7/27
引越し
春、五月の連休である・・・。
快晴の空に鯉のぼりが泳いでいる。
マコトの家族は見事抽選で市営住宅に当たり、間借りの二階の部屋から南に七キロ離れたYと云う田舎に引越した。
畑の中の宅地に整然と立ち並ぶ新築の市営住宅群。
マコトと憲司、道子がトラックから楽しそうに家財道具を下ろしている。
引越しも終わり、ひと段落した午後である。
マコトはテレビを見ている。
ステテコ姿で新聞の「チラシ」を敷いて足の爪を切っている憲司。
チラシを見て、
「・・・おい、道子、旬のカツオが安いぞ。夜はカツオの刺身にしようか」
台所の道子は冷蔵庫を開け、
「そうねえ・・・じゃ、ついでに鳥のササ身も買って来てちょうだい」
「よしッ! マコト、オメーも一緒に行くか」
マコトは嬉しそうに、
「うん!」
憲司は急いで着替え、壁の柱時計を見て独り言をいう。
「・・・三時か」
道子は憲司を見て不安そう。
「早く帰って来てよ」
「分かってる。マコト、行くぞ!」
道子はマコトにキツくに念を押す。
「マコト、父ちゃんに『パチンコは絶対にダメッ!』って言いなさいよ」
「うん」
マコトの頼りない返事。
憲司はタバコに火を点け、マコトを自転車の荷台に乗せてのんびりと家を出て行く。
続く




