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 引越し

 春、五月の連休である・・・。

快晴の空に鯉のぼりが泳いでいる。


マコトの家族は見事抽選で市営住宅に当たり、間借りの二階の部屋から南に七キロ離れたYと云う田舎に引越した。

畑の中の宅地に整然と立ち並ぶ新築の市営住宅群。

マコトと憲司、道子がトラックから楽しそうに家財道具を下ろしている。


 引越しも終わり、ひと段落した午後である。

マコトはテレビを見ている。

ステテコ姿で新聞の「チラシ」を敷いて足の爪を切っている憲司。

チラシを見て、


 「・・・おい、道子、旬のカツオが安いぞ。夜はカツオの刺身にしようか」


台所の道子は冷蔵庫を開け、


 「そうねえ・・・じゃ、ついでに鳥のササ身も買って来てちょうだい」

 「よしッ! マコト、オメーも一緒に行くか」


マコトは嬉しそうに、


 「うん!」


憲司は急いで着替え、壁の柱時計を見て独り言をいう。


 「・・・三時か」


道子は憲司を見て不安そう。


 「早く帰って来てよ」

 「分かってる。マコト、行くぞ!」


道子はマコトにキツくに念を押す。


 「マコト、父ちゃんに『パチンコは絶対にダメッ!』って言いなさいよ」

 「うん」


マコトの頼りない返事。

憲司はタバコに火を点け、マコトを自転車の荷台に乗せてのんびりと家を出て行く。

                         続く

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