前へ目次 次へ PR 24/27 母(道子)、逝く 自宅の六畳間に高く置かれた白い棺(ヒツギ)。 チャーコ(猫)が祭壇の棺の下で鳴き続けて居る。 出棺の日。 棺が開く。 マコトは浮腫みの引いた道子の頰に優しく触れた。 学生服の胸ポケットから出した『柘植(ツゲ)の櫛』を、花に埋まった道子の髪にそっと挿す。 楽しかったマコトの思い出のアルバムが静かに閉じてゆく。 マコトのお嫁さんを見たかった道子(母)の最後(永遠)の別れの姿である。 濡縁の物干しに、道子が干して行ったマコトの靴下が冬の風に揺れている。 続く