75話 ナイトクラブ「LAXE」にて
「諸君、今日も今日とて飽きもせずよく来た。血なまぐさいこの町でいつも通り飲んで騒いで踊れ。我々はそれを歓迎する。LAXE、今日も開店だ」
クラブ全体に響く大音量の音楽。
今日は若者に人気の音楽バンドらしい。僕は聞いたことがない。
中央にある舞台。その周りで立ち見する若い男女の集団。遠巻きで椅子に座り酒を飲む人間、立ち飲みができるカウンター。酒を運ぶ女と男たち。
この雰囲気は何か落ち着くものがある。真夜中に飲んで騒いで踊るダメ人間たちの集まり。
僕も似たようなものなのかもしれない。
「以前貰った、オリジナルカクテルってもらえますか。乾燥した果物が入ってるやつ」
そのカウンターでバーテンに対して酒を注文する青年。
「あれは品切れなんです。すいません」
「そうですか。じゃぁ、どうしようかな」
「飲めよ」
その青年に強い酒を渡すこの店のオーナー。
「結構。あなたの酒は後にのこる」
「おい瓶で寄越せ」
Nの意見を聞かず、バーテンから強い酒が入った瓶を貰うメッサ―。
それに直接口をつけごくごくと飲んでから
「とりあえず飲め。黙ってな」
「はぁ」
なぜか知らないが彼の要望は断りにくい。
しかしそのまま瓶で飲むのはなんかいやだ、という事でバーテンからコップを貰って、メッサ―がなみなみと注いだ強い酒を一気に飲みほした。
「はぁぁぁ、やっぱり強いですね」
「そうだろう。でもな、これを飲んどかないとやってられないぜ」
Nが酒を飲み干したのを見たメッサ―はぱちんと指を鳴らす。
そしたらどこかから出てきたオークとドワーフの4人組が周りを抑えた。
「奥につれてけ」
「ヘイっす」
「旦那、何したんっすか。冒険者や偉いさんたちが難しい顔して部屋に詰めてますよ」
「おっかねぇおっかねぇ。生きて帰りたいなら今から言い訳考えとかなきゃいけませんぜ」
この店の従業員にしたらNはオーナーと仲がいい、マナーがよくてチップもはずむ客というイメージしかないのでなんでそんな連中に呼び出されるのかがわからない。
まぁどっちにしろだ、オーナーの命令は聞いとかないと給料にかかわる。
「裏切りましたねメッサ―さん」
担ぎ上げられたNはメッサ―にそんなことをいうが
「そもそもお前とはなんも約束してないからな」
と返され、反論の余地がないなと思い流れに身を任せることにした。
前半のタイトルが最後のほうにもう一回出てくるあの演出。意外と好きです




