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 母(道子)、逝く

 自宅の六畳間に高く置かれた白い棺(ヒツギ)。

チャーコ(猫)が祭壇の棺の下で鳴き続けて居る。


 出棺の日。

棺が開く。

マコトは浮腫みの引いた道子の頰に優しく触れた。

学生服の胸ポケットから出した『柘植(ツゲ)の櫛』を、花に埋まった道子の髪にそっと挿す。


楽しかったマコトの思い出のアルバムが静かに閉じてゆく。


マコトのお嫁さんを見たかった道子(母)の最後(永遠)の別れの姿である。


 濡縁の物干しに、道子が干して行ったマコトの靴下が冬の風に揺れている。

                           続く

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