自分の要求が多すぎたのではないかと思った。
林花から返事が来るまでに、何度も画面を開いた。
返事は、僕が間違っているとも、直すとも書いていなかった。
林花は、今の自分は恋人とのつながりが薄くても平気なのだと説明した。
毎日連絡を取らなくても、頻繁に会わなくても、それだけで関係がなくなるとは思わない。
僕と同じ熱量では返せない。
そういう意味だった。
文章を読んで、まず思ったのは、やっぱり、だった。
すぐあとに、違うかもしれない、とも思った。
忙しい時期が終われば変わるかもしれない。
まだ付き合ってからそれほど経っていない。
会う回数が増えれば、自然に近くなるかもしれない。
僕の求め方が強すぎるだけかもしれない。
考えれば、続ける理由はいくつも作れた。
林花は、僕を好きではないと言ったわけではなかった。
もう会いたくないとも言っていなかった。
それが、かえって難しかった。
嫌われているのなら、諦めればいい。
好きではある。ただし、僕と同じ強さでは必要としない。
その状態を、僕が受け入れられるかどうかだった。
連絡する曜日を決めることも考えた。
会う頻度を決めることもできる。
不安になったら言葉にして、林花にできる範囲で応えてもらう。
仕組みを作れば、行動は増やせるかもしれない。
けれど、僕が欲しかったのは、決められた日だから届く連絡ではなかった。
林花自身が僕と話したくなり、会いたくなって、先に手を伸ばすことだった。
それを要求した瞬間、僕が欲しかったものとは少し違うものになる。
スマートフォンを伏せた。
大学の時間割を開くと、月曜日だけが空いていた。
林花と予定を合わせやすいように、授業を入れなかった日だった。
彼女に頼まれたわけではない。
僕がそうしたかったから、そうした。
その月曜日に、まだ一緒に行くはずの場所がいくつか残っていた。
僕は、自分が関係に参加していなかったとは思わなかった。
今回は話した。
確認した。
勝手に相手の気持ちを決めないようにした。
昔のように、寂しさを怒りに変えなかった。
だから大丈夫だと思っていた。
でも、それらは関係を続けるための条件であって、続ければ幸せになれる保証ではなかった。
僕はその夜、別れた方がいいのだと思った。
思っただけで、すぐには送れなかった。
自分がまた結論を急いでいる可能性を考えた。
翌日になれば、違う答えになるかもしれない。
一晩眠った。
朝になっても、答えは同じ場所にあった。
悲しさだけが、少し遅れて追いついてきた。




