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半夏うどん
「お父さん知ってる? 今日は半夏うどんっていって、四国の人はうどんを食べる日なんだよ。」
夕食はうどんだった。
レンは今日学校で習ったばかりのことを、少し誇らしげに話す。
「へえ。」
父は箸を手に取りながらうなずいた。
「田植えが終わるころだから食べるんだって。」
「なるほどね。」
父はうどんをひとすすりすると、何気なく言った。
「でも、香川の人って今日じゃなくても、いつもうどん食べてるイメージだけどな。」
レンはきょとんとした。
「……かがわ?」
父もきょとんとする。
「え? 四国の……。」
「あっ。」
父はそこで気づく。
「ごめんごめん。四国って言っても、うどんで有名なのは香川県なんだ。」
レンは少し考えて、それから笑った。
「じゃあ、香川の人は今日は特別なの?」
父も少し考える。
「うーん……今日は『半夏だからうどん』。」
「明日は?」
「明日だからうどん。」
レンは声をあげて笑った。
そのころ香川では、誰かが「今日は半夏うどんだからね」と言いながら、昨日と同じようにうどんをすすっていた。




