マコトの反抗期
マコトは中学生(十二歳)に成った。
自宅の玄関先。
憲司はマコトと道子を並ばせ、入学式の後の記念写真を撮っている。
「マコト、もっと母ちゃんに近付け」
「いいよ。早く撮れよ」
道子はマコトの肩を強く抱く。
そして中学生三年の夏休みの夜の事だった。
入梅の雨音が聞こえる。
その頃のマコトは『反抗期』である。
家族はテレビを観ながら食事をしていた。
憲司はステテコ姿で晩酌をしている。
すると憲司が突然、
「・・・オメー、母ちゃんを虐めちゃだめだぞ」
と切り出す。
マコトは道子を睨んで、
『告げ口なんかしやがって・・・』
と頭の中を過ぎる。
憲司はマコトを諭す様に、
「母ちゃんは女だ。女を虐めると言う事は弱いものイジメだ」
と、突然、マコトは道子に汁椀を投げつける。
「ウルセーなッ!」
憲司は驚いて、
「こらッ! 何をする」
「あのクソババー、『死ぬ死ぬ』ってうるせえからよ」
お膳をひっくり返し、台所から出刃包丁を持ち出すマコト。
「クソジジイ、ぶッ殺すぞ!」
「何ッ! おお、やってみろ! オメーなんかにヤラれてたまるか」
道子は憲司にの前に立ちはだかる。
「よしなさい、マコトッ! 父ちゃんにそんな事したらダメッ! 謝りなさい!」
マコトは道子に刺す『真似』をする。
憲司はそれを見て道子を守る様に仁王立ちになる。
「この野朗! ヤレルもんならヤッてみろ」
畳の上に散らばった茶碗や徳利。
マコトは徳利に足を取られて前のめりに倒れる。
マコトの握る包丁が憲司の膝に刺さった。
憲司は刺さった包丁を見て、
「! オメー・・・」
ステテコの上から『にじみ出る血』。
驚く道子とマコト。
暫らく時間が止まる。
マコトは我に返り、道子のサンダルを履いて家から飛び出す。
玄関の外に停めてある自転車に飛び乗り、走り去るマコト。
後を追って急いで表に出て来る道子。
続く




