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80話 意外な男の登場

「いや、ありがとう」

「いえいえ」

 ドアを開けてくれた犬耳のウェイトレスにそんな感謝の言葉を述べながら部屋に勝手に入ってきた男。

「誰だ?」

「誰よ?」

「見たことない顔、よね?」

「俺は知らないが」

「私も知りませんよ」

 ここにいるほとんどに人間の反応、名前も知られていない最後の男。

 名前は知らないがどういう人間なのか知っているニコライが声をかける。

「あんたは、ピーターの兄貴だよな。なんでここに来たんだ」

 不慣れな手つきで車いすを動かしているピーターの兄貴を見かねて、メッサ―が後ろから押してやる。


「勝手に入ってきて申し訳ありません。ピーターから慰労会とだけ聞いてましてそこまで硬くない会合かと思ってまして。部外者ですが家族に顔を見せるくらいいいかなと」

「話しちゃいけねぇって話でしたし」

 幹部たちから攻める視線を受けたピーターはそう答える。

「で、どうなされたんですか」

「近くの事務所で事務の求人があったのでこっちまでどうにか来て、まぁどうにもこの足じゃね、いい手ごたえはありませんでした。それでピーターがここで今日は簡単な慰労会をやるときいていましたし、メッサ―さんには前見舞いに来てもらいましたから、礼をすべきかと思ってきたんです」

「そんな丁寧なことしなくても。そこまで来やすい店でもないだろう」

「いやいや、いい店ですねぇ。こんな状態の人間でも従業員はみんな優しい。ゴブリンさんたち気を利かして裏の搬入口からいれてくれましたよ」

 店の表は見栄えを重視したバリアフリーとは程遠い概念の設計だが、台車を使って荷物を運び入れることを前提に設計しているのでバックヤード側は意外と段差が少ない。

「それでNさん。扉の外で聞いていたのですが、ファミリーを旗揚げするのですか」

「はい。ですが、最後の一人がいなくてですね」

「でしたら、私が参加させていただきます」


「えっと、えっと、えぇ?」

 混乱したギルド若手幹部の言葉。

 車いすの冒険者というのは見たことがない。

「兄貴は元冒険者なんです。でも、元だろう。やめるって」

「えぇ、ダンジョンでやらかしてこの様じゃね。でも今でも冒険者の資格はあるんだ」

 ピーターの兄貴はそういって少し前にでる。

「この様になって以降まぁドタバタしてまして、まぁどうせ廃業するんだから退院して仕事見つけてからでいいかなとギルドへの報告をせずに放置してました。ですから書類上は今でもギルドに所属する冒険者のはずです」


「Nさん、こんな足だ、何ができるといえませんが命の恩人が困ってるってことなら助けるのが筋だし私にしても雇ってくれるなら身を投げ捨ててでも尽くしましょう。私ヘンリーもそのファミリーに参加させてもらいます」

「わかりました。よろしくお願いします」

 その言葉に握手で答えるN。

意外性というほど以外ではない気はしますが

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