弘子(実母)に会った日
Tの事件が解決後、相変わらず憲司はパチンコに入り浸りである。
道子は腹が立っていた。
荷物を纏めている道子。
「マコト! 明日、津田沼に帰るからね」
津田沼は道子の実家である。
マコトは嬉しそうに、
「ええッ! ツダヌマ?」
「そうッ!」
マコトは警察署に父を迎えに行った時の事を話す。
「・・・母ちゃん」
「うん?」
「父ちゃんて『ケイジ』なの?」
道子は振り向きマコトを見て、
「え? 誰に聞いたの」
「父ちゃんを迎えに行った時、ケイサツの女の人が教えてくれた。・・・ケイジって何やってるの?」
道子は返答に困った。
「ええ・・・ただのオマワリさんだよ」
「オマワリさん? オマワリさんてパチンコしてて良いの?」
道子は憲司の『パチンコ癖』に、ほとほと嫌気がさしている。
この夜もまた、実家に「金策」に行こうと荷物をまとめていたのである。
道子はマコトの『パチンコ』と言う言葉を聞いて、
「ウルサイ! 早くご飯食べちゃいなさい」
「うん。・・・母ちゃん・・・」
「なにッ!」
怒りの収まらない道子。
怒った顔でマコトを見る。
「そのオンナの人、ボクの事知ってたよ」
突然の「その言葉」に道子の荷物を纏める手が止まる。
「ボクの事をジッと見てさ。・・・大きく成ったねとか、それからニンジンが嫌いな事も。・・・父ちゃんにボクの事をいっぱい聞くんだって」
道子は荷物の一点を見詰めている。
『マコトと弘子の最後の別れの時を思い出す。風呂敷に包んだマコトのオムツを道子に渡し、涙を溜めながらマコトの頬に最後のキスをする弘子・・・』
「ダレなのあの人」
「ダレ?」
道子は返答に悩み、
「 父ちゃんの友達だろ」
「トモダチ? ・・・ボクの事が大好きなんだって。何で好きなのかなあ。その人、ボクの手をキツく握るんだ。痛かったよ」
続く




